ハイカラじいさん
この家は、私が生まれる前に個人で建築物の基礎を造っていた祖父が建てたといわれてる一軒家。
早速ではあるが家の内部をご紹介しようと思う。玄関から入ってすぐ傍に祖父の使っていた事務室と書かれた仕事部屋と和室の部屋2つ。玄関に戻り反対側に4つの和室とダイニングキッチン。そこから階段を上り2つの部屋と広さが約2部屋分の洋室の部屋がある。
その洋室は昔、祖父がよく友人とお酒を呑んでいたそうだ。バーカウンターと大きなソファとテーブル、天井にはシャンデリアがあって、そのシャンデリアが落ちてくるのではと思ってジーッと見ていた記憶がある。とある大工の方に家屋の1部リフォームをしていただいた時に、当時はハイカラなじいさんだったんだなといわれて、随分変わった人という印象を受けて内心とても驚いたものだ。
その「ハイカラじいさん」の家には庭もある。石垣で高くなった段に植物が無造作に植えられているのか、どこからともなく勝手に生えてきたのかわからない。
大きな松の木が石垣と庭の中心に位置し、周囲の石垣にも楓、梅、杉の木が植えられていた。そして、バラである。「ハイカラじいさん」といえばバラなのだ。
そのバラは1本の茎が伸びその横からいくつもツルが伸びていて、雪が降る寒い冬でもその姿は変わらない様だ。相当打たれ強いものだ。あの世界的童話「眠れる森の美女」でも出てくるマレフィセントの作品にも、トゲトゲした茨がでている。
バラにはトゲがある。トゲがあれば当たれば痛いというのは経験したことがあるからか、その子供でも理解できたわけで。昔小さい頃に石垣を島、他の地面は海として兄弟仲良く遊んでいたが、そのバラのトゲを見るたびになぜ、こんな危ないものを庭に置いているんだと思っていた。
ただ、その時に思ったでけですぐ遊びに加わる。きっと祖父には意味があるからバラもあるのだと思う。そう思うまで小さいこの時はまだ、気付きもしないのだが。