小旋風のポォ
31話 小旋風のポォ
「まるで、子供と大人だ、あれで試合が……」
「あのデカい大刀は、相手の娘よりでかいぞ」
「師匠、観客の声は、ポォと大男の見た目しか」「勝てば見た目なんか無いに等しい」
ポォが勝てば、ひときわ目立つしね。
しかし、あの大刀の大男は捕まらなかったんだな。もう少し痛めつけとけば良かった。
ポォ、そいつの大刀は斬れるぞ。気をつけろよ。ボクの棒みたいに短棒になる。
ポォのかまえはなんだ?
「ほぉ、さすが師匠の孫だ。アレはラン派棍術静止龍のかまえだ」
「師匠、あれがかまえですか? ただ棒を立て立ってるだけじゃないですか」
「大きい相手は、あれで油断するし、攻撃しやすい」
大刀を振り上げて、攻撃してくる大男。
ポォの動きは速い。大振りの大刀をよけたら、つま先で棒の下を蹴って上げた。
そのまま大男のアゴを棒の先が突いた。
効いただろ。が、よろけたが倒れはしない。
大刀を杖代わりにつかったんだ。
あいた太い腕を振り拳がポォを。
ポォは、ふせてかわし。男の背後にまわると立ち上がり後頭部を突いた。
大男は後頭部をおさえてひざをつくと、低くなった顔面を棒で乱打した。
「朱雀乱れ月……確実に顔面の急所を突いている。次は、身体へ」
師匠が言うようにポォの突きは、大男の急所を的確に攻めている。
男の動きがにぶっていくのが、わかる。
ボクみたいに棒で大刀をかわしたりしない。
「ラン派の棍術は棒を傷めたりしないんだよ。あの闘術を覚えとくがいい、受けるより避けて攻める」
「わかりました、師匠」
湯場の闘いのボクの失敗を師匠は。
「あ、あれは効いたか」
動きのにぶった大男の背後からの連続背骨突きは上から下へ。
容赦ない、普通の人間なら再起不能だろう。
まえに大刀を落とし、手を着いて上がった大男の尾てい骨に最後の突きが入った。
「ウガァ!」
大男は尻をおさえて倒れた。
審判席から、試合終了の旗が上がった。
「さすが小旋風だ、見たか今の闘いぷり」
「あの小娘が、大男を……」
「あれが小旋風ポォの棍術か……」
村のとき本当に一人で山賊を退治出来たんじやないのか彼女。
猛者たちの闘いも、意外と早く終わりあっという間に一日の予選が済んだ。
皆、長い勝負は翌日の試合の負担になると、できるだけ早く闘いを終える。
それなので一撃必殺の奥義が見れる確率も高いと師匠が。
宿に戻るとポォが食事してた。
向かいにチャオも。
顔や姿は違うけど、ドコか二人は似ていた。
その辺の平民と変わらない地味なポォ。
髪を結い上げて髪飾りまで付けてフワッとした華やかな服をまとったチャオの食台の上のひょうたんは、ちょっと合わない。
「やあ、ふたりともイイ闘いを見せてもらったよ」
「どうだった、あたいの酔拳は?」
「あまり早く終わったから……」
「ああそうか、相手が弱かったからな」
「チャオ、私は本当に酔った酔拳が見たかった」
「マンケは……酔うとさらに強くなる酔拳を信用してないんだよな」
「チャオ、私はマン・ケイだ」
「チビはマンケー。坊さんはマンケイと、なんだっていいだろ」
「いや、本当はアニキや姉弟子みたいに正しくマン・ケイと……まあそれは。で、私は伝説みたいな酔拳をこの目で見たいんだチャオ」
「ウチのお祖父ちゃんも言ってたな酔えば酔うほど強くなる酔拳は伝説でありえないって」
「小旋風、あまいな。世の中にはあるんだよ。自分の想像以上のモノが。常識なんて武術界にはないんだ。予選に出ていた一撃で終わらせた連中の本当の力はわからないだろ。意外と切り札は最後まで見せない」
「たしかに、トッケツの女とか……」
「アロンの師匠もだ。なんで大会に出ないんだ」
と、しばらく一緒にいたチャオだ。師匠の強さがわかるんだろう。
「師匠は……面倒くさいからと」
「ただいまアロン。お願い!」
「どうしたんだ帰ってくるなりリアン? 人形は売れた」
「あ、チャオとポォ! いいとこに」
「なんだリァン?」
「ちょっとあなたたちの絵を描かせて」
リァンの話は、大会が半日すぎた頃に小旋風と大河酔拳の人形が欲しいと言われたそうで。
今夜徹夜して二人の人形を作るそうだ。
で、ボクにも手伝ってくれと。
そうか、はじめの試合でふたりの人気が出たんだな。
作れば売れるだろう。
やはり、リァンは武術より商売の方が。
翌日、第一試合の前に。
辺境都市での戦が悪化したと。
華中国から独立した小国の勢いが増し、こちらに進撃中との情報が。
とりあえず前日の続きはおこなわれた。
町の酒屋で。
「グァイ、遊びは楽しいか?」
「ツォンミンか、おまえも武術大会を見に来たのか」
「いや、たまたまだココに来たのは。ラゴウに会った。ヤツも久々の人間界を楽しんで戦してる」
「ヤツの戦好きは相変わらずよのぉ」
「しかし、グァイよ無様な負けっぷりだったね」
「ああ、これほど人間の体が、もろいとはな。昔の人間の方が強かったよな。しかも悪い相手だった。ガキだと思って油断した。ココに来る前にあのツアンレンとも、やったが。あのガキはツアンレンなみだった」
「ツアンレンと闘ったの」
「ヤツも人間の体だったが」
「そうか、人間の体で。で、ヤツはその体から……」
「小さい体でちょこまか動いてたぞ、ヤツは。どうしたヤツは、なにか気になるのか?」
「ヤツはおまえがもろいと言ってた人間と融合している。あの体から本来の力を発揮出来るのだ。私も人身だけでは、軟だと思い獣の力も……」
「なるほど、獣の力か……人間より強さの面ではすぐれたのが居るな。ツォンミン、良いことを教えてくれた感謝する。人間め……大会外では負けぬ」
つづく




