隠れ処へ行け
15話 隠れ処へ行け
「イテテ……ちくしょうシャオメイ。ごめんよぉオレが弱いから山賊たちに。今頃は。うがっ!」
誰かがオレの背中を蹴った。
「おまえがいながら、なんでシャオメイが! このボケヤロー」
ボカボカボカボカ
「やめろ! おまえは今までドコに隠れてたんだ。オレはホラ、ケガもしてシャオメイを守ったんだぞ!」
「オラだって、シャオメイを。オラはうしろから殴られて、さっき気がついたんだ。目が覚めれば村の女たちがよ、居ねえ。バアサンたちも連れて行かれたぁあ」
「ゴウ……年寄りは飯炊き女として連れて行かれたんだ」
「村長、どうすんだ。女たちは……」
「仕方ねぇだ。俺たちが生きてるのは女たちを差し出したからだ……ゴウ」
「マー叔父さん。そんな事が……。オラが気を失ってるときに」
「山賊の頭が無駄な殺生はしたくないから女と食い物を差し出せと……」
「そんでオレらは生きてんだよゴウ」
「うわあーごめんよ、みんな! あたしがもっと早く来れば!」
「アレは、ラン先生のトコのポォ……」
「そうかいラン先生は腰を……が、なぁ孫のあんたが来たとて、山賊どもにはな……。そっちの若いのは?」
「こいつはあたしの弟子だ。助っ人に連れてきた。山賊相手ならあたし一人でもいけたんだが、手が空いてたから、連れてきた」
「いくら、ラン先生の孫でも無理だ。相手は荒くれ者四十人はいたんだ勝てっこねえ」
「ああ、間に合ってたらあんたらの命はなかったかもな……」
「長老!」
「ラン先生は大丈夫かな? 人間、歳には勝てぬよって……」
「まあ、普通には生活してるけど、ここ一週間は稽古は休んでた……。長老、あたし女たちを助けてくる! 誰か山賊の隠れ処を知ってるものは居ない?」
「バカなコトはやめなさい死にに行く気かあんたは」
「たしかに女たちは助けてーだ。が、オラたちにはどうにもできねー」
「知ってるものは居ないの!」
「だからよう……」
「オレが連れてく。オレは山で偶然、奴らの隠れ処を見つけて。村の危機を知ったんだ」
「で、私がラン先生に手紙を書いた……」
「村長、オレは行く! なあポォ。シャオメイを助けてくれ」
「オラも行くぞビン! おまえだけいいとこ見せようってか、冗談じゃねえよ。オラだってシャオメイを助けたい」
ビンという小柄の若者とゴウという大柄な若者が山賊の隠れ処へ案内することに。
ビンは、祖父の槍を。ゴウは大斧をかつぎ山に。
「ラン先生の孫でもよぉ〜大丈夫なんかなぁ。小娘だぞ。その弟子だっていう若いのはろくに棒を使えないと聞いたぞ……」
「ゴウ、オレはシャオメイを助けに行くんだ。そんなコトは考えねぇ心配したってどうにもなんねぇ」
大分山奥に入った。
「ポォ、そろそろ近くに来たはずだ。見張りがいるから気をつけろよ」
「見張りか……」
気配を感じる。
「ポォ師匠……」
「わかってる。あたしにまかせて」
走り出したポォは、手を使わずに木に登ると一人、棍棒の突きで見張りを木から落とし、また違う木に突きを入れる、その連続であっと言う間に三人の見張りを木から落とした。
さすが師匠だ。
「アロン、気絶してるうちに奴らを縛るんだ」
「違う、手は後ろに回し、手首を縛り。そこからエビ反りにして足首つないで足首も縛るんだ。気がついても何も出来ない」
なるほど。
「ビン、隠れ処はどっちだ。まだ周辺に見張りが居るだろ。始末してくる。アロン、綱を持ってついて来い!」
「ビン、あの小娘すげぇな……」
「だから、心配するなと……正直オレも驚いたけどな。ゴウ、その男たちの口に猿ぐつわをする、気がついて怒鳴られても困ると、行く前にあのアロンが……オレに。あの二人なら女たちを助けられる気がする」
「ああ、おまえ大丈夫だと言ってたよな。本当は……」
「ああ、本当は無理だと思ってた。だが、それを言っても。たとへ女たちみんなを助け出せなくてもシャオメイだけは……」
しばらくすると二人は帰ってきた。
「連中、酒池肉林の大宴会の最中だ。しばらく様子を見てれば皆、酔っぱらう」
「え、肉林ってシャオメイは……」
「待て、ナニをする気だ。一人であんたが行っても」
「しかし、シャオメイが……」
「安心しろビン、シャオメイを守ってくる!」
ゴウは、見張りから頭巾と眼帯を取り斧をかついで。
「待て、オレも行く」
ビンも頭巾を取り。ゴウを追った。
山賊たちは皆同じ緑色の頭巾をかぶっている。それは仲間の印のようだ。
二人は仲間に成りすまし宴会の中に紛れ込むつもりだ。
彼らならバレないかもしれない。
奴らも酔ってるだろうし。
「気をつけろよ!」
「大丈夫かな、バレたらまずいよなまあ連中酔っぱらってるからな……」
「バレたらあたしが出る」
「ひぃ……酒臭えな。村じゃこんなに酒はねぇ」
「きっと、ドコからか奪って来たんだろ」
「やめてください!」
「大人しくしろねえちゃん」
「おい、若いのは少ねぇんだ。てめえ一人で楽しませねぇぜ」
「わかってるよ、俺が先に味見したらおまえにまわしてやる」
「ビン、シャオメイが!」
「はなせ! スケベヤロー。ドコさわってんのよゲスが!」
「この女、急に口調が変わったぞ可愛くねぇな、大人しくしな! もう俺はしんぼうたまらん!」
ビリビリビリッ
「やめろ!」
「ヤバいぞ服を破かれたぞビン、アレ? ビン」
「おい、その女はオレが先に見つけて連れてきたんだ味見はオレが先だ!」
「あーそうか、わかった。おまえが俺たちの前で先にヤレ!」
なんだと……そういう展開かよ。
「あなた、もしかして……ビン」
「しっ。助けに来た……だが、どうするシャオメイ。とりあえずオレと……イテッ!」
「このぉてめぇなんて言った。てめぇが連れて来ただと。オレがかついで走ってきたんだ。その女はオラのだ!」
「おい、またかよ。なんなんだよ。面倒だから三人でやっちまおう」
ボカッ
「てめぇらなにすんだよ。てめぇの物は俺の物、俺の物はてめぇの物。それが俺らの掟だろ! ん、てめぇら誰だ? 見ねぇ顔だな」
「ああ、おい。デカいの、その眼帯はジャグのじゃねーか。怪しい奴らだな……てめぇたち知らねぇ顔だな」
「おい、バレたビン!」
「シャオメイをかついで逃げるんだゴウ!」
つづく




