第84話 現実を見なさい
紫帆「だってあの人かなりのナルシストよ。美意識過剰だし。男なんてね、あんなに美を追求しなくてもいいものだと私は思うの。まあ、彼は元々芸能人だから多少はナルシストで美容に気を使うとは思ってる。でもね、彼の場合はあからさまに極端に美を磨いてるでしょ。私はそこが嫌なの。佐藤くんは何で彼と知り合って仲良くなったのかは知らないけど、よくあんな正反対の人と付き合えるわね。私だったら無理だわ。」
倫子「でも私はそんな彼が大好きです!」
紫帆「森野さん。あなた現実を見なさい?あなたは彼を好きかもしれないけど、彼はどうかしら?彼はあなたのことを知らないし、そもそも彼には彼女がいるし。まあ、遠距離恋愛だし本当は既に心が離れててもうあの彼女のこと好きじゃないかもしれないし、わからないけど。」
倫子「でも私は片思いでいいんです。本当の彼女になれなくても夢だけでも見れていたら幸せです。」
紫帆「森野さん。あなた本気なの?」
倫子「本気です!人生に一生をかけても大好きなんです。」
紫帆「森野さん!私は大反対です!そんな人生捨てて、今からでも遅くないから新しい人生を歩みなさい。すぐそこにいい男がいるんだから。ね、佐藤くん?」
高嗣「……へ?」
紫帆「……あなたのことを言っているのよ?佐藤くん。」
高嗣「ぼ、ボクですか?!な、ななななな何でボクがいい男なんですか?地味だし暗いし大人しいし、運動は大の苦手だし。それにデブだし。いいところないと思いますよ。」
紫帆「……もう少し自分に自信を持ちなさい。あなたの良さは優しいところ。私はあなたと出会ってこの1年、あなたは本当にいい人だと思ってるわよ。第一印象から優しさがにじみ出てる感じ。だから自分を信じて。森野さんもゆっくり考えてみて。彼の良さがきっとわかるから。じゃあ私は用事があるからまたね。」
松山さんはボクらに話し終えるとそのままその場から立ち去った。




