番外編-ヒロの家の話④産まれる前
後日。
佳巳「お母さん。僕たちアメリカに移住します。」
えい「はあ?アメリカ?またアメリカの大学に行って勉強したいのかい?」
佳巳「いえ、妻や子供たちの環境を優先したいからです。」
えい「はあ?じゃあアンタ仕事はどうするんだい?」
佳巳「仕事は見つけました!」
えい「仕事って?」
佳巳「学校の先生です。大学で生徒さんたちと交流して、生徒さんたちに保育の事を一生懸命教えていきたいんです。」
えい「アンタそれなら日本でもできるよ。アンタだけは日本に残りな。」
佳巳「ボクは母さんや父さんの事も大事だけど、妻や娘たちの事を1番に大切にしています。第一に妻の体調が良くないのは母さんが原因です。」
えい「はあ?わたしが?」
佳巳「そうです。母さんは私たちの間に男子が産まれないからといつも妻に対して態度が悪いと思います。でも、それは実際妻が悪いのではなく自然な現象からだと思います。私たちは母さんと違い自分たちの子供は男の子でも女の子でもどちらでも構わないと思っています。母さんは私たちに干渉しすぎです。いい加減にしてください!私たちはもう成人している大人です。放っておいてください!」
えい「アンタそれ本気かい?本気でわたしから逆らえると思っているのかい?!」
佳巳「本気です。もう母さんと話す事はしばらくありません。みんな行こう!」
佳巳がそう伝えると佳巳の後に妻のエマ、娘3人が続いて家を後にした。
渡米してから、7ヶ月後の4月1日。
佳巳とエマの間に初めて男の子が産まれた。
名前はアメリカ国籍名でジェームズ・バーナードと名付けた。
息子をジェームズの愛称であるジェイミーと呼んだ。
浦嶋夫妻、娘3人、エマの父のタカオ【高雄】や義母でロシア人のヴィクトリアは幸せに包まれた。
しかし、この幸せはすぐに壊れてしまう。
ジェイミーが産まれてから2日後。
風の便りで日本にいるえいに男の子ジェイミーが産まれた事が伝わってしまったのだ。
病室にいると急に佳巳の携帯に着信があった。
プルプルプル
佳巳は家族に黙ったままこっそり病室を後にして電話に出る。
佳巳「…もしもし。」
えい「ヨシミかい?久しぶりだねぇ。元気にしてたかい?私は今物凄く元気だよ!何故ならアンタに男の子が産まれたそうじゃないか!私にも孫息子の顔を見せてもらえないかな?」
佳巳「嫌です!母さんには見せたくありません。じゃあ。」
ブチッ!
ツーツーツー
えい「なんなんだい!あの子は!こうなったらわたしが直接行って孫息子を奪おうではないか!オーホッホッホ!」




