ウーサイが来た
113話 ウーサイが来た
何故だ。幽閉されていたのはツァンレンコーではなく、ツァンレンなのか?
わからん。が、ここまで来たのだ。
私はこの幽閉された子供をかかえて人界へと降りた。
「師匠、トウメン国の方へ流れ星が!」
「あたいも見たぞレイ!」
「ええ、あなたたち真っ昼間に流れ星を見たの?」
「はい、姉弟子。向こうのトウメン国の方へ白い線が」
「チャオ、まさか新しい魔王が降臨したとか? アロンやウーサイがトウメンに行ったコトにナニか関係があるのかも」
「少し気になる……あたしらも行くか、トウメンへ」
「私は、はじめから行くつもりだった。トウメン国にも大河拳法を広めるんだろチャオ殿」
「師匠、トウメン国に?」
「ししよー言った。アロンのトコ行く!」
トウメン国王都。
モロコシ粉で作ったというパンを日陰のある路地で食べてると、なんだか大通りの方が騒がしい。
「ブヒィィィイ!」
ドドドドドドッ
なんか、聞いた声だ。
ちょっと大通りの方に顔を出すと、デカいブタが疾走してくる。
豚の背にある椅子型の鞍にはウーサイが。
あいつ、ボクを追ってきたのか。
ブタの後には馬が見えた。アレは兵隊だ。
ウーサイのヤツ、門破りをしたのか、兵隊に追われてる。
ブタは、真っすぐボクの前を走り抜けた。
ボクなんか見えてない。
ウーサイも見えてないようだ。
どうする、追うか?
いや、ここで騒ぎに巻き込まれたら面倒だ。
ウーサイ逃げ切ってくれって、そっちは城だぞ。
トウメン国、城の王宮。
なんだか、外が騒がしいな。
「なんだ、外の騒ぎは?」
「おい。誰か見てこい!」
どうしたんだ?
ルファが、居ないときに。
ん、なんだかワシは、ヤツを頼りすぎてはいないか。ヤツの軍師気取りに好き勝手やらしていたら東の惨敗だ。
もう少し自分で動くか。
外の騒ぎはまた、女狐でも来たのか?
「王様、城庭にブタが入り込んだと騒ぎに!」
「豚? 狐ではなく?」
「ブタです。通常の三倍はあるデカいヤツでして、上に子供が乗ってるとか……」
「子供だと、どんな?」
「はあ、十歳くらいの女の子だと」
「そやつがデカいブタをあやってるのか。面白い。捕まえてここに連れてまいれ」
「ブタをですか!」
「豚はいい、娘っ子だ。バカもの」
それから、しばらくして。
しばらくして縛られた小娘が連れてこられた。
「早く歩け、ガキ。王様の前だ。ひざまずけ!」
「その子供が豚で城に侵入した……」
「は、やっとのことブタを刺し殺しまして」
「貴様ら、あたいの大事なブタを殺しやがって、後でブタと同じ目に合わせてやるぞ!」
「黙れガキッ、大人しくしろココを何処だと思ってる」
「知るかよっ! あたいは、わざと捕まったんだ」
「大人しくせんか! 王の御前だ娘」
「ほう、その娘は子供の女体ではないな」
「スケベそうな王だな、あたいの巨乳に見惚れたか。なあラゴウ」
「なんだ、小娘、王を呼びすてするとは」
「初めてだな、貴様は?」
「あたいはウーサイだ! こんなものは、よっ!」
ブチッ
「小娘、綱を!」
槍を持った兵士どもが、あたいを囲んだ。
「そんな物で囲むな、あたいは何もしない!」
「ウーサイだと……貴様はツァンレンと行動を共にしていると聞いたぞ」
「そっちこそルファを軍師にやとい好き勝手にやらかしてると。ヤツは居ないのか?」
「まあ、ちょっと出ている。なにしに来たウーサイ。まさか豚でワシを……」
「まさか。一人で一国相手にするほど、あたいもバカじゃない。デカいとはいえ豚一頭でだ……。おい、あたいのブタを散々槍で刺して、ブタはどうした! おまえら」
「ウーサイよ、貴様には敵意は感じない……。おい、豚は?」
「はつ、城庭で横たわっています、コレから解体して、どかそうと」
「解体だと、あたいの許可もとらずにか、殺すぞ。てめぇら!」
「わかったウーサイ、豚はどうする? 墓でも作るか?」
「いや、あたいが処理する。こいつらをどかしてくれ」
「よし、行けと言いたいところだが、ウーサイ。ツァンレンと居たおまえが今頃何しに来たか、言ってからだ」
「あたいはヤツらと離れた。で、この地で知るのは、あんたらだけだから来た。それでいいか。おい、槍で人を囲むな。どけ!」
「行かしてやれ。ウーサイ、ワシも処理とやらを見させてもらっていいか? 噂では聞いている」
「王様、こやつは?」
「魔人将軍と呼ばれた奴らの仲間だ」
「え、この小娘が!」
「おい、ラゴウ! あたいをグァイやグァンと一緒にするな!」
ウーサイは、城の中庭に横たわった槍や矢で血まみれになった巨大豚の前に立ち。
「おい、兵士ども。この槍や矢を抜け!」
そういうと矢を抜き出した。
抜きおわり、豚の傷をひとつひとつ手かざしで治しだした。ウーサイの再生能力か。
そして。
「ラゴウ、よく斬れる剣を貸してくれないか」
「よし、コレを貸そう。ソレは見てくれは雑剣だが、切れ味は最高だぞ」
「ほう、斬れそうだな」
「どうする?」
「そこの兵士、5人ばかり来てくれ。今からこいつの腹を斬るから内臓が出てきたら押さえてくれ」
「ええ、内臓を……」
つづく




