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天罪

131話 天罪


「何、ワシの頭の上に」


「さあ、ルファ突け! はずしたらラゴウに

当たるぞ」

「こいつめ、降りろ」


 ラゴウが頭を揺らし始めた。

 たまに狼牙棒を突いて来るが。ヤツの頭から肩に移って避けた。


「ちょこまかと、人の頭の上で」

 

 おっと、ボクはラゴウが狼牙棒を横にしたので。

 杖の部分に跳び乗り。

 跳び蹴りをラゴウの顔面にいれて馬から落とした。

 そこを狙って突いて来たルファの槍を掴みラゴウにルファを叩きつけた。


「グギャ!」


 その時ルファの槍が折れたので、ソレをルファの両翼に刺した。


「ルファ、コレで飛べまい」


 そしてルファの下になったラゴウの鎧を鉄製の棍術棒で突き壊した。


「ラゴウ、コレで裸同然だ! ボクはシリスより速い!」


「なにっ!」


「アレは朱雀死舞踏棍! あたしより早いし、正確に的を当ててる。あの棒でやったら普通の人なら、こなごなに……」


「ファハハハハ、ナニも聞かぬは」


「そうかぁ、あの時代遅れの武将グァンよりは鉄の棍棒だから効いてるはずだが……」


「うん、どうした? 体が動かん!」


「なんだ、聞いてるじゃないか」


 アロンのやつ死舞踏棍でツボを突いてたのか。しかも、あの速さで。


「アロン、危ない!」


 ウソだろ、アロンが翼ヤローに。剣で。


「大丈夫だ、チャオ!」


「うぬっ剣が……」


「大丈夫なのか、アロン背中に剣が……」


「私をあなどるなよツァンレン! この剣を心臓に……地の魔人の弱点は人の体だ! いくら摩天の魔王でも……うっ本当に貴様は魔王の力を……剣が動かぬ」


「ルファ、言ったろう。そいつはツァンレンではない!」


「女狐、何を!」


「ううっアガァ!」


「ナニ、剣が抜け飛んだ!」

「ルファ、顔と腹どちらがイイ?」

「顔はやめて! グッハァ!」


「白虎咆哮棍!」


 アロンの棍棒が翼ヤローの腹を突き、吹っ飛んだ!


 うわぁアロン、ラン派の棍術で奴らを。


「見事だアロン!」

「アロン……あのお兄ちゃんは、アロンと言うの……。おじさん、そばで会わせて……」


「坊さん、その子を」


「お主も双子だったな」


 師匠たちの馬が。


「貴様らは、城からそのガキを。そいつは本当にツァンレンなのか?」


「ラゴウ、無様だな。あの小僧に手足も出せないとはな」


「女狐め、人間側についたか」


「いや、ついてないぞ人なんかに」


「その坊主と仲が良さそうではないか」


「このお坊さんは、怖いお人だ……貴様らよりもな」


 ボクは、近寄ってきた師匠の馬に乗っている子どもを抱き上げた。


「おまえがツァンレンか……」

「お、お姉ちゃんだよね」

「え、ボクはおにいちゃんだよツァンレン」


「わかるんだよ、あんたの中に居るのは姉のツァンレンコーだと」


「やはり、そうなのか夢で見たんだ。この姉弟の別れを……」


「私も、坊さんに話を聞いてわかった。今までツァンレンだと思っていた。おまえはツァンレンコーを宿していたのを」


「やはり、そうだったのか。ツォンミン……」


 ボクの体が本来のボクに……師匠。


「師匠、この子を」


 ああ、アロンが倒れた。


「おい、油断するでない、ココは戦場のど真ん中だ」

 

「とは、いうものの周りは倒れた兵士だらけだ坊さん。戦闘は向こうのデカい奴の周りだけになった」

「チャオ、アロンの闘いの見学が出来たのはあたしらのおかげだ、なぁレイ」


「リー、レイ。ありがとう」


「いや、でもスゴイですねアロンさん。大丈夫ですか? アレは大河拳法ですがチャオさん」


「いや、新顔くんアロンの棍術はラン派の技だ!」

「が、棒を使うまでは大河拳法だったぞ小旋風」


「ああ、だがあの鳥オカマやろーをやったのもラン派の棍術白虎咆哮棍だった」


「あ、腹抱えてへばってるあの鳥オカマを鉄綱で縛りつけろレイ」


「鉄綱?」

「ラン・ミーレンが作った鉄の綱だ。持って来い、それなら魔神でも切れない」


「その立ちん坊のおっさんはどうするんだ坊さん」


「さて、天界人にでも幽閉してもらおうか。おお、ホラ天からナニか、降りて来るぞ」


「雲に乗って人が乗ってる!」


 雲から降りた鎧のおっさんと兵隊は天界から来たのか?


「天界で幽閉雲を破り囚人を連れ去ったのは、その二人の魔王かツォンミン。久しぶりだな」


「天界のターロ将軍だよ」


「ターロ将軍だぁ……普通の人間みたいだ」

「ポォ、よく見ろ額に目があるぞ」


「あんたらが子供にしたツァンレンだ。そこのラゴウとルファがたくらんだ犯行だよ。その子はもう許してやってくれ、ただの子どもだ」


「ソレは、私の決められぬこと。とりあえず渡してもらおうか」


「まあ仕方がない、ターロ殿この子はあずける」


「おや、お主は……。まあいい。悪いようにはならないよう天上様に」


 ズドン!


 向こうでゴブリンの大将が倒れる音がした。


 その後、トウメン国軍の兵士たちは武器を捨てた。


「終わりだ……もう勝てん」



 いま、あたいたちは天上の人間が罪人を連れて天に昇る奇景を目にしている。


「戦は終った……」


             つづく

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