城から脱出
116話 城から脱出
「侵入者は、女か?」
「いえ、見張りの兵士になりすましたヤツです。塔に追いつめました」
「何者だ? 捕えて吐かせろ!」
「女狐では、ないようね……」
上に逃げたは、いいけど。コレは? どこまで続く階段なんだ。
おっ光が見えた。
どうやらそこで終わりか。
下で追ってくる兵士たちの声がする。
扉を開けて外に出ると。ここは、全都が見渡せる塔の見張り台?
アレは城の庭にあのブタが見えた。
「もう、逃げれんぞ!」
上がってきたか。
「ソレが、逃げられるんだな……」
「ナニ、飛び降りた!」
「下だ、下へ行けって、ここから飛んだら死ぬぞ!」
「おい、つぶれた死体を回収するのか……」
ボクは、ブタの上に着地した。
ピギャー
うわっブタが目を覚まし、起き上がった。
ボクはブタの頭の上に行き、話しかけた。
「ボクだ。アロンだ、わかるか」
ブヒィィィ
「よし、このまま城から出るぞ。おまえが開けたあの穴だ!」
ブヒッ
「王様、侵入者は塔から飛び降り豚に乗り逃走を!」
「あの、豚でか。追え、王都から出すな!」
「やはり……。女狐では」
「豚でトンズラか、大胆なヤツだなぁ〜あれだけ目立つのでは逃げ切れまい。捕まえてくるか、あたいのブタだ」
「ウーサイ、ヤツをココへ連れてこい!」
「ラゴウ、馬を借りるぞ!」
「ウーサイめ、ナニしに来たのだ……」
「ルファ、アレは信用できんか?」
「ああ見えて、魔王では腹の読めないヤツだからな。あんたは初めてか?」
「ああ」
「おそらく、戻らないと……。おい、誰か! その子供に服を着せ、部屋を与えろ」
「ツァンレン、腹はすいてないか?」
「すいた!」
立ち上がった。その裸体に目を。
ナニ、こいつは、バカな。
侵入者は、おそらくアロンだろ。あたいのブタが、背に乗せるなんて、ヤツしかいない。
大通りを突進してる。王都から出るつもりか?
前を走るブタは、あたいが入ったときにぶち壊した、門へ向かってる。その後を兵隊が。
門の前で。
「ウーサイ、待て!」
「アロン、ブタから降りたのか」
「ああそうだ。せっかく王都に入ったからな、まだ出ない。ブタは、外に出れば逃げ切れるだろう」
「だな……」
「ところでウーサイは、なんでラゴウのとこに?」
「深い意味はない」
「そうか、ドコか落ち着けるトコへ行こう」
兜と鎧を取り、ボクはウーサイの乗った馬を引き、モロコシを焼いていたパン屋に。
「また、あんたかい。なんか、デカいブタが現れたと騒がしかったね。まさか、あれは……」
「ボクは関係ないですよ。ナニか騒ぎがあると、よそ者が疑われますよね。だから裏路地を」
「そうだね、あのデカいブタはドコから来たのかね。野良豚にしてはキレイだったね。その馬の子は?」
「子ではない、あたいは大人だ」
「それは、失礼したね。あんたの女かい? もう都で女を、見かけによらず手が早いねぇ〜」
「女って、たまたま会った知り合いです。あのドコか目立たない宿とかありませんか」
「宿……そういうことかい、あんたも好きだね」
「あの、ナニを?」
「ああ、わかってるよ。楽しみたいんだろ。この路地の突き当りに雑賀屋があるんだよ。そこは闇宿だ、ちょっとばかり高いがパン屋の紹介だと言えば普通の宿と同じになる。合言葉があるんだよ」
「なんです?」
「モロコシは、使える」
「そう言えばいいんですね」
親切なパン屋だった。
ボクらは路地の奥に。
二階建の雑貨屋を見つけて中に。
「いらっしゃい」
店の奥には白いヒゲを鼻の下に生やしたボロボロの帽子かぶった老人が。
「あの、パン屋さんの紹介で」
「で」
「モロコシは使える」
「なるほど、宿か。そこの扉を開ければ階段がある。おっと、前払いだ」
扉を開けると便所じゃないか。
「ご主人、ここは……」
「横の壁を強く押してみな」
なるほど、隠し扉か。階段がある。
「もっとマシな所に作れんのかなぁ臭うぞ」
「聞こえたぞ、上は大丈夫だ」
「ジジィめ、耳が良いな」
「階段の先が天井に、押して見るか」
やはり、開いた。上は部屋に。闇宿のわりにキレイな部屋だ。
古そうだが西方風の大きな寝台がある。二、三人は並んで寝れるだろう。
「さすが王都の闇宿だ洗面台もある。ところで『モロコシは使える』とは、どういう意味だ」
「さぁ? また、会ったらパン屋に聞いてみろ」
「で、ナニを聞きたいんだ。あたいとラゴウのコトか」
「あぁ、ソレも聞きたい。なぜ、ココに?」
「そんなコト、きまっているだろ」
「ボクを追って……で、門破りして王都に」
「ああ、門番が面倒なコトばかり言うから、ぶち破って城まで走った。城には知り合いが居るはずだからな。ラゴウではないぞ、ヤツとは初対面だった。ルファだ」
「でも、城壁破って入ったら変だと思われなかったのか?」
「大丈夫だった。ラゴウのヤツ、あんがい話しのわかるヤツでな。ちょうどルファも留守でたすかった。ルファは疑り深いヤツで何考えてるかわからんからな……しかし、ブタには可哀想なコトをした」
食料だ、なんだと言ってたけどウーサイ、ブタに情が。
「あの、傷だらけになって死んだブタを治して生き返らせたじゃないか」
「アレは上手くいった」
「生き返らせる保証はなかったのか?」
「いざとなったら、中に入り操って逃げるつもりだった。あのときから侵入してたのかアーロン」
「ブタが城壁破ったときに」
「で、あたいやルファたちの話も」
「ああ、あの子どもは何者なんだ? ツァンレンと聞こえたぞ」
つづく




