第74話 ヤリマンと勘違い
プルプルプルプル
高嗣「はい、もしもし。」
恭佑「着いたよ。」
高嗣「今玄関開けますね。」
恭佑「あぁ。」
ガチャ
高嗣「玄関開けたのでそのまま4510号室に来てください。」
恭佑「あぁ。…てか45階まであるのか、このマンションは。どんだけお前セレブやねん。」
高嗣「…ちょっと事情があってここに住んでるんです。」
恭佑「…事情は詳しく聞かないけど。とりあえず向かうぞ。」
高嗣「お願いします。」
ボクは電話を切るとすぐ玄関から出て城田さんを待った。少ししてから城田さんが歩いてくるのが見えた。
高嗣「…城田さん。」
ボクが城田さんの方に目を向けると彼も気づいたのか、ボクの方へ小走りしてきた。
城田さんと直接再会したのは久しぶりのことだった。
高嗣「し、城田さん。」
恭佑「よ!久しぶりやな。佐藤。」
高嗣「こ、こちらこそ。バス釣り以来ですよね?」
恭佑「…そうやったかなー?まあお前の顔見れて安心したわ。」
高嗣「…ボクもです。すみません。こんな夜遅くに。しかも、し、城田さん医学部だから勉強忙しいのに。」
恭佑「お前の一大事や。お前を放っておくバカがいるか。」
高嗣「…あ、ありがとうございます。本当に城田さんは優しい人なんですね。」
恭佑「…まあ、前に悪い事してたからその分人を助けたいねん。」
高嗣「…悪い事?」
恭佑「…俺な、中学時代荒れてたんや。万引きは繰り返す、補導も毎日、ケンカも毎日、とにかく毎日学校行かんで荒れた生活をしてたんや。不良グループのトップやった。俺の名前は地元では有名やった。でも、俺は悪い事してる自覚なかった。毎日犯罪、酒、タバコに溺れてたんや。そんなある日。俺を変えてくれる神さまが現れたんや。その人物は俺を根っから変えさせてくれた。俺はその人物に今感謝してるし、心から応援してるんや。」
高嗣「…そ、その神さまって誰ですか?」
恭佑「…テニスのジェームズ・バーナード。」
高嗣「え…。」
恭佑「彼はホンマにテニスの天才や。それだけやない。頭はいいし、何よりもハートが熱いんや。彼は出来がええねん。」
高嗣「…そうなんですね。『ヤバイ。城田さんにヒロと暮らしてるとバレたら大変だ。しかもよりによってヒロの彼女性格悪いし。あんな人がヒロの彼女だって思われたら大変だ。』」
恭佑「…あぁ。」
高嗣「…あ、あの。せ、せっかく来てくれましたが今日のところはお引き取り下さい。お願いします…。」
恭佑「は?せっかくここまで来たのに何やねん。急にどうしたん?体調でも悪いん?」
高嗣「…はい、悪い、悪いんです。彼女のせいで。」
恭佑「は?彼女?あのヤリマン女か?」
高嗣「…とにかく具合が悪いんです。」
恭佑「…佐藤。そんな女で体調悪いんなら俺ん家来ればええやろ?」
高嗣「いや、そ、それはできません!」
恭佑「何でや⁈」
ケイト「ちょっと!2人ともこんな夜遅くにうるさいわよ!何事?」
城田さんと2人で騒いでいると中にいるケイトちゃんにうるさいとばかりに怒られた。
高嗣「か、カスミちゃん。」
ケイト「…!だからその名前で呼ばないでよ!彼氏でもないくせに!」
恭佑「…誰や。この白人美女。でも、どっかで見たことあるような。」
高嗣「し、城田さん!きょ、今日はこの辺で帰りましょう?」
恭佑「何でや!」
ケイト「…てか貴方誰?ここは特別な関係の人間しか入られない場所よ。」
恭佑「それはキミも同じやろ?」
ケイト「はあ?私はこの家の主の彼女です。だから私は特別よ。」
恭佑「キミが佐藤に嫌がらせしてる人物か。」
ケイト「は?嫌がらせ?」
恭佑「そうや。佐藤に気はないのにキミは佐藤に気があるんちゃう?そうやろ?それともただの身体目的なん⁈」
ケイト「はあ⁈何で私がこんな地味でダサい男と関係持たないといけないの?イミフー!」
恭佑「それ言うたらあかんやろ。」
ケイト「だって本当のことじゃない!」
恭佑「佐藤に失礼や。」
ケイト「私は今付き合ってる彼氏以外全く興味ありません!」
恭佑「…じゃあ何でここにおるん?佐藤に狙われるで。」
ケイト「はあ?佐藤くんが私を狙うわけないじゃない!」
恭佑「佐藤やって一応男やで。」
ケイト「…私。ここしか逃げ場がなかったの。だからここにいるの。自由がほしくて。」




