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ラン・ロウシュンの家

14話 ラン・ロウシュンの家


「ラン・ロウシュン。私の棍術の師匠でな」


「そうか、じゃおっさんは兄弟子か。あたしは妹弟子だ。お祖父ちゃんから棍術を習ってる。ラン・ポォだ。この辺では『小旋風のラン』の名でとおってる。今日のケンカ獅子には、本名で、出たから賭けは不人気だったんだ。なんであたしに賭けた?」


「まあ賭けたのは私の弟子なんだがな」


「師匠が、どれにすると言うからボクはあんたに」

「アロンのアニキは女好きでしてね……」

「べつに女だから賭けたんじゃないよ。なんだか強そうに見えたんだ。獅子頭をかぶったポォさんの全身からメラメラと炎みたいな気が……」


「そうか、そんなふうに見えたか、あたし。あんた、名は?」


「ああ、チャン・アロンだけど、それはボクを拾ってくれて育ててくれた人の姓だから、名前しか知らないんだ捨てられた赤ん坊の産衣にアロンという名が……」


「え、アロンって捨て子だったの可哀想……」


「アニキ……そんなおいたちが」


「なんだ、あんたら仲間なのに知らなかったのか?」


「わたしたちは会って間もないのよ。こっちのマン・ケイやそっちのちっちゃい子もよ」


「あたしはマドーインハのニュウだよ。よろしく!」


「窓院葉のニュウ。変わったあだ名だな」




 翌朝……昨夜のポォの祖父に合うために師匠とボクとニュウの三人で町を出て向かった。


 リアンとマン・ケイは買い物に。マン・ケイはもちろん荷物持ちだ。


 町から少しだけ、離れた場所に掘っ立て小屋あった。

 師匠の師匠だから大きな道場を期待したが違った。

 柵が有り大分広い土地だが。家は真ん中にほっんと、ある。まあ二人で住むにはいい大きさだ。


 庭でポォが棍術の稽古を。

 昨日見せた棍棒さばきより豪快で速い。獅子頭がないからか、まったく違うと、いうか、カッコイイ。

 ボクは持ってる棍術棒を振り回して真似てみた。


「コラッ、ウチの技を勝手に盗むな!」


「いや、盗むなんて……カッコイイから、ちょっと真似てみただけだ!」


「おはよう妹弟子よ。師匠に会いに来たぞ」


「兄弟子たちか、お祖父ちゃんは中で寝ている。一週間前に腰を痛めてね……武術家でも歳には勝てないよ」


「ポォさん、ボクはこんなの持ってるけど棍術は全然出来ないんだ、教えてくれないか」


「いいよ、え~と」

「アロンだ」

「アロン、あたしを今日から師匠と呼べ!」


「ポーは、アロンのししょーか!」


「ああ、棍術を教えるんだからな。チビッあんたもやるか?」


「おまえもチビだ!」

「あんたより大きい!」


「アロン、たっぷりラン派棍術を学ぶといい。私は師匠に」


 師匠が小屋に入ると。


「ハイシンではないか。久しぶりだな!」


 と、老人の大きな声が聞こえた。


「ウチのジジィは声がデカいんだ」

「ジジィって師匠じゃないのか」

「ホントのお祖父ちゃんだからいいんだよ」


「おーい、ここは、ラン・ロウシュンの家だよな」


「そうだよ!」


「手紙だ! 急便だから早く受け取ってくれ!」


 馬車に乗った手紙配りの男だ。

 ポォは、柵の入り口の方に走り手紙を受け取った。


 急便とか言ってたな。

 ポォは手紙を受け取ると読み始めた。

 戻ってくると。


「あたしちょっと出てくる、お祖父ちゃんには明日には帰ると……」


 ポォはボクをジロジロと見て。


「おまえ、ケンカ出来るか?」

「ケンカ、出来なくはないけど。ケンカしに行くのか?」

「ちょっと違うが、助っ人を頼むほど使えるか? 見た感じ頑丈そうではあるけど……棍術は出来ないんだよな……だがあの坊主の弟子なんだよな。あの坊主はできる! その弟子のおまえはなら……」


「だけど、師匠は鍛錬ばかりで技ひとつ教えてくれないんだ。まあ体力ならある。ケンカは怖くない!」

「じゃついて来い!」


「そういうわけだニュウ、明日には帰ると師匠に」


「アロン、どういうわけだ?」

「ポォ師匠とちょっと遠出してくる。そういうわけだ! じゃ頼んだぞニュウ」


 ボクらは、旅支度もしないで柵の外へ出た。


「ポォ師匠、ドコに行くか教えてくれよ!」


 走りながらたずねた。


「お祖父ちゃんの友だちの村だ。山賊が村を襲いに来るから助けて欲しいと手紙に書いてあった。今の腰を痛めたお祖父ちゃんには無理だから、あたしが行く!」


「そういうわけか、しかし山賊相手に一人では」

「だから、助っ人におまえを……まあ山賊なんてあたし一人でもなんとかなる。あんたは棒をかまえて立ってりゃいいから!」



 もう、一ときほど走ってる。


「おまえ、体力あるな……よくあたしについてこられる」

「走るのは自信あるからな……」


「先の林道を出れば村だ。 ん、聞こえる!」

「何が!」


「アロン、草むらに隠れろ!」


 道横の草むらに入ると、聞こえてきた。

 あれは、馬の走る音だ。

 一頭や二頭ではない。もっと沢山の馬が走ってくる。


   ドドドドッドドドド


 三十頭くらいいただろうか。その後をニ十人くらいの男たちが走って行った。


 馬ばかりじゃなかった檻が乗った馬車がニ台。

 馬にも乗せられてたが檻にも女が。


「ポォ師匠、アレは……」

「遅かった……山賊が村を襲ったんだ」


               つづく

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