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力の解放

129話 力の解放


 牛の暴走だ、アレが真っ直ぐに町の高塀に突っ込んだら。

 牛も塀も、いかれるのでは。


 さて、コレをどうやって。


 ウモ〜


   ドドドッ


「はあっ!」


 トッケツの人たちが牛の暴走の前を横に走り、暴走を止めようとしている。

 いや、向きを変えようとしてるのか?


 出切れば牛や豚を傷つけることなく止めれれば。


 やってみるか。

 

「ウオォオオオ」

 

 ボクは内なる中の力を解放し、暴走牛の群れの前を思いっきり地面を踏みしめ走った。


「なんだ、あの小僧か?!」


「おわぁヤツの走った後に土煙が!」


「見ろ、土煙だけじゃないぞ土の壁が!」

「すげぇ速さで往復している。ありゃ人間技じゃねえ」


 牛たちの前を何度も横ぎり、ボク自体も壁に!

 それでも、何頭かの牛が前に。


「牛の群が向きを変えたぞ!」


「それでも、前に突進するヤツがいる。アレを止めろ!」


「へい、頭」


「何度言ったらわかる。頭と呼ぶな!」


「へい、頭!」


 あきれて、言う気がなくなる。


 しかし、あの小僧。なんだか体がデカくなってるぞ。やはり、ただモノではない。



 門前で。


「弓兵、やめろ! 槍歩兵が出る!」


「将軍、モクハイの戦でも彼に助けられた……。やはり、一人にしとくのはおしい男だ」

「あの小僧はリュー・ハイシンの弟子だからのう……」


「よし、我ら七武人も出陣するぞ。ハナ、レアンを出してこい」


 ハナは、レアンの同門の剣客だ。気が合うだろう女同士。


「ハイ」


「コンケイ、初陣だ。頼むぞ」


「ヤン殿、おまかせを」


 ハン・コンケイ。大斧の使い手だ。馬にも乗れる。馬上からあの大斧で撃たれたら、ひとたまりもない。

  

 見事な人選だ。モウ・ティンソー殿




 トウメン国陣営。


「ドウジェン、出番だ。おまえはツァンレンから、離れろ。ヤツは私とラゴウで殺る!」


「頼む、どーもヤローは苦手だ」


 家畜の暴走がズレて牛や豚が逃げた。

 

 あとは我らで。


「まず、残りの弾薬と投石器を!」




 跳び大ネズミをなんとかして。

 牛や豚の暴走の進路変えた、後は。



「おわぁーっ。大砲を、撃ってきたぞ!」


「石も飛んできた!」


 ナニ、まだ撃てるのか。



 インアルの門前。


「歩兵軍が、なかなか前に進めません!」

「なんとか、逃れろ! そう続きはせん! 大砲攻撃がすんだら騎馬隊出るぞ!」



 

「伝令! 大砲の砲弾がつきたようです。しかしまだ投石が」



「伝令! 投石もつきましたが」


「まだ、何かあるのか」


「弓兵部隊が……歩兵軍を」


「そんな物、盾で防いで前へ進め! 矢もすぐにつきる」



「将軍さんも戦なれしてないのか、なんか適当だな〜。敵の進軍はまだ来ないし暇だなイ・オン」


「ですな師匠」


「チャオ、リーやレイを見なかったか? シショーも居ない」


「あ、ニュウ。リーたちは裏門の方に……。もしや裏門から出て奴ら……おい、イ・オン、エ・ユエ。ニュウとミーレン邸は、頼んだぞ!」


「あ、師匠が外へ」

「師匠は暴れたいのね……」

「まったくだ、敵にする連中ではない……」



 荒れ地の戦場。


「矢の雨がやんだそ。 前進!」


「おい、なんだアレは」

「全身に矢が刺さったハリネズミみたいな大柄な男が頭を抑えたかっこうで腹ばいになって倒れてるぞ……」


「どけどけ、トッケツ隊だ!」

「コレは、小僧の遺体?」


 小僧とは、ちょつとばかり言えない大男だ。が、衣服はあの小僧。


「矢に当たり虫の息か……おや、動いた。かしらぁ〜ヤツは生きてますぜ」


 ハリネズミのような小僧だった男が起き上がった。


「頭、下がりましょう敵の槍兵が来ます」


 味方の槍兵もどっと全身。

 その後から歩兵軍が。


 人の倍以上あるだろう大男。

目立つしかも矢だらけだ。

 あれでまだ生きているのか。


 槍兵が数人、アレを刺した。

 まったく動かない。

 槍兵も死人と見たのか、やりすごした。

 やはりあれは死んでいるのか?


 このあたりが完全に戦場になった。槍兵歩兵同士がぶつかった。


「頭、ありゃなんですかね?」


 歩兵中にデカい亜人だ。

 見たのは初めてだがあれは。


「ありゃまえにアロンが倒したゴブリンだ」


「おまえは、あの小僧の」


「ソー・ムンラン、これからあたいの名を聞くようになるだろう。あたいは大河拳法の創始者チャオ・チアンウェイだ。覚えておくがいい!」


「おまえ、武術大会に出てたな酔拳使い!」


「ああ、でも大河拳法は酔拳だけじゃない。おっと。コラッ話の邪魔をするな」


 まあ戦場の真ん中で話をしているコチラが悪いのだが。


「ところで、ムンランの姐さん、あのハリネズミみたいな大男はなにもんだ?」


「知らんのか?」


「今、来たばかりだからな」


「おまえたちの仲間の小僧だ」


「アレ、アロン?……顔が見えないし。ちょつとばかしデカくないか。矢だらけで立ち往生か?」



 インアルの門。


 なんだか、みんな勝手に動いてるなぁ。屋敷にはチャオの弟子だけだ。

 みんな戦場に出たのか。

 あたいも行ってみるか。


 門の外に出てみると、跳ね大ネズミの死体がゴロゴロしてる。

 アレは今夜の夕食になるなぁ。


「ブタよ、前進だ……。おや、あっちこっちに、おまえの仲間が、おいこらドコに行く。そっちじゃないぞ」


 どうやらブタは、メスを見つけたようだ。

 前方のメス豚めがけて走り出した。


「ブヒィィィ」


             つづく 

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