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チャオの弓技

110話 チャオの弓技


「ヤン、何を言ってる小僧は部外者だ。しかも、我らの邪魔をしている。そんなヤツを」


「レアン、七武人はもとから皆が天導引の人間ではないのは知っているだろ。ラ・カンなどは寺の人間だ……彼の力が欲しいのだ」


「天導引の七武人とやら、私はアロンの保護者ではない、ただの師弟関係。ソレは本人に聞いていただきたい。私が決めることではない」


「確かに……で、彼は本当に何処へ行ったのか知らんのか?」


「知らないと言ってるだろう弓のおっさん」


「ヤン・クアンウ殿、彼があのコウモリ魔人を倒したときに一緒に戦ってた者たちが居たと聞きました」


「私も聞いたが、たしか、女が3人と槍使いの男、ソレに大きな豚が居たと聞く。いま、ここにいかにもな女が二人居るが、あんたちは彼の仲間なんだろ」


「正解だ、あたしが大河拳法でトウメン兵百人はやったかな」


「また、チャオ大ボラを。あんたが倒したのは、せいぜい五十人だ。あとは、あたしとウーサイが……」


「あ、槍のな、グッピーってヤツが、目の見えない将軍相手にしてたけど。目が見えない将軍なら、あたいでも」


「そうか、やはり。目しいた魔人将軍を槍の男が。その男にも会ってみたいもんだな。ブタは見えないが、どうした」


「ブタはウーサイっていう女のモンだが、アレも、あたしらから離れて、ドコかに行っちまった。槍のグッピーは、まだコーメイに居るだろうが、いずれ国を出るそうだ。仲間にしたいなら、早く行った方がいいぞ」


「そうか、その馬車にまだ誰か居るようだが」


「私の弟子のひとりだ、リァンファ出てきなさい」


「わたしはリ・リァンファ、アロンの同門です」


「俺ら夫婦は、そこのチャオ師匠の大河剣法の弟子だ」


「おお、コレは小さな……」


「あたいも小さい方なんで、あたいがあみだした大河剣法は、彼らに向いているんだ」


「ほう、大河剣法とな。おまえが、あみだしたのか?」


「ああ。おっさん弓使いだろ、あたいと勝負しないか、大河拳法の中には弓技もある大河花弓術!」


「小娘が、私と弓勝負とな……。面白いやろうではないか」


「ヤン、そんなヒマ……」

「大丈夫だ、すぐに終わる」


「悪いんだけど、今はあいにく弓も矢も持ってないんだ。貸してくんない」


「よかろ。誰か弓兵、その娘に弓を貸せるやつは居るか!」


「私のを」


「おう、コレまたデカいのが……その男のでも、使えるかな」


「どんな弓でも……。使えなくては大河拳法ではないからな」


「この弓をおまえごときが使えるかな……」

「すまん、弓は久しぶりだ……かなり張ってあるなこのツル」


「引くのが精一杯だと、勝負にならんな!」


「なんの、ちょっと喉をうるおす」


 チャオは、腰のひょうたんから飲んだ。


「チャオ、酒のんだら的に当たらないぞ」


「的は、ここから百歩くらい先に、誰か的になる物を置いてきてくれ」


「そこの歩兵、兜を置いて来い。心配するな新しいのを支給する、そいつはもう古いんだろ」


「はい、祖父の代からの……」


「イ・オン、チャオの弓を見たことあるか?」

「いえ、俺たちは剣術しか……」


「はぁ~ふぅ~」


「なに〜小娘が、俺の弓を引いた!」


「見てな!」


「おお、見事に兜を直撃! さすが師匠だ。なぁユエ」


「やるではないか、では私も」


「おい、馬上でか」


「だめか?」


「その方がおまえ、有利だろ」


「いや、そんなコトはない」


「おまえも馬から降りて射て」


「わかった」


 ヤンという七武人のひとりは馬から降りるとすぐに矢を射った。

 見事に兜に命中。


「では、」


 そしてヤンは二本の矢を同時に放った。


 二本とも兜に命中。


「矢を三本くれ」


「なに」


 あたいは、二本同時に放ちすぐにもう一本放ち三本が兜に。


「うわぁ〜アレ誰かが、かぶってたら頭がハリネズミだなぁ。あ、また飲みだした。大丈夫なのか? そいつは酔弓とでも言うのかチャオ」


「あんた、その酒は本物か?!」


「とどめだ! うぃ〜」


 あたいのとどめの一矢で兜が割れた。


「まあ私も連射は早いが、その……酔って弓を射つなど出来ぬ芸当だ……」


「あ、チャオ。寝ちまった。こいつ酒に強いのか弱いのか……。困ったヤツだ、おいチャオ。イ・オン、水あるか」


「へい」


「その娘、百人やったというのはまんざらウソでもなさそうだな……。大河剣法とやらも見てみたかったぞ。将軍、戻りましょう。ここでトウメン軍にでも襲われたら、ソレにここはタイホーに近い。あそこはどうも何か企んでそうであぶない」


「そうですな、『中央』のトウメン討伐の命令を無視した県だ、なにしでかすやら……戻りましょう」



「あ、行っちゃいましたね。ニュウ、もう出ても大丈夫よ」


「ニュウを殺しに来た女の声した! 今度来たら呪い殺す!」


「ニュウ、そんなコトしちゃダメよ。いくら親や仲間の仇でも……。今度はあなたを仇と来るわよ」


「だな、チビスケらしくない言葉だったぞ。『呪う』などと口に出すでない、おまえさんも家族を殺った連中と同じになる。そういえばあの女についていた子分どもが見えなかったな……」


「ありゃまた、誰か来るぞ。坊さんアレは軍隊じゃないよな?」


「さっきの連中より少ないな、何者かな? 馬なのは確かだ……」


  ドドドドドド


              つづく  

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