第86話 偶然ね!
ボクは家へ帰る前にスーパーに寄って買い物をしていた。
高嗣『えーと今日の買う物は…』
ボクはリュックサックの中からメモ帳を取り出す。
高嗣『おっと!コレコレ!今日の晩ご飯は豚汁。買うのは、豚肉、糸こんにゃく、うどん。あと、明日の朝ご飯の納豆とネギと卵と牛乳と味噌。荷物が多いけどボクが買わないと家に食べ物がなくなる。筋肉ないひょろひょろだけど頑張って買って帰ろう!』
ボクは青果コーナーから見て色々買って、最後に牛乳が置いてあるコーナーにたどり着いた。
清水「おい、佐藤。」
高嗣「あ!し、清水先輩!!」
清水「久しぶり!元気か?」
高嗣「は、はい!元気です!」
清水「よかった!俺は今元気じゃない!風邪を引いているんだ。」
高嗣「え!大丈夫ですか?!マスクはした方がいいかと。」
清水「ちがーう!そっちの風邪じゃない。恋の方だ。」
高嗣「恋?恋に風邪なんてあるんですか?」
清水「え!お前知らないのか?まさか…お前って…童貞?」
高嗣「い、いきなりどういう質問ですか!ぼ、ボクは童貞ですよ。」
清水「そうか。」
高嗣「…そ、そういう先輩はヤリチンなんですか?」
清水「はあ?!俺ヤリチンじゃねえよ。そもそも俺はお前と同じ童貞だ。」
高嗣「えー!!絶対嘘ですよね!」
清水「何故そうなる!」
高嗣「え、だって先輩。えーとえーと。」
清水「なんだよ?」
高嗣「は、恥ずかしくて言えないです!」
清水「なんでだよ?」
高嗣「…先輩ば、ば、爆乳が好きじゃないですか。」
清水「ああ。そうだが。」
高嗣「だ、だ、だから」
紫帆「佐藤くん!やっほー!」
清水「誰だ?この美女は?」
高嗣「松山さん!」
清水「うーん。美人だけど胸が小さいな。」
高嗣「…先輩!それは」
紫帆「…貴方ちょっと胸が小さいってどういう意味?!」
清水「佐藤たかしの彼女ですか?」
紫帆「…私、人妻ですけど。て言うより!貴方失礼な男性ね!最低!」
清水「ん?人妻?では佐藤とはどういう関係ですか?まさか不倫関係!?」
紫帆「何でそうなるのよ!意味わかんない!」
高嗣「先輩。か、勘違いしないで、しないでください。ボクと松山さんは…と、友達なんです。」
清水「…友達?なるほど!よかったな!佐藤。美女と友達になれて!おめでとう!俺は嬉しいぞ!」
パチパチパチ
高嗣「…どうしてそんなに喜んでいるんですか?」
清水「はあ?だって美女が旦那と別れたらお前はこの美女を狙えるんだぞ?」
高嗣「え?ボク松山さんとは最初からそういう関係を望んではいないのですが。そもそもボクには初恋の人がいます。」
清水「何!?佐藤!今、何と言った!?」
高嗣「…だからボクには初恋の人がいると伝えたのですが。でも…振られちゃいました。」
清水「佐藤!おめでとう!お前にやっと春が来たんだな!」
パチパチパチ
高嗣「せ、先輩!ボク振られちゃったんですけど。」
紫帆「こいつさっきから思ってるんだけど、頭大丈夫?」
清水「大丈夫です。最初からネジ外れてるんで!」
紫帆「…あ、そう。」
清水「お姉さん。俺と佐藤は友達です。」
紫帆「そうなの!?」
高嗣「…は、はい。」
紫帆「こんなチャラそうな頭おかしい人と?」
高嗣「…松山さんも人の事言えないと思います。」
紫帆「なんですって!どういう意味?!佐藤くん!」
高嗣「…あ、えーとえーと、その。」
清水「…さっきの俺が胸が小さいって言ったのと大した変わりないってことだろ。」
高嗣「…は、はい。そうです。」
紫帆「…そうね。」
高嗣「…ご、ごめんなさい。松山さん!友達辞めないでください!お願いします!お願いします!お願いします!」
紫帆「…佐藤くん。私、佐藤くんとそれくらいで友達辞めないわよ。だから大丈夫。安心して。」
高嗣「…ほ、本当ですか!?」
紫帆「…本当よ。」
高嗣「…よ、よかった。」
紫帆「それくらいで友達辞めるヤツは大したことない中身の人よ。私はソイツらとは違うから安心して。」
高嗣「あ、ありがとうございます。」
紫帆「…ところで。佐藤くんは何買いに来たの?」
高嗣「…ボクは夕飯の足りない物を買いに来ました。」
紫帆「私も。ふふ。偶然ね。」
清水「俺もだ。」
紫帆「皆奇遇ね!うふふ。」
高嗣「そうですね。あはは。」
清水「だな!あはは。」
紫帆「あ、佐藤くん!貴方荷物重いようだから私の車で送ってあげる。」
高嗣「い、いいんですか?…あ!でも」
あの家が知られてしまうのはマズイです。
 




