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その8
お兄さんと交わっている相手は……?
(噓でしょ? なんで?? ありえないから?!)
その顔は私が毎日鏡で見る顔。
すなわち私自身なのだった。
私がベッドの上でお兄さんと愛の行為に励んでいる??
(なんでー!!!!!!)
心の叫びは、猫の鳴き声となって部屋中に大きく響いた。
「!!」
お兄さんがは動きを止め、体を起こして私の方を見る。
「ル、ルミ? なんでっ?!」
猫の私と自分の下にいる私とを交互に見てお兄さんは呆然となる。
すると、「私じゃない私」がこちらに顔をむけた。
「あら、ルミ。来たわね」
私の声だけど口調は落ち着いていて艶がある。
「にゃあぁぁごぉぉ」
低い声で「誰なの?」と問う。
相手は私の言葉がわかるようで、
「誰だと思う?」
と質問に質問を返してきた。
私は毛を逆立てて怒りをあらわにする。
「冗談よ」
相手はお兄さんと密着したまま体を起こしてこう告げた。
「私はルミよ。今はあなたの体を借りているの。そうね、中身を入れ替えたと言えばわかるかしら?」