表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Little Twin Princess  作者: Clover☆Fairy
17/20

17章 魔法

 ジェシーはラビニアの部屋に来ていました。

庶民(しょみん)のハリーがセーラに、白薔薇(しろばら)のニコルがローラにデレデレしてて、本当に不快(ふかい)だったわ。」

 不満を言うラビニアにジェシーが言います。

欲望(よくぼう)(おさ)えきれずにメイドに(おそ)いかかったとなれば、(かれ)らへの評価(ひょうか)も下がるだろう。そうなれば、ニコルは白薔薇ではいられなくなるどころか、この学院にもいられなくだろうね。」

「メイドに(こい)なんかするから、こんなことになるのよ。」

 ラビニアは、セーラとローラがメイドになったとしても彼女(かのじょ)たちを愛するニコルとハリーが(ゆる)せませんでした。

 セーラとローラは、とぼとぼと屋根裏部屋に向かいました。そこにベッキーがやってきました。

「セーラ様!ローラ様!部屋が大変なことになってるッス!」

 ベッキーがあまりにも(あわ)てているので、セーラとローラは急いで自分たちの部屋を確認(かくにん)しました。

 (ゆめ)でも見ているのでしょうか。見ると、ふたつあるベッドには分厚(ぶあつ)いベッドカバーがかかっており、ふわふわの毛布(もうふ)もあります。テーブルの上には、なんとごちそうまでありました。さらに、テーブルに置かれたランプも夢のような演出(えんしゅつ)をしていました。

「夢かしら?」

 セーラは部屋に入り、考えました。すぐ近くで、ローラはテーブルの上のフォークを手にしています。

「セーラ!これは夢じゃないわ。きっと魔法(まほう)よ!ベッキーやシンディも()んで食べましょう。」

 ローラの呼びかけにうなずいたセーラは、部屋に(もど)っていたベッキーとシンディを呼び、4人でごちそうをいただきました。

 「魔法」は次の日も続きました。朝起きると、ボリュームのある4人分のパンがテーブルの上にあったのです。セーラとローラ、ベッキーとシンディはそれを食べて、元気に仕事を始めました。

 一方、なぜニコルが白薔薇(しろばら)をやめなければいけないのか納得(なっとく)がいかず、ハリーは(くや)しい思いをしていました。そんなハリーに、ピーターが声をかけました。

「ニコルへの処分(しょぶん)を取り下げてもらえるように(ぼく)たちからも言うよ。大丈夫(だいじょうぶ)、君たちが(こま)るようなことにはしないから。」

 放課後、ラビニアとジェシー、そして新しい白薔薇のクラウスにとって都合(つごう)のいい内容(ないよう)の記事を作るために、ミンチン・タイムスの編集(へんしゅう)をする新聞部はジャネットに取材をしていました。いつもは笑顔で何を考えているかわからないジャネットですが、明らかに(おこ)っていました。

「相手の気持ちを考えずに面白半分で取材を行うなんて無神経(むしんけい)です!それで白薔薇だったお兄様は困っているんですよ!学院の新聞を作るなら、それくらい考えるのは当然ではないのですか!?」

 はじめて聞くジャネットの大声に新聞部員はびっくりして、ほかの記事について話し合いながら歩いていきました。近くのテーブルに(すわ)っていたリックが言いました。

「ジャネット、見直したよ!お姉ちゃんたちが見世物(みせもの)にされるのが(いや)だったんだけど、僕はそんな行動力がないし…。」

「いえ、私は当然のことを言っただけです。あまりに無節操(むせっそう)だったので。私はこれで失礼しますね、リック。」

 いつもの笑顔に(もど)ったジャネットがこう言うと、リックを置いて歩いていきました。

「ジャネットに初めて名前を()ばれた…。」

 呆然(ぼうぜん)とするリックのもとに、ハリーとロッティがやってきました。

「ジャネットはお兄ちゃんのことが好きなんだよ!お兄ちゃんったら、にぶーい。」

「そ、そうなの?」

 兄をからかうロッティと視線(しせん)をずらすリックの横で、ハリーはつぶやきました。

「よく言ってくれたな、ジャネット!」

 その(ころ)、ジャネットはプラチナ生のピーター、サクラ、ケント、ガートルードと合流していました。ミンチン先生に本当のことを言うために、みんなで院長室に行くためです。

「なんですって?クラウスくんが不正を行って白薔薇の地位を得たのですか?」

 聞き返すミンチン先生に、ピーターが言いました。

「はい。クラウスは自分が白薔薇になるために、ラビニアやジェシーと協力(きょうりょく)してニコルを(わな)にはめました。」

「院長先生、こちらが証拠(しょうこ)となる音声です。」

 ジャネットがそう言って、持って来ていたスマートフォンに録音(ろくおん)した音声を再生(さいせい)しました。クラウスは実力(じつりょく)ではニコルに勝てないから、ラビニアやジェシーと不正を行ったのです。

