番外編 ヒロの家の話③産まれる前
ジェイミーが産まれる7ヶ月前。
佳巳の妻のエマは自分の体調がおかしいと疑い、病院へ駆け込みました。
佳巳『…ふう。もし仮に4人目が出来ていたと過程したら母さんの反応はどうなるだろうか。女の子だったらエマはまた母さんから迫られ攻撃を受け、男の子だった場合当然ながら母さんは喜ぶに決まっている。』
ガラガラガラ
診察室の扉が開き、看護師さんが佳巳に中に入るよう声をかけた。
佳巳「失礼します。」
先生「こんにちは。お待たせしました。どうぞ旦那さんも座ってください。」
佳巳「はい。」
佳巳は医師から促される前椅子に腰掛ける。
先生「検索結果ですが。奥様の子宮に新しい命が誕生しました。性別はまだわからないですが、これから検査して行くうちに徐々にわかってくるでしょう。」
佳巳「わかりました。これからよろしくお願いします。」
先生「こちらこそよろしくお願いします。」
夫婦は診察室を後にして待合室のソファに腰掛ける。
エマ「…ねぇ。ヨシミさん。」
佳巳「ん?どうした?」
エマ「I am afraid.【私、怖い。】」
佳巳「…多分母さんは女の子とわかったらまたキミを攻撃するだろう。提案がある。東京を離れよう。」
エマ「え?!でも私たち仕事している身だし。それに娘たちにもお友達がいるし。簡単に東京を離れられないわよ。」
佳巳「なあ。思い切ってアメリカへ行かないか?」
エマ「あ、アメリカ?!私は支店があるからいいけど、あなたは…。」
佳巳「大丈夫!絶対成功させてみせる。第一にキミもあの母さんから離れられた方がスッキリするだろ?」
エマ「でも…。」
佳巳「ん?何かまだ問題あるのか?」
エマ「…住む場所よ。アメリカと言っても広いわ。日本とは違うんだから。」
佳巳「…シアトルはどうかな?キミの実家からも近い。これから出産するにはちょうどいいだろう。それにシアトルには大学がある。私はそこに就職する。海産物は新鮮でおいしい。どうかな?」
エマ「…シアトルねぇ。それなら私の実家に住まない?私が父を説得するから。」
佳巳「キミの実家があるベルビューからはシアトルに30分あれば行ける。よし!そうしよう!決まりだね!」
エマ「帰ったら娘たちを説得しなくちゃ。子供が出来た事はまだ内緒ね!伝えるのはアメリカに着いてから。」
こうして浦嶋夫妻は環境の為にアメリカ行きを決めました。




