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小獅子乱武

13話 小獅子乱武


 ケンカ獅子が始まった。


 太鼓の音が勢いをました。


 獅子たちが一斉に木と網で作られた塀に登り始めた。もうそこから技とかじゃなくケンカだ。


 皆、我先に塀を上がろうと必死になってる。


「アニキ、やっぱあのデカいかしらの獅子は余裕ですね。登る前に周りの獅子を蹴散らしてる」


「龍堂門の獅子に賭けとけばよかったんじゃない」


「いや、あの小獅子もなかなかだよ。口に咥えた棒を器用に使って網に登り始めた」


「ほお……あの棒さばきは見事だ」


「そうなの……わたしには……あっモウ塀の上に着いた速いわね」


「アロン、どうしたら勝ち?」


 マン・ケイの背負い荷物の上に立ったニュウが獅子たちを見ながら。


「あの塀の上に最後に残った獅子が勝ちだ」


「あ、虎ジマの獅子が登った。あの小獅子と一騎打ちね」


「おお、やはりあの棍術は……」

「師匠、知ってるんですか?」


「まあ多分……だが獅子が咥えてるからな。まだ確実とは……」


「やった! 虎ジマが蹴り落とされました。おっ次は赤いのが刀を持ってる」


「赤いのがお尻を向けて後ろ足のヤツが刀を。あれじゃ獅子舞じゃなくない」


「あ、小獅子の片目がやられた!」

「大丈夫だ」


 下方から棒が後ろ足のヤツを突いた。


「わっあそこは……」


「赤いのお尻をを突かれた!」


 しかしあれは、向きを変えていた後ろ足のヤツの股間のあたりだ。たまらんだろ。


「刀を落としたぞ!」


 小獅子は、棒で足払いして後ろ足のヤツを落とした。


 向きを変えた赤獅子の頭は足をすべらせたか、落ちた。


 下にいた獅子たちをかたづけた大頭の獅子が器用に登り始めた。


 おそらく最後はあの小獅子と龍堂門の大頭との一騎打ちだが、大頭は五人と胴二人で七人で小獅子は一人だ。

 一騎打ちと言えるか?

 でも、五人の頭持ちは塀の上では足場が悪い。


 四人が頭を持ち一人が前に出て双剣で闘いはじめた。

 小獅子は、咥えた棒を手にして応戦だ、獅子頭がなけりゃただの棍術対双剣だ。


「アロン、小獅子は勝てるかしら? あ、後ろのヤツが槍を!」


「ほお、あの獅子頭の視界でうまくかわすな。小獅子は動きが良い……あの動きはやはり」


 大頭の持ち手が変わる代わりいろんな武器で攻める。

 あの大頭にどれだけ武器が隠してあるんだ。


「あ、小さいのがでっかいのの上に乗ったよ!」


 大頭の上に乗った小獅子は棒で頭をブスブスと突き始めた。頭の上に上がった敵には手が出ない大頭獅子だ。

 頭をゆらして落とそうとするが落ちはしない。


「え、あれは有りなの」


 頭持ちの一人が、頭に小獅子頭をかぶり、獅子の背に乗った。手には大刀を持ってる。

 

 大頭獅子の頭の上で文字通りの一騎打ちに周りの観客が湧いた。


「負けるな大刀!」


「そんなチビ獅子なんか落とせ!」


「負けたら承知しないよ!」


 ほぼデカ頭の応援だ。まあ自分が賭けた獅子が負けるのを見たくないのだろう。


 もしかしたら、あの小獅子に賭けたのは師匠だけかな?



 町の某宿屋。


「いただきま〜す」


「師匠、勝ったのに……。これっぽっちですか?」

「コレは普通の食事だ。痩せるためだ、黙って食べなさいマンケイ」


 あの小獅子は見事に勝った。

 大刀の男など敵ではなかった。

 ヤツを大頭から落とすと、獅子の後ろにまわり胴のヤツから落としていき、頭持ちたちも、たちまち。


 賭けは大儲け。

 が、その晩の食事は宿の質素な物。


「みんな働いてないだろ。カネは大事に使わないとな。アロンの服代もなあるし」


「そうよ、あんたたち贅沢したかったらお金稼ぎなさいよ。アロンのボロボロになった服は人形の材料になるから捨てないでね」


「ああ……」


 毎度あんな風に変わったら服がいくつあっても足らないな。

 気をつけなくちゃ。


「師匠、あの奥で食べてる女の子は、昼間の」


「の、ようだな。チビスケ、ちょっとあの娘をこちらに呼んできてくれないか」


「いいよぉ」


「おい、コラッ。ニュウ、ドコに上がる!」


 ニュウは食台の上に立つと。


「そこのオネェちゃん! ししょーが呼んでる。こっち来て!」


 そんな呼び方かいニュウ。


 奥で食事をしていた少女は気づいて立ち上がった。


「おっさん、用があるならそっちから来い!」


「おお、これはやられたな。マンケイ、アロン食台を奥に」


 と言われてボクとマン・ケイで食台を奥に移動させた。


「これは失礼、お嬢さん」


「お嬢さんじゃない。ビンボーなただの娘だ。なんの用。坊さん?」

「昼間のケンカ獅子は見事でしたな。おかげで儲けさせていただいた」


「あんたらね。あたしに賭けてたのは。聞いたよ」


「ちょっとおたずねしたい、町の外で老人と暮らしてると聞いたが」


「ああ、お祖父ちゃんとね。親が早く亡くなったから今はお祖父ちゃんと二人なんだ」


「そのご老人はもしやラン・ロウシュンどのかな?」

「そうだけど、おっさんお祖父ちゃんの知り合い?」


               つづく

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