敵討ちに来た
100話 仇討ちに来た
スー・チーアル、よくもまあぬけぬけと。
「スー殿、昨夜なにか騒ぎがあったと聞きましたが」
朝から広間にお出ましか、ハイ・ワイシン。
「町長、道場前に居酒屋の女が」
「居酒屋の……。一人か?」
「いえ、何やらゴツい男が三人。あれは居酒屋の用心棒と聞いてます」
「居酒屋の女が用心棒連れて現れたと? スー殿、昨夜の話は後に。急な客が見えたのでな!」
道場の方へハイ・ワイシンが町長助手の女と出ていってから、俺は坊さんの方へ。
「おい、坊さん。俺は昨夜暗殺者たちに襲われた。薬が効いたふりをして、ここから出たら……。まあ返り討ちにしたがな」
「師匠、何の話です?」
「あんた、まだ弟子に話してないのか。もう女将が来てるぞ」
「そうか……アロン。と、言うことだ。スー殿と、外に行き女将に助っ人してやってくれ」
「なんだ、坊さん。朝から何の話だ。助っ人って?」
「リー殿も一緒に。居酒屋の女将が町長へ仇討ちに来たから助っ人してやってくれ。あの男はクセもんだ正体をあばいてこい!」
また急なんだから、師匠は。
「チビスケはココに私と。足手まといになる」
「え〜ニュウも行きたい!」
「ニュウ、師匠の言うことを聞いてくれ」
「ニュウは、ししよーの弟子じゃない」
「そりゃそうだが、人質になっても助けないぞ。それでいいなら」
「ニュウは、助けはいらない!」
「だそうです師匠。ニュウを」
「好きにしなさい」
「ニュウ、ブタのエサやり手伝ってくれ、それから仇討ちを見に行こう」
「うん、わかったウーちゃん!」
ニュウのやつ、妙にウーサイになついてるな。
「じゃスーさん。行きましょう。で、なんか段取りとか?」
「いや、なにも……」
ボクはスーさんと道場を通り出入り口方へ行き、外の様子を見た。
「用心棒三人が倒れてますね」
「まあ奴らは時間稼ぎみたいなもんだ」
朝から木枯らし吹く町の門の前。
道場の横の大通りのはじめだ。
中年のぽっちゃりぎみのオバサンがカマのような武器を持った男たちに囲まれてる。
皆、黒装束で頭と鼻から下を布を巻いて隠してる。
「奴ら昨夜の暗殺集団だ、俺がやった奴らだけじゃなかったのか。昨夜は骨を折ったりハズしたから、朝から闘えるのは別の連中だ」
「おい、ハイ・ワイシン。私と勝負しろ! この連中はなんだ!」
「まだ、この町に居たとはな。ヒ・ファフアン! まあ、生きていても私の相手にはならんが。おまえなど私が手をくだすまでもないわ。ヤレ、隠者ども!」
「危ない!」
おっ、俺より先に飛び出した。
坊さんの弟子の若いのが。あっさり、女将を囲んだ偃月刀の連中を。
「ああ、また先をこされた。あんた、もたもたしてたら存在感なくすよ!」
双剣の女が、ハイ・ワイシンの前に。
「あんたは、あんな怪しげな部下が居るんだね。タダの町長ではないと思ってたけど……」
「なんだ、女。リーとかいう坊主の連れ……。おい、ミン。相手してやれ」
町長の助手の女ね。懐から、とがつた棒を二本、手にして回転させた。
アレは見るのは、初めてだが峨嵋刺ね。
回転式の手のひら用の槍ってとこだね。敵じゃないね。
ほう、あの姐ちゃんは峨嵋刺使いか。次から次と、ここの町長って〜のは。
「あんたは俺が!」
「ほう、スー殿の相手はわしではない! 師匠、お願いします」
「ナニ、あんたは!」
「土泥流バイユイ殿、この若輩者を」
あのボロ雑巾みたいなおっさん、町長に技を。
「あんた、自分が魔人に魂を売ったのが、わからんねぇのか!」
「町長は、私の武術を買ってくれたのだ!」
ボロ雑巾が、地に伏せた。そして、どういう風に手足を動かしてるのか、わからんが土煙を上げて、俺に迫ってくる。
「土泥流波動向、それだとスー殿の酔拳は役にたちまい!」
「なるほど、こんな珍奇な動きでは酔拳など」
しかし、こいつだってこっちを見てるはず!
「酔拳は、奥が深い。酔剣をお目にかけよう」
「おばさん、大丈夫ですか?」
「ええ、あんたは?」
「リ師匠の弟子ですアロンともうします」
「お坊さんの……」
「あなたの助っ人をするよう言われました」
「私の兄と弟の仇は町長よ。聞いてる、あの男は技泥棒なの。そして、盗んだ相手をこの暗殺団に殺させてるのよ。武術家の敵よあの男は」
町長は、部下と昨日のボロの武術家を闘わせて自分は見物してる。
「おばさん背に」
「わたしゃ重いよ大丈夫かい」
「問題無し!」
素早く町長の前に。おばさんは隠し持っていた短剣をを出し。
「前町長だった、兄とそこの道場の前師範だった弟の仇、討たせてもらうよ!」
「あ、だめだおばさん!」
つづく




