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シープルおばさまは名探偵〜唐揚げと生贄誘拐殺人事件〜  作者: 地野千塩


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呪われた火因町編-4

 一方亜弓は、大晦日の日は遅く起きてきてダラダラと過ごしていた。栗子が仕事中である事にちょっぴり罪悪感も感じつつ、年末年始は休みなのだからと自分にいい気かせ、猫のルカの動画や写真も撮ったり、桃果と一緒にお雑煮や黒豆の煮物準備をしながら平和に過ごした。


 メゾン・ヤモメの掃除当番でもあったので、トイレや風呂の掃除もしてスッキリする。こうして平和に過ごしていると、この町で事件があった事など信じらて無い。由紀乃の呪いも含めたら全部嘘なんじゃ無いかと思うほどだ。


 その後は夕方までダラダラとスマートフォンを見て過ごす。


 主に陰謀論者・陽介の情報を調べていた。ブログはもちろん、各種SNSのアカウントを持っていて、頻繁に更新されファン達が絶賛している。特に動画は女性ファンの黄色い悲鳴のようなコメントで埋め尽くされていた。語ってる内容は、医療利権の闇、日ユ道祖論、怪しい健康情報、芸能人の死の謎、ワクチンの闇などの怪しい陰謀論だったが、一種のアイドルのような人気だった。亜弓はファン達の気持ちがわかるなと思いながら動画を見続ける。たいした収穫はない。実にダラダラとした年末年始らしい有り様だった。


 ただ、陽介のSNSに行くとこの火因町のミチルや真凛の事件も言及されていた。ミチルの事件があったのにも関わらず、真凛は絶対悪魔崇拝者の仕業だと主張。現在捕まっているキムも庇っていて、一部の読者から叩かれていた。


 最新の投稿でが、由紀乃の呪いに言及していた。どこから調達してきたかは謎だが、大量の資料の画像がアップされていた。資料は古い火因町の郷土資料のようで、紙質はかなり劣化していた。画像をよく見ると、古語のような日本語と英語も見える。年末年始はこの資料を調べて、由紀乃の呪いの謎を解くと豪語。


「この事件は絶対陰謀論風だ。必ず解決して見せる!」というコメントもあった。普通ならこう言ったコメントを見ると、亜弓は冷めるものだが、惚れた弱みがあるので、陽介を悪く言えない。


 そうこうしているうちに夕方になり、栗子と二人で雪也の家に向かう事になった。

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