第2話 もしも妹がいきなりラスボスを倒したら
※この物語はフィクションです。事実とは異なります。
妹、ココロは魔法使い。それは努力の末に手に入れた力という訳ではなく、生まれついてのモノで、地球に居る時はたまにしか使っている所は見たことがない。
そんなココロでも唖然としてしまう物があった。目の前の魔王だ。
剥き出しになった牙と筋骨隆々の黒い肌で、まず間違いなく今までの地球で見てきた動物などとは比にならない恐ろしさ。
和希もビビって何一つ身動きが取れないでいたが、さらにビビっている者がいて。
「えっ、なんでココが分かったんだ?!!」
魔王もビビってた。
一瞬の戸惑いの中、次の行動に移れたのは強者である2人だけで……
魔王はコホンと咳払いをして名乗りのフェーズに、ココロはすかさず暴力解決の方向にシフトした。
「俺様はマオ――ッゴフッ…!!」
開き始めた口を下から突き上げ、そのまま空中へ。風の魔法で魔王のデカい図体を右往左往四方八方へとぶつけて回る。
魔王も「ちょっ、勘弁して……!!」と言ったところでココロは魔法を解き、そのせいで魔王は最期に地面に叩き付けられる。
完全にヘロヘロと目を回し戦闘不能状態の魔王を見つめて和希は(あれ? 魔王倒したってことは俺のファンタジー、おわり?)と白目を向いた。
魔王が気絶から一瞬だけ気を取り戻して
「俺が死んでも第2第3の魔王がやって来て、人間全てを蹂躙す、る……――。」
と嘆くと、
(あっぶね、まだ活躍の余地あるじゃん)
などと和希は余裕をこいて調子に乗っていた。
そして和希は、魔法で空を飛ぶココロを見つめる。
ココロは上空から眠っている魔王の残骸を見渡しながら、(これどうしよう…)と思案を繰り広げていた。
正直、跡形もなく始末してしまうのは簡単で、ココロ自身もそうしたいと思っている。ただし、魔王がこいつ以外にもいると聞いた途端、取るべき行動が変わった。何か聞き出せる情報を得てからでないと今後に支障が出る。
ココロは和希とともに地球へ帰ることを望んでいた。
神からすれば、魔王を倒すという目的を達すればこの世界に自分たちが居続ける理由はなくなるだろうとココロは考えたのだった。
ココロは和希の元まで降下し話しかけた。
「和希、この後どうする? このまま待つか、それともどこかに場所を移すか」
ココロは空の上で考えたことの中で、最終的に残った質問だけを和希に投げかける。
それは、和希ならば自分の考えていたことが一言で理解できるだろうという、信頼とも言えるコミュニケーションの節約があった。
「ん。ン~。」
その前に聞きたいことがある、と和希は思考を巡らせ、ココロに1つ尋ねた。
「もしかしてなんだけど、お前って俺の妹じゃない?」
「あー、バレたか」
1話と書き方ちゃうやんな。
あらすじ紹介書きってむずい……