アルのこたえ
119話 アルのこたえ
「おい、マン・ケイ、それは……」
「実は、村に居た頃から手をつけていたんだな。いつ生まれたんだ。おまえ、まだ十代じゃなかったけ」
「はあ……? チャオさん。この子のことかな。この子は私の子ではありませんよ、この」
マン・ケイと彼女のスーの後ろに娘が居るが誰だ。見ない顔だな。
ボクの目線に気づいたのか、マン・ケイ。
「この子どもはスーの姉のチュンの子です。彼女だよ。村から遊びに来てるんですよ」
「ソン・チュンですはじめまして、マンケイさん。遊びに来てるのではありませんよ。スーに届け物を……」
「だよな、やっぱり子どもなんて出来てない……。マン・ケイが親なんて。ん、スーのお腹が大きくなってないか?」
「アロンさん、コレは……マン・ケイと付き合ってたら、わたしも太ってきて……」
「アロン、失礼だな。なぁリー。やはり女を知らない男はだめだなぁ。これだから童貞は」
「いや、ごめんスー。チャオ、あんまりだ。そんなにダメか、童貞って関係あるのか。ボクは……」
「私は、まだ結婚前だし。未熟者なので、子など……。師匠の言いつけを守り養えない子などは」
「そうか、エライぞマンケイ。失敗するなよ……私みたいに……」
「え、師匠は……お子さんがいるのですか」
「いや、私もまだ床技の避妊法は極めてないからと……」
「師匠、女遊びは極めてからしてくださいね。で、ないと相手の女の人が苦労します」
コレは娘のひにくたっぷりの言葉。
「坊さん、弟子に説教かい、情けないなぁ」
アハハハハ
ここは、笑ってごまかすしかあるまい。
「場を和ませたのだ……」
リァンが師匠の娘とは、まだ秘密である。
べつにバレてもいいと思うがリァンは秘密だと。
相変わらずに発明に没頭してるのか、ラン・ミーレンは食事に現れなかった。
食事中に、チャオは簡単にタイホー県の話をした。
「アロン、タイホーでは魔王らには会わなかったのか?」
「ああ、アル。実はアルにたずねたいことがあって、戻ったんだ」
「わざわざ、戻ってナニを聞きたいんだ」
「アルは十三魔王をすべて知ってるか?」
「いや、あったこともないのがいる。実は魔王と知らなかった狐の姉妹とかラゴウやルファ。会ったことがある奴の方が少い。あまり、社交的ではないんだよ。あたしもふくめて魔王たちは」
「そうか……で、ツァンレンの姉という」
「ツァンレンコーか、アレは死んだと聞いている」
「そうか、他の連中と変わらないようだな」
「ナニがあった? レンコーは実は生きてたのか? それなら大変だ。アレは魔天でも迷惑なほど暴れん坊だったからな。ツァンレンより、やっかいなヤツだった。何しろ毒が効かなくてな。昔一服盛ったコトがあったが……」
「アルはツァンレンコーと会ったのか?」
「いや、会ってはいないが頼まれて毒を作っただけだ。天上界は抹殺したと言ってたが幽閉されてるという説もある」
「実は、ボクはトウメン国へ行きルファが幽閉されていた子どもを連れて来たのを見たんだ」
「幽閉されてた子ども?」
「その子は、自分がツァンレンだと名のったんだ」
「なによそれ?」
「コレにはラゴウも、ウーサイも困惑した」
「そうか、そこにあたしが居ても同じね。その子どもがツァンレンなら、あんたの中のツァンレンは、ダレだ。その気は魔天界で会ったツァンレンだぞ。ウーサイも同じコトを言ってなかったか。幽閉されてたのがツァンレンならツァンレンコーはどこへ?」
「わからないんだ。あの狐姉妹やシリスは知っているかな? ナニかな……」
「どうかな……。しかし子ども化したツァンレンかぁ、どんなヤツだった?」
「まだ、三、四歳くらいでカワイイ顔してて、長髪だったから男か女か……」
「そうか……戦う前に敵を知るのも大切だからな。ラゴウらはアロンを知らず戦い、負けてる。コチラも闇雲に攻めないことだ」
「たしかに……。ボクはナニも知らずにトウメンの王都に。ウーサイが、来なければ……」
「そのへんの話は、食後にゆっくり聞かせてくれ」
「アロン、ちょっといいか!」
ニュウが、ボクの席に。
「ああ、いいけどね。食事は終わったのかい」
「終わった。久々のカナの料理美味かった!」
「だよな。で?」
「帰って、『魔導引の書』の書を見ていた。そしたら魔王のコトが書いてあった」
「ホントかニュウ!」
「ホラ」
と椅子のそばで腹ばいになったニュウが本をめくり。ボクに見せた。
「ああ、ボクは字が読めないと……」
情けない、こんな小さい子が読めるのに。
「あ、そうだった。ここに十三魔王の名前が書いてあった」
「なんだって!」
皆がボクに目を向けた。
「どうした、大声出してアロン」
「ナニがあったのアロン?」
ニュウが、ひろげた本の字を読めない。なんと書いてあるんだ。
「その本は誰が書いたんだニュウ?」
と、ボクの隣のアルが、来てしゃがみこんで。
「コレはジジが書いた。字もジジから教わった」
ジジ、名前かそれとも。
「ジジが、ニュウのカバンに本を入れて町に行けと……」
「ジジって、お祖父ちゃんのコトか」
ウーサイが、ボクらの話を聞いていたのだろう。ボクの思ったことを聞いた。
「ジジは、お祖父ちゃんだよ!」
「コイツはスゴイな、なんでおまえの祖父さんはコレを書けたんだ!」
ウーサイも腹ばいで本の反対側から見て。
「お祖父ちゃんが昔、魔王拳の法術で降ろした魔王に聞いて書いたんだよ」
「ニュウの祖父さんも、魔王拳の法を……」
だからニュウもそれを。
「たしかに名前が十三……しかも、見ろアロン。ツァンレンコーとツァンレンのとこに」
「あ、ウーサイ。ボクは字は」
「そうだったな、名前の下にふたりを線でむすび一体と書いてあるんだ。もしかしたら、あの子どもはツァンレンでもあり、ツァンレンコーでもあるんだ!」
つづく




