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英雄の名は

117話 英雄の名は


「ああ、あの子どもは、なあ……聞いて驚くな」


「ツァンレンだろ」


「ソレも聞いていたのか。なら、話は早い。ヤツは天上により幽閉雲に入れられて存在を抹殺されたツァンレンコーだと思いルファは連れ出したが、本人はツァンレンという。おかしな話だ」


「そんなコトを言ってたな……。なぁあの子どもがツァンレンなら、ボクの中の存在は、なんなんだ?」


「それはだな……。あたいの考えでは十三魔王とはいうが皆が皆、顔見知りではないんだ」


「ああ、ウーサイもラゴウとは初めてと」


「しかも、地上。人間界に降りて、姿形が変わっているヤツも。が、気やその思考、おこないで誰とわかる……」


「で、ボクをツァンレンとわかる者も。ウーサイたちの様に」


「ああ、あたいが魔天で戦っていたツァンレンの気が、おまえから……。だから、わからなくなった。あの子どもがツァンレンなら、おまえの中のツァンレンは何者だ!」


「だよな、ボクもそれを……」


「ルファもラゴウも疑問をだいた。あたいらの知ってる魔王は、女狐の姉妹にその姉と逃げたシリス。そして亜人の美毒姫アル。ラゴウと、ルファで六魔王」

「魔人将軍だった二人に大ゴブリンになった奴とウーサイで十魔王。でツァンレンにその姉ツァンレンコー。あとひとりは?」


「あたいは、知らないんだ。あのルファもラゴウもだ」

「そいつのことは誰も?」


「わからん、きいてないのでな。女狐の姉妹か、シリス。あるいはアルが知っているのかも……」


「あ、おいボクが倒したコウモリヤローはどうなんだ。あいつを入れれば……」


「それがだな、あたいも聞いたことがあるが、ヤツは自称魔王で、他の魔王では認めてないのもいる。あたいもだが。アレは、もぐりだ。あたいの考えだか、あの子どもをツァンレンとツァンレンコーの同一体としたら、もっと納得がいく。で、天上はを奴らを幽閉した。あたいは、ツァンレンコーは天上に抹殺されたと思ってた。ルファはドコかで幽閉されてると聞きつけたんだろう。その幽閉され一体化されたツァン姉弟をルファが連れ出した。で、代わりにツァンレンになりすました最後の魔王があんたの中に……」


「ボクの中の魔王はツァンレンでなく最後のひとり……それは」


「誰か知らないのか……。なぜ、そいつはアロンの中に降りた」


「それは……知らないのか?」


「われらは、地の特別な力を持った道士などにより召喚され地へ降りる。今回はひとりでなく、まとめて魔王らが。そしてラゴウが、百年ぶりに地に降り、戦をおこした……」


「そうなのか、百年前の戦は誰かの魔導引の召喚術で……。だがラゴウはこの東方の地を征服出来なかったよな、統一したのは現華中国の初代皇帝だ」


「あたいは聞いたのは華中国におそろしく強い将軍が現れたからと。ラゴウの国はそいつに負けたんだよな」


「その話は伝説化されてるよ。わずか百年前の人なのに……。戦が終わると姿を消した英雄だ。その人は、ツゥン・シイアチイユドン。一説には戦後、出家しドコかの寺に。未だに生きて修行を続けてると……」


「生きてても、並の人間なら百才をこえたジジィだな……。そいつが最後の魔王だったなら、まだピンピンしてるだろう」


「出てきてもおかしくないよな……なぜか、戦になって思い出すこともなかった。普通の人間ならなくなってるかもと思ってたからか。ウーサイ。英雄ツゥンが魔王ならこの地にとどまってたことにならないか」


「他の魔王と地へ降りたのは変だろ、もともと地に居たんだから」

「おまえのいう英雄だったらのはなしだ。しかし、その英雄は、寺ではなく実は魔天に帰っていた。我らに知られずに魔天に居て、ツァンレンをかたったのかも……」


「なるほど英雄ツゥン・シイアチイユドンは実は魔王だったか……。考えても結論は出ない。まず、他の魔王に話を聞こうじゃないか」


「知りたければ動けだ」

「それは?」


「あれ、誰に聞いたんだっけ。師匠かな? まあ誰でもいいや。ウーサイ、今夜トウメン国から出よう」



 王宮。


「ラゴウ、あの子供は男女一体だ」

「なに、それはルファ、おまえと」


「おなじか、それとも天上によるものかは、わからないが。そうなら、アレはツァン姉弟が一体化された姿。いやもしかしたら、はじめからツァンレンとツァンレンコーは同じ一体の魔王だったかも」


「なるほど、ならもうひとりは……」


「そのことか……たしかに数が。コウモリのモグイはあくまで自称。私は認めてない。私もラゴウも知らぬ魔王とは?」


「でな、ワシは考えた。百年前の戦でワシに勝った人間がいたツゥン・シイアチイユドンとかいう華中国の将だが気になった。アレは本当に人だったのか」


「当時、闘ったのではないのか?」


「アレの闘気が凄まじくての。魔天の者かとも、わからず負けてしまったのを思い出したわ、そしたら今でも思い出すと寒気がする」


「そのような人間が……」


              つづく

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