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別れ

33話 別れ


「ここで会ったが……ってとこだけど今日はやる気ないよ。ティンソー様もいないし。今のワタシらの指令は、大会に勝つコト……が、その大会も中止だわ」


 ティンソーとは、あの天導引の男のことか。

 とにかくニュウを襲う気はなさそうだ。


「それに、あんたらの面子はワタシらには勝てそうもないよ。棒の嬢ちゃんと酔拳の……」


「おい、なんで止める酔拳の嬢ちゃんでもかまわないぞ。それとも美少女とか」


「まあ、とにかく無駄な殺生はしないということさ」


「それは良い心がけだ。名前は……」


「坊さん、言わなかったか? ワタシはヨウ・レアンミンだ。覚えておいて」


「姐御の名前をはじめて聞きました。レアンとしか……」

「ゴージンも覚えときな!」

「オレは知ってた」

「姉弟だから、あたりまえだろ!」

「痛えな、ぶつなよ姉さん!」


 あの女と小太りは姉弟なのか。似てないな。


「ヨウ・レアンミンか、わかった覚えておこう。そなたの剣武は見せてもらった。可憐な技と動きの速さは、そこらの剣術使いにはかなうまい。また見れぬのが残念だ。と、今度は草むらではなく寝台で勝負したいものだ」


「そんなコトを言うな! 行くぞ」

「姐御やはり、坊主と……」

「うるさい!」


「師匠、あの女と……怖そうだけどうらやましいです」

「マンケイ、ああいうのも好みなのか」


「マン・ケイは、女ならなんでもいいのよね」


「そんなコトはないですよ姉弟子」


「前から気になってたんだけど。あんたは師匠の武術の弟子ではないよね」


「だな、マン・ケイは、床技の弟子だ」


「そうよ、だからわたしは姉弟子ではないから」


「そうですね。リァン姉と呼びます」


「アロン、ニュウをししょーと呼べ!」


「ニュウには教わることはないから」

「ニュウ、強くなる法をおしえた」

「あ、そうだったな。でもニュウは師匠よりはニュウの方がイイ」

「ゆるす。弟子よ」


 なんだかなぁ。



 辺境の小国トウメン。


「ラゴウ様、お客人が……」


「かまわん通せ」


「なんだ男女か」


「ラゴウ、その呼び方はやめて。ルファと呼べと何度も」


「で、なにしに来た。おまえなら兵をとおさずとも直にここへ入れるだろう」


「まあ……しかし、見知らぬ化け物とか思われたくないのでね。楽しくやってるようだねラゴウ。私も仲間に入れてもらいたくてね。来たのさ」


「おまえは個人で楽しんでたのでは、ないのか?」


「まあソレも考えて有能なのを見つけたがツアンレンに邪魔されてね。手っ取り早くあんたと手を組もうと……」


「ツアンレンか、女狐ツオンミンもなにやら言ってたが……ルファ、おまえが我とな。おもしろい。我が軍師として迎えようではないか」


「ラゴウ様、伝令が! こちらは?」


「かまわぬ、我の昔なじみだ。コレから我が軍師となる者だ。伝令を」


「隣国タハとその隣国ライラの連合軍を落としました」


「やったか、このまま進んで辺境全域を我が国のモノにする。早速だルファ、手にした二国をどう使うかな」

「ラゴウ、動きが早いな……」



 町から出た荒れ地の街道。


「大変だ(かしら


「頭はやめろと、我らは賊ではないと何度も」


「すみません。タハとライラの連合軍が破れました。トウメン国がトッケツの里に」

「大会に出ていたから町で情報は聞いている。トウメン軍が辺境を支配するつもりらしいな、まだ中央からの軍がついてないので町では急遽兵を集めていた」


「そうなんですか」

「戦好きで先立った華中中央のコン将軍が戦死したと聞いた。一荒れ来るな、里は守る。戦準備だ」



 シン翁の店。


「あたしは、ウチに帰る」

「ポォ殿、師匠によろしくな。また、機会があれば寄ると」


「チャオは?」

「もしよければ、おまえたちと旅をしたい。ダメか?」


「師匠、どうしますか? ボクは問題ないですけど」

「私もです。女の子が多い方が楽しい外国にはハーレムという国が有り王以外は美女という楽園があると聞きました。美女に囲まれたい」


「マンケ、ソレは国じゃないわよ。スケベ男の夢の楽園のコトよ」

「だそうだマンケイ。そんな国が有ったらその国の王にならないとな。そんな国の王になりたいものだ。ハハハハ」


「師匠ならなれるんでは」

「いやいや王になるのは一流の武術家になるのとは違う。政治もせにゃならん。私には出来ないよアロン」


「師匠、私。政治も勉強して王になりハーレムを実現させます」


「それには、まず痩せなさいマンケイ。夢を実現する前に病死するかもしれんぞ」


「マンケ、夢をかなえても大勢の女の相手で死ぬぞ。女は恐いぞ!」


「ですね……。私は一人の愛した女に裏切られたからなぁ……」


「そうなのか、マンケ。情けない……」


「まあ、チャオ殿。夢を見させてあげなさい。世の中、悪い女ばかりではない」


「そうね、あたいみたいな天女もいるしね」 


 僕らはチャオを道連れに町を出ることに。



「おい、若いの。兵に志願しないのか? 女も傭ってるぞ」


 なんて、門で役人に。


「ボクは戦は嫌いだから」


「そうか、わしも嫌いだ。祖父は戦で死んだが、最後の戦だった。また、戦が起きるとはな……。早く終わってほしい。気をつけてな。あ、嬢ちゃんたちの試合見たよ。休番で良かった。次が見れないのが残念だ!」  


「ありがとね。おっちゃん。次も出られたら来るから、よろしくね。じゃ」 



「先輩、次までに戦が終わってればいいですね」

「ああ、噂の小旋風をもっと見たかった」

「私は華やかな大河酔拳の娘を……見てください通りの人形売りから人形を買ってしまいました。イイでしょ。小旋風のも有りましたよ」

「そうか、何処で買った」

「残念です先輩。商人は、いま、行ってしまいました」



 荒れ地の分かれ道。


「じゃここでお別れだポォ師匠、元気で」

「アロンもな少しの間だったけど、ラン派の棍術を忘れるな。またな!」


「また会おう小旋風!」


「ああ、華酔拳!」


「華酔拳……」


               つづく      

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