 この日の夕食後、ラビニアたちは院長室に()び出され「二度とほかの生徒に危害(きがい)を加えない」と誓約書(せいやくしょ)を書かされました。これを書かないとプロムに参加できませんし、ラビニアは赤薔薇(あかばら)をやめさせられてしまいます。不正が発覚(はっかく)したクラウスも、白薔薇の地位を剝奪(はくだつ)されました。

「みんな、(おれ)のために動いてくれたのか。」

 ひさしぶりにプラチナ(りょう)の談話室に顔を出したニコルが言いました。

「ラビニアたちのやったことが(ゆる)せなかったんだ。それに、ニコルは白薔薇にふさわしい人だと思う。」

 ピーターは少しほほを赤らめながら言いました。ピーターはニコルのことを尊敬(そんけい)していましたし、自分にはないリーダーの素質(そしつ)があるとも思っていました。

 次の日の朝食が終わると、ニコルはミンチン先生に呼び出されました。ニコルはなぜ呼び出されたかわかっていました。

「ニコルくん、あなたには白薔薇に戻ってもらいます。」

 院長室でそれを聞いたニコルは(うれ)しくなりました。そして、お礼を言いました。

「ありがとうございます!」

 この日もセーラとローラ、ベッキーとシンディは用意してくれた朝ごはんを食べて、仕事をしていました。放課後、アメリア先生とカール先生は姉にセーラとローラを(さが)して院長室に連れてくるよう言われました。セーラとローラが来ると、ミンチン先生が言いました。

「セーラ、ローラ、お前たちあてに荷物(にもつ)(とど)いています。明日は働かなくていいから、放課後のホームルームにこの中の服のうちどれかを着て行きなさい。メイナード先生にも話をしておきますね。」

 ミンチン先生はそう言って、ふたつあるトランクをそれぞれセーラとローラに(わた)しました。セーラとローラは自分たちの屋根裏部屋にこのトランクを運んで話をしました。

「『右側の屋根裏部屋の少女たちへ。』と書いてあるわ。きっと魔法(まほう)使いさんからよ、ローラ!」

 セーラがローラに持っていっていた名刺(めいし)を見せました。ローラは目を(かがや)かせ、うなずきます。

 トランクを開けてみると、たくさんのお洋服がびっしりとつまっています。セーラとローラは次の日に何を着て行こうかと話し合っていました。

 次の日の放課後のホームルームで、メイナード先生は明るい声で言いました。

「今日はみなさんに特別(とくべつ)なゲストをお呼びしています。入ってきてください!」

 メイナード先生の合図で、セーラとローラが入ってきました。(おどろ)く生徒たちにメイナード先生は言いました。

「世の中には不思議なことがあるんですね。ないと思っていた遺産(いさん)があったんでしょう。」

 3年A組のみんなと記念写真を()った後、セーラとローラはピーターに話しかけられました。

「大事な話があるから、この後プラチナ寮に来てほしいんだ。」

 談話室に来てみると、ニコルに連れられて来たハリーもいました。ニコルのブレザーには、白薔薇のブローチが輝いています。しばらくすると、ピーターがラビニア、ジェシー、クラウスの3人を連れて談話室に入りました。

「ごめん!あんたたちにひどいことをして、赤薔薇として失格(しっかく)だわ…!」

 真っ先にラビニアが頭を下げました。()き出すラビニアに、セーラは(やさ)しく言いました。

「そんなことないわ、ラビニア。あなたは、なんにでも熱心(ねっしん)に取り組むすばらしい赤薔薇様よ。」

「セーラ、僕たちも君の優しさを見習わないといけないね。実に魅力的(みりょくてき)だよ。」

 クラウスがセーラをほめたので、ラビニアは注意しました。

「クラウス、その前にあんたはあやまらないといけないでしょ!あんたが提案(ていあん)しなかったら、こんなことにはならなかったんだから!」

 ラビニアとクラウスの様子を見て、ジェシーがすまなそうに言いました。

「私たちは許されないことをした。君たちを(あざむ)いてしまったのだからね。この一件(いっけん)で私たちは君たちの(きずな)の美しさを実感したよ。」

 こういったジェシーに続いて、クラウスも言います。

「僕も(もう)しわけないと思っているよ。取り返しのつかないことになっていたかもしれないからね。」

 あやまったラビニアたちを見て、ピーターはこう言いました。

「ラビニアたちはあの後、もう二度としないように言われたからね。これからはこんなことはないと思うよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