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ツァンレン俺と楽しもう

27話 ツァンレン俺と楽しもう


「ボクをツァンレンと呼ぶ、おまえは狐女の仲間か」


「狐女……ツォンミンのことか」


「そんな名だったかな……」


「そんな女はどうでもいい。さあツァンレン! 俺と楽しもう」


 大刀が上がったかと思ったら、すぐに目の前に。

 うわぁ、棍術棒で避けたら真っ二つに。

 ボクはその棒を両手に持ち、横に周りヤツの太ももに連打した。


 普通ならこの連打で立っていられまい。

 が、ヤツは大刀を横払いに振ってきた。


 ボクは一歩周りヤツの腰を連打。


 「どうしたツァンレン、そんな棒の連打など、効かぬわ」


 なるほど、これじゃ勝てない。


 容赦なくヤツの背くらいあるデカい大刀が振り回される。

 ヘタに棒で防げば棒ごと斬られるのはあきらかなので、かわしてヤツに近づき棒の先でヤツの急所を数カ所突いた。


「ウグッ、しまった……人間の体はヤワだな」


 ヤツの動きが止まった。


「ちくしょう。この体を選んだのが失敗だった」


「師匠、どうしますか?」


「殺生はいかん、放おっておきなさい。ちょっと道草をしすぎたかもな。私は良いがチャオ殿は大会に出るのだろう。受け付けに間に合わないとな。山を下りよう」


「ああ、そうだ。急ごう!」


「おい、嬢ちゃん。わしの用心棒は……」


「行ってしまった。とうとうチャオの酔拳が見れなかったな」

「わたしは見たわよ」

「え、いつ?」


「昨夜、温泉場で。見事な動きだったわ」

「そういえば昨日……風呂場で」

「昨夜のお風呂のこと知ってるの?」


「あ、なっマン・ケイ、師匠。チャオが酔拳の形を見せてたと声が聞こえたよね」


「え、聞こえてたんだ……」


 聞こえたどころか、師匠は壁に穴を開け。

 これは、言えない。


「姉弟子、お尻の穴まで見える形とは、どんな形です?」


「わたし、そんなコトは言ってません!」


 リァンは赤くなって先を歩き始めた。


 ボクは覗いてないが、その言葉はたしかに聞こえた。


 さて、あの男はいつまでああして立ってるのかは、やった自分でもわからないが死にはしないだろう。


 山を降りて荒れ地の街道を半日ほど歩くと、チャオに追いついた。


 その前には倒れた馬車が。

 そして、また数人の死体が。


「コレは、後から出た馬車だな……白虎会に襲われたんだろう」


「アニキ、この馬車も荷物が残ってる」


「コレもオトリだな、さぞかし連中悔しがってるだろ」


「師匠、それじゃ連中、またボクらを。なぁお婆さん。あなたは、本当にこの襲われた馬車の……」


「見て、老人が殺されてるわ」


「同じことの繰り返しだな、婆さん……まてよ。あんたが白虎会の言っていた爺さんなのか?」


「違うと言っておろう。ただのババァだ」


「本当だな!」

「おいどうしたチャオ、顔が赤いぞ」


「いや、なんでもない。あたしは先に行く!」


「なんだチャオのヤツ?」

「わたし、なんだかわかる気がする……」


「あ、また。昨日の」


 昨日の兵隊を連れた役人たちだ。



「また、貴様らか」


「馬車の行き先が同じようなので仕方あるまい」


「まあそうだな。この馬車を襲った連中だが、怪しい集団を見なかったか? まあ見たら生きてはいまいが……」


「お役人、ソレは白虎会を名のる一団で?」


「まさか、見たのか」


「昨日は麒麟党どうとか、言ってたが」


「昨日の調べで殺られた馬車の連中が麒麟党だとわかった」


「なるほど、で白虎会を。連中、湯場で我らを襲ってきてな。まだ、一人湯屋の前にくたばってるから捕らえていただきたい。あの湯場の一軒で、虎の湯っていうのは奴らの経営だった。とんだ野盗宿。取締りはきびしく願いたい。では、我らは急ぎますので」


「まて、坊主。今、聞き捨てならないコトを」


「なにかな……罪人を捕らえるのが、あなた方の仕事。私はただの旅の僧」


「ま、いい。最後に貴様の名を聞いとく」


「リュー・ハイシンだ。では」


「なに!」



 役人立ちから離れて。


「師匠、またあの手ですか。あの役人、師匠の名を聞くなりかたまってましたよ」 


「お坊さんはあのリューどのか? わしも武林界に居た、はしくれ。その名を知らんものは……」


「ハハハハハ、お婆さん。たまたま師匠の名が同姓同名だから、使わせてもらってるのさ。いろいろ役にたちますからね、師匠」


「そういうコトだご老人」


「そうかい……」

 

 お婆さんは、あまり納得しない顔で歩き出した。



「アロン、水が飲みたい!」


 思ったより荒れ地の街道は長い。砂ぼこりで時々前が見えなくなる。


「こんなに長い道のりだったら湯場でお水もっとくんどけば良かったわね」


「ニュウ、ボクのをわけてやるよ。飲みすぎるなよ」

「アニキ、私にも」

「よるな、おまえむちゃくちゃ汗臭いぞ!」


「しんどいわぁ。ニュウ、降りて歩け」


「イヤだぁ歩きたくない!」


「ニュウ、マン・ケイの後ろ歩けば日陰にもなるし砂ぼこりよけにもなるぞ」


「そうか……でも汗臭そう」

「臭いは、上に居ても同じだろ」


「うむ」

「どうしたんです師匠」

「気づかぬか……囲まれている」


 砂ぼこりで、よく見えないが。

 馬の声がするし、大勢の人の気配も。賊か?

 白虎会の連中か?


               つづく 

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