呪われた火因町編-3
翌日は大晦日だったが、夕方になるまっで栗子は自室に閉じこもり仕事をしていた。といってもコージーミステリの企画作りで、メンタルがえぐられるシンデレラストーリーの少女小説の企画や執筆ではなかったので、大晦日の仕事ではあるが楽しくて仕方がない。
「パティシエ探偵花子!」の続きは無理だとはわかっているので、今回はカフェ店長か、買い物好きのOLをヒロインにしようかと思う。
幸子のカフェの仕事内容をちょっと聞いたり、都内で働くOLのブログやSNSを見ながらイメージを膨らませて、大まかなキャラ設定やプロットを立てていく。
やはりコージーミステリは良い。日本のミステリ界隈で殺人事件が起きるライトミステリの需要が無い事は重々承知しているが、素人に探偵役が警察や探偵に侮られながらも事件を解決に導く様はスカッとする。小さな町の平和が守られていく様もよい。美味しそうなお菓子や料理、楽しそうな季節のイベントに、可愛いペットや子供達。栗子はなぜ日本でコージーミステリが受けず、日常の謎解きが主流であることが解せない。殺人事件があるからこそ、ヒロインの正義感や逞しさが生きてくるのに。
そうは言っても半分ぐらい趣味になってしまったコージーミステリの企画作りは楽しく、あっという間に時間が過ぎる。メンタルがしんどくなるシンデレラストーリーの少女小説について考えないだけでも楽しかった。




