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インアルの町

34話 インアルの町


 前方から妙な生き物が歩いてくる。

 大きなネズミのような顔した動物で鎧のような皮で覆われていて、その上に椅子があり。

 白いドレスと言うのかあれ、西方の女性が履いているスカートという奴だ。

 そういう女性が乗ってる。


「アロン、異国人よ。雨も降ってないのに傘をさしてるわ」


「アレは日除けに使う日傘と言うものだリァンファ」

「でも、あの人麦ワラ帽子もかぶだてるわ。髪はキラキラとした金髪」


「まるで荒れ地の妖精のようだ。私、外国人見たの初めてだ……」


「外国人は遊天楼には居なかったからなぁ」

 

 少し埃だらけでボクらの前まで来た。その異国の女性は、ボクらを見て埃を払いながらニコりと笑った。


 何者だろ? 悪い人には見えないが。


 目の前で見ると。やはり、見たこともない動物に乗ってる。

 なんだこいつはデカいけど鎧ネズミ?


「こんには」


 東方の言葉だ。


「あなたたち、コレから西方に?」


「インアルの町にな。そなたは西方から?」


「ええ。で、山を超えて砂漠を越え荒れ地に。で、ようやくインアルの町にたどり着いた。まだ、平常だか、町を出る時に辺境国の兵隊とすれ違ったわ。今、行くと戦場になってるかもしれないわよ」


「それは、ご丁寧に。あなたのコトを少しばかり聞いてよろしいかな。ウチの若いのが、あなたを見て興味しんしんでな」


「師匠、そんなコト言って師匠が一番」


「ああ、そうね。私は、あなたたちから見たら異人ですもんね」


 近くまで来て瞳の色が緑だとわかる。

 肩の上に背中の方からサルのような小さな動物が。


「この子はパーカー。リスザルの一種よ、ほら尻尾がリスみたいにもふもふ」


「あ、わたしらは武術大会が中止になり予定より早くインアルの町に向う武術家の一行でな。私はリューというもので、弟子たちだ。棒を持つのはアロン。荷物持ちの、太っちょはマンケイ。こちらの女たちはリァンファと頭に花はチャオだ。彼女は弟子ではないが酔拳の達人だ……酔拳、わかる?」


「ししょーニュウを忘れてる」

「ああ、そうだった私の一番若い弟子だ」


「カワイイ。どーもよろしくお嬢ちゃん。私はローラ・レイという吟遊詩人で、歌とお話を各地に伝えて歩いてます」


「吟遊詩人って……なんですか?」


「アロンは、バカ? さっき言ってたじゃい。歌ってお話する旅役者みたいなもんよねローラさん」


「まあわかりやすく言えばね。私はまえのインアルの町で仕事してきました。だけど兵隊が入って砦みたいになってますよ。あそこは塀が高い分戦うのに有利みたいで。もう観光なら無理でしょ。私は、これから中央の王都まで行き、戦が激しくなったら港へ行き舟で北方に航るつもりです。では、お気をつけて」


 あの鎧ネズミみたいのに揺られてローラ・レイは東へ向かった。


「アニキ、アレはこの世の者ですかね女神を見たようだ。金髪で緑の瞳。西方の天使ってヤツでした。また、会えますかね……」


「私らもインアルの町に行かなくて引き返せば会えるだろ……どうするか。行っても戦に巻き込まれるだけだな」

「師匠、なんでインアルの町に」


「古い友人がおってな……とりあえず行くだけ行ってみるか」




 インアルの町は、まえの町に比べて塀が高い。


「都の城壁みたいだな。行ったことないけど」


「この高くて長い壁は、ある市民の力で作られたそうだチャオ。外国の技術が使われている」


「その男は外国人で?」

「そうだ、この町に帰化したと聞いたが」

「さっきのお姉さんの知り合いですかね?」

「そこまでは知らん。混血の娘が居ると聞いたが……」


「おい、おまえらはなにもんだ」


 町の入口で兵隊に止められた。


「私らは旅の者です。モルドの武術大会が中止になり、足早にわれわれはここインアルに。ここに知り合いが居るのでな」


「敵国の間者ではないと言えるか?」


「難しいコトを言うなぁあんたは。ソレが出来て町に入った者がいるのか?」


「まあ……坊主だけあって。口が達者だな。若いのをたくさん連れてるな」

「皆、弟子だ」

「そのちっこいのもか?」

「ソレは弟子の子供だ」


「ニュウは、リアンとアロンの娘だ!」


「威勢のいいガキだな……まあいいだろ入れ!」


 町の中は物々しい戦準備だ。

 壁の上に大砲を上げてる。


「アレ、一発撃ったら落ちませんかね?」


「だな……」


「おや、リュー・ハイシンではないか!」


 町で馬車に乗る夫婦が。


「これは、探す手間がはぶけた。ウー・セン!」


「妻のカナだ。カナ、この人はわしが天林寺に居た頃一緒だった人だ」


「コレは、高い所から。妻のカナです」


「ある主人に仕えててな。今はその屋敷の離れに。主人は、なくなったが今はそのお嬢様に仕えてる。いい人だから、こい。宿は決めたか?」


「イヤまだだ」


「なら」


                つづく


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