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捕われた賊

28話 捕われた賊


 砂ぼこりが薄れていくと数人の男が立ってる。

 しかも、縛られているじゃないか。


「アロン、見て縛られてる男たちは白虎会の連中よ」


 なるほど、あの無精髭の頭にドジョウヒゲの小男もいる。

 白虎会の連中の後ろに数頭の馬が。ボクらを囲んでるのも馬に乗った連中だ。


 白虎会を捕まえた。兵隊?

 いや、なんか盗賊みたいだが違うのか。


「おまえらは、何者だ!」


 馬上の連中の頭か、女が前に出てきて聞いた。


「旅の僧の一行とでも」


 師匠が答えた。


「婆さんに子供……白虎会の仲間には見えない。おい、行くぞ。このまま町まで引っ張ってく!」


 行ってしまったけど、アレは?


「あれが噂に聞くトッケツだな。おそらく」


「トッケツって?」


「アロン、知らんのか。華中が東方を統一する前に居た。ある国の民が集まって集団になり辺境で細々と暮す砂漠の民だ」


「盗賊まがいな連中と聞いたが意外と……」


「お婆さんも知ってるのね」

「若いもんや中央の人間には馴染みがない連中だ。まさか、白虎のもんが簡単に捕まってるとはなぁ」


「あの女頭は、けっこうな使い手だ。一度勝負してみたいものだ」


「師匠、見ましたか、あのマントから出た太もも筋肉質でしたが美しかった」

「さすがにマンケイだ。よく見ている。おそらく古布で隠した鼻から下もさぞ美しかろ」


「アレはソー・ムンランだろう。前の大会で見たよ、わし」


「そうか、まえのときは私は来れなかったからなソーとやらを見れなくて残念だ。今から町へ行くと今年は出るのかな?」


「師匠、白虎会があの大男をボクらの始末においていかなければトッケツの連中は苦戦したでしょうね」


「だな……面倒が一つ減って助かったな、ワン殿」


「ああ、コレで白虎どもに追われんですんだわい」




 思ったより辺境近くの町モルド。


 ここは昔、戦があったときに砦だった場所と聞いた。町の門には兵士らしき門番が。


「坊主、貴様らも武術大会見物か?」


「私は天林寺の僧で若いのは私の弟子。母と荷物持ちの使用人。母は、ここの武術大会が好きで開催されると見に」


「その子どもは?」

「弟子の娘。弟子は僧ではないので夫婦に」


「なるほど。が、もしかしたら今年は大会は中止になるかもしれん」

「噂に聞く、戦ですかな」

「噂ではない、実際に北の小国が華中から脱退し、動き始めてる。ここから先への旅はよした方がいいぞ。辺境は荒れ始めている」


「ご忠告ありがたい。では」


「こら、まだ入って良いとは言っておらん」

「どこか怪しいてんでも?」


「ん〜んない、入れ!」


 町中はお祭り騒ぎだ。通路並みには店が並んでいる。武術大会に直接関係ない野菜や果物。衣類まで。まるで市場だ。

 

 「町の真ん中に有る闘技場が昔の砦跡でな、町はその周りに後から出来た」


「ワンさんは詳しいですね。師匠のウソでなく本当に毎回、大会を見に」


「ああ。でな、この町に息子に店を出させたんじゃよ。もうすぐだ」


「あの『食と武の店』っていう所ですか?」


「ああ、そうだ。ここまでくれば安心だ。用心棒代は店で渡すから入っておくれ」


「師匠、わたしちょっと町を見たいから行っていいかしら? 日が沈む前に戻るから、アロン行きましょ」

「悪いボクは師匠のともに」


「マン・ケイ!」


「私は一休みして何か食べたいので……」


「リアン、ニュウが行く!」


「男はつまんないわね。行こニュウ」


 ワン婆さんは、店へは入らず横から家の中に。


「おい、チョン。わしじゃ」


「ん?」


 ワン婆さんは、カツラを取り腰を伸ばした。

 ああ、やはり。

 白髪頭のおじいちゃん。


「おやじ! 無事に……。馬車が二度も襲われたという情報を聞き心配していたんだ」


「アニキ、あの婆さんは、やはり……」


「こういう策でもねらんとな。ここまでたどり着くのは困難での。騙して悪かった」


「いや、私ははじめから……」


「ホントですか師匠」


「ああ」


「さすが、リュー殿。お礼を。ドンゴ、荷物を」


 ドンゴさんの荷物を解くと木製の箱が。あの箱は噂の金貨百枚!


「マンケイ、ちょっとばかし重くなるが、体力がつき、体重は減るだろうから一石二鳥だな」

「はぁ〜それをずっと持ってたんですかドンゴさん」

「まだ……ある」


 ドンゴさんの他の荷物箱には壺やら器、神像などのお宝が。凄い力持ちだなドンゴさん。


「マン殿、食事は店で。今夜は食べ放題で無金じゃ」


「太っ腹ですねワン婆さん。いや、シン爺さん」


 まてよ、このシン爺さんは婆さんといつわって女風呂に入っていたことになる。


「おい、マン・ケイ。婆さんの正体は女たちには言わないでおこう」

「別に言っても……あ、そういうことか」

「いずれ、わかるかもしれないがな」


              つづく

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