襲われた馬車
24話 襲われた馬車
「お頭、うまくいきましたな。麒麟党の党首め、簡単に私の策にハマりましたよ。よっぽど資金が欲しかったんでしょうな」
「ケガをおわせて生き残り役に町にやった男、帰ったらほうびに名をやるつもりだ。フーは身内名で俺でもつけられる。で、名は何にする? モーいい名はないか」
「そうですなぁフー・スンとでも」
「麒麟党の党首の名か、そりゃイイ」
「お頭、大変だ!」
「どうした?」
「お頭、見に来てください。お宝なんて……」
「なに? モー来い」
お頭と馬車の積荷を確かめに行くと。
「荷をあらためましたら金貨百枚なんか、ありません。いや、金貨どころか他のお宝もがらくたか、たいした値打ちのない物ばかり」
「どういうことだ……」
「お頭、ジジィは?」
「殺った、その辺に転がってるはずだ」
「お頭、ジジィのなきがらです!」
「そいつを持ってこい」
「おお、見ろ、カツラだ! ハゲていやがる!」
「なに、モーっ来い、見てくれ!」
「謀られましたな。お頭、この男は使用人頭の男ですよシン・チャオシーではありません。ということはあのジジィ……別の方法で移動を」
「どんな方法を? 他に護衛を雇ったか……」
「さて……。お頭、町を出る時に、妙な連中を見ましたよね」
「妙な連中……居た、婆さんとガキ連れた坊主の一行か」
「そうです。婆さんは本物なのか? やけに荷物を持ったのが三人いました」
「よく見ていたな……」
「お頭たちと別れたあと気にはなっていたんだが……もしかしたらあれが本物のシン・チャオシー一行かも」
「奴らがそうなら、同じ街道を通るはずだ。戻って」
「その必要は、ないですよお頭。しばらくすれば連中もこの道を通るはず。まてよ、さっき役人の、トコに一人……役人もこっちに来ると、ややこし。いったん街道から姿を消しましょぅ。白虎会は殺られたコトになってる」
林道。
「師匠、前から馬が」
「どけどけ!」
馬に乗ってる男はケガ人か?
通り過ぎる時に血が。
「何が、あったんでしょう師匠。たしか、今の男頭に白虎の頭巾を……」
「白虎会が血だらけで馬に乗って……襲われたんじゃないかしら山賊に!」
「白虎会には、あの大男が居たよね。アレを負かすヤツはそういないよ。さっきの山賊程度では無理だろ。よほどの使い手が居る盗賊、野盗の類か」
「チャオもそう思う……。どんなヤツらだろう」
「あの男、役人へ知らせに行ったのかしら」
「妙だな。あの白虎とかいう警護隊に、馬車以外の馬は居なかった。だと、するとあの馬は賊の馬か」
「ですね、馬車の馬は二頭とも白い馬だったわ」
「そうね、今のはよく見る栗色の馬だったわね」
「賊の馬を奪って逃走か、さすが白虎会だ」
林道を出て、しばらくすると荒れ地に。
馬車の車輪の跡があった。
「見てください。師匠、馬車が」
「人が倒れてるわ、あれってもしかして……」
ボクが馬車まで先に走ると、人が死んでいる。頭に白虎会の頭巾を。
まさか、あの大男は。
見たところ死体はない。
「アロン、ヤツは?」
「あの男の死体はないよ、チャオ」
「逃げたのか……ヤツだけ?」
「ハアハアあんたたち速いわ……。うわぁやっぱり死体よね」
「無惨よな……」
「ああ、」
「どうしたドンゴ?」
「こっ、れっ……」
「おおっ……坊さんや、お経を……」
「知り合いか?」
「あ、いや。亡くなった者たち皆に……」
「おかしい、あの大男だけなら逃げても当然だが、一緒に馬車に乗っていた爺さんが居ない」
「アロン、来てみろ。一人だけ頭巾をかぶってない老人が」
「アレ、頭がハゲてる。でもこの人は」
老人を見つけたチャオの近くで。ニュウが。
「アロン、頭が落ちてた!」
「え、頭?」
「ニュウ、ソレはカツラよ。あ、かぶらないの」
「リアン、帽子、みたいだ!」
「変だな、荷物が馬車の幌の中に……アレ、アニキ。見てくれよ。みな、がらくたじゃないか。金なんかないよ」
「野盗め、襲ったが。お宝はなかったんで置いていったのかな? この馬車。しかし、馬がいないのは馬刺しでも作ろうと持ってったのか」
「肉屋の発想ねマン・ケイ」
「金貨だけ持ち去ったのか……。チャオどう思う?」
「最初からなかったのかもね……」
「師匠、白虎会は知っていたんですかね? ない宝を護るために必死で戦い……」
「もしかしたら、ヤツらも、騙されたのかもな。そこの老人は本物のみがわりとかか……南無」
「どういうコトです」
「雇い主が用心深いんで、偽の護送隊を雇い本物は別に……今ごろは」
「物騒じゃのう用心棒を雇って良かったわい。わしとドンゴだけだと山賊の夕食になってたかもな、なぁ。ああ、良き……」
「山賊って、人を食べるんですかお婆さん」
「餌食というコトだ娘さん。もののたとえじゃ」
「妙だ師匠、こいつら……。白虎会の遺体なんだけど、どうも見覚えがない。朝見た連中と違うかもしれない……。体つきもらしくない」
「アニキ、道中別の白虎会と入れ替わったとか?」
「そこまで、仕掛けを?」
ドドドドド
そこへ役人たちが兵士を連れ馬で。
つづく




