生贄の花嫁編-2
亜弓が病院からかえると、メゾン・ヤモメのリビングは大騒ぎだった。
「見て、これが今日ゲットした福袋よ!」
桃果はテーブルの上に少し自慢気に今日買った戦利品を並べている。ベーカリー・マツダのパンとチケットの福袋、ケーキ屋スズキの焼き菓子詰め合わせ福袋。福袋では無いが、この町でスーパーで配っていた紅白まんじゅう。どれもお値段以上のものだ。
「でかしたわ、桃果!」
栗子も戦利品を見て自分の事のように大喜びだ。猫のルカも心なしか機嫌がよくソファに上でニャーニャー鳴いていた。
「シーちゃんも事件捜査なんてしないで福袋買えば良いじゃない」
「それはそうなんだけどねー」
栗子はたった今帰ってきた亜弓に福袋の戦利品のように事件解決に繋がるそうな手がかりや新情報を披露する。
「本当ですか? 真凛と会える段取りまで行ったんですね?」
亜弓も今日得た情報を栗子に話す。桃果も聞いていたが、事件調査などには興味がなく、福袋に戦利品を見つめ、栗子が買ってきたシュークリームを頬張った。
「正月そうそう事件調査なんてよくやるわね」
「良いじゃない。警察だって正月だから油断しているかも!」
「そうですかね? あの人達は正月なんて関係ない激務でしょ」
いつものように栗子にボケに亜弓がツッコミを入れる。
「やっぱり、ミチルの姉が怪しいわねぇ」
「私もそう思いますよ。何か手がかりが掴めると良いんですけね」
新情報を共有したが、結局事件については何も思い浮かばない。とはいえ、明日の真凛に会う事、アイドルのイベントに行く事で手がかりが掴めるのかもしれないと二人とも前向きだ。
ちょうどそこへ幸子も福袋争奪戦から帰宅。両手いっぱいに洋服やファッション小物の福袋を持ち、顔が赤らみ上機嫌だった。
「幸子さんおかえりー」
みんなで出迎え、ケーキ屋スズキで買ったものをみんなで食べた。桃果はもう食べてしまったが、紅白饅頭も手をつけていた。
「こんな食べたら太っちゃうわね」
桃果はそうはいっても、嬉しそうだった。やはり元旦なので、メゾン・ヤモメの中にもおめでたい雰囲気が流れていた。
「いいじゃないの。どうせ私達はおばさんなんだから」
「まあ、美容面はどうでもいいけど、健康面が気になるわよね。糖尿病や癌にならなきゃいいけど…」
おばさん二人はちょっとしめっぽい。この中で若い亜弓と幸子は顔を見合わせて苦笑する。
「もう栗子さん達、正月早々暗いですよ。ねぇ、のが幸子さん」
「そうですよ。せっかくのケーキなんですから楽しみましょう」
こうして元旦の今日の日は美食まみれで終わった。夕飯は年越しうどんで、ツルツルとした喉越しの良いうどんを楽しんだ。栗子の年越しソバを食べ損ねた残念な気分はすっかり消えていた。
事件も健康面も仕事の行方み気になるが、ほんの少しだけ何も考えずに食事を楽しんだ。
「ニャ!」
猫のルカも桃果お手製のペットフードを食べながら、機嫌よく鳴いていた。




