ひとりたりない
114話 ひとりたりない
デロデロデロ
思ったより剣が切れた。ブタの内腹に剣を入れたら内臓が。ドドットあふれ出た。
「おい、ちゃんと押さえてろよ。かなりでっかくなってるなぁ……もっと奥かな? あった!」
「ソレは……」
「心の臓だ! そりやっ」
ウーサイは引きずり出した心の臓を叩き出した。
「もういっちょう!」
しばらく叩き続けたら心臓が動きはじめた。
「よし」
ウーサイは心の臓を豚の腹の中にいれると足で押し込んだ。アラぽい蘇生術だ。
コレが噂に聞く。
「おーい、誰か裁縫の得意なやつ、ブタの腹を縫ってくれ!」
そういうと桶で手を洗い。
「しばらく寝かせておけば内臓の位置も戻り、正常になれば起き上がれるだろう。そしたら自分で移動する。ラゴウ。腹減ったんだけど、ナニか食わしてもらえないか」
あのブタ、城壁にデカい穴を開けて入って来たけど、中庭で倒され。
兵隊たちが、ブタ騒ぎしているときにブタの開けた穴から城にもぐり込めた。
ボクは見張りの兵士をボコり、服と鎧と兜を奪い見張りになりすました。
兵士によって矢や槍でブタは倒された。
かわいそうに。おまえ、こんな最後になるとは。飢えたボクたちの食料になって死ぬはずだったのに。
こんなに傷つけられて。
「おい、おまえ何をしてる!」
「すみません、ウマそうなヤツだと思いまして」
「ああ、肥えてて美味そうだ。何人分の豚スープが作れるかなぁ……今夜が楽し。あ、離れろ。王様がみえた」
え、ラゴウか。前を歩くのはウーサイだ、さっき捕まったように見えたが。
今は縛られてもいない。
ウーサイは、まさかラゴウと。
ウーサイが兵たちにブタから矢や槍を抜くように言った。
ボクはラゴウの近くに行くとまずいと思い城壁までさがって、高台にあがりウーサイたちを見ていた。
ウーサイがブタを生き返らせたようだ。
ブタをキレイにさせてラゴウと城へ入った。
しばらくすると空から舞い降りた者が。
アレは、翼を持った魔王ルファだ。
子どもを抱えていた。何処からか、さらって来たのか?
しかし、子どものあつかいが、さらったようには見えないし。
子ども、怯えてはいないように見える。
何者だ。
狐の姉妹にシリス、それに亜人のアルと同じくゴブリンのドウジェン。将軍をしてたグァイとグァン。コウモリヤローに、あのウーサイとこの国の王になったラゴウ。今見たルファで十魔王、あと、ボクの中のツァンレンで、まだふたり魔王が、いる。
あの子供も魔王のひとりか?
城内、客室で食事をとるウーサイ。
あの豚は生き返らせたのか。
意外と同じく摩天の十三魔王とは、いえ皆顔を合わせてはおらぬ。
中には存在も知れぬヤツも。
不死身とも聞く奴もはたして。
「つかぬことを聞くが、東の三魔王相手に闘った相手の中に妙に人間離れした奴らが居たと聞いたが、知ってるか?」
「それ、どんな連中? このパン美味いな。肉もいける」
「やたらとデカい槍を使う男やちょこまかと動く双剣使いの女がふたり、そしてこの城に入り込んだ豚も居たそうだ、あれほどデカくなかったようだが、そこにおまえも居たんじゃないのか? ウーサイ」
「ブタが勝手にツァンレンについて行ったんだ。あたいは知らん」
「天狐の姉妹を知ってるか?」
「聞いことはあるが会ったことはない……。姉の方は見たコトはある」
「あの戦いにドウジェンも加わったが、ツァンレンにやられた。おまえはツァンレンの好敵手と言われたのに何故だ。なぜ同行していた」
「ヤツは昔のツァンレンじゃない。あいつと闘ったら、あたいは負けたんだ。で、仲間になったふりして同行してた。スキあらば、どんな手を使ってでも倒そうとね」
「好敵手が、あきれるな。卑怯な手も使うつもりだったのか……」
「ああ、だがヤツは強い。あの天空一の速さを誇るシリスよりも速く動いてヤツを捕らえた。たまたまいた、女狐の姉とデキてたのを知ったツァンレンは、女狐とシリスを逃がした。甘いやつだ、あいつは」
「ツァンレンが、そんなコトを信じられんな。アレは恋とかそんなモノには……」
「あ……ツァンレンと言ったが、ヤツは昔と違う。人の心がしたんだろ」
「もう一人の女狐も言っておったな、昔と違うと。アレはしばらくして顔を見せんな。まだ、顔を見てないのが居るはずだ。名しか知らないおまえみたいのだ」
「ルファは、ここに入るんだろ。美毒姫のことか、知らないのか?」
「ヤツは亜人とし、この地に……。けっこう怖い奴だアレは……」
「ドウジェンやシリスもそうだったが亜人の姿なのか美毒姫は、天界では美人と聞いていたが……。ん、このラゴウについたのはワシとルファをたして六、そして狐の姉妹、ウーサイとツァンレンで十、ソレに亜人の美毒姫。コウモリ姿になった亜人のモグイは自称魔王だと、ルファが。で、今ひとりを……おや、それでもひとり足りぬのではないか十二だ」
「あのコウモリヤローはもぐりなのか、なるほど、たしかに足りないな、あとひとり」
「おまたせした、ラゴウ。客人とな。女狐かと思えばウーサイではないか」
「久しぶりだな、男女。いつ子どもを作った?」
つづく




