第七話 嬉し泣き
ジェイミー「タカ。どうしたの?顔色悪いよ。」
ジェイミーはボクを心配しながら話しかけてきた。
たかし「ちょっと昔のことを思い出して。」
ジェイミー「昔?いつの話?」
たかし「ボクが渡米してきた頃。」
ジェイミー「…。」
ジェイミーも表情が暗くなり黙り込む。
たかし「伝えにくくて嘘ついちゃった。」
ジェイミー「…。」
たかし「…。」
ジェイミー「仕方ないよね。わかるよ。伝えにくいその気持ち。ボクも同じだから。家のことは正直言いたくない。でも、タカは大事な人だから伝えた。」
ジェイミーは真剣な表情になる。
ジェイミー「でもね、タカ。あの人は悪い人ではないと思うし本当のこと伝えてもいいんじゃないかな、とボクは思うんだけど。どうかな。」
たかし「でも今日仲良くなったばかりだし。」
ジェイミー「少しは信じてあげたらどう?」
たかし「…。」
ボクはスマホを手に取り、SNSの清水さんのページを開く。
たかし「…清水さん。ごめんなさい。ボク、嘘つきました。本当はもっと前から小学生時代に渡米したんです。学校でいじめられて不登校になって…。」
少しして清水さんから返事が返ってきた。
清水「…そうだったのか。お前大変だったんだな。でも、今がいいならいいじゃん。俺はお前のこと嫌いになったりしないぞ。」
ボク、信頼されてる。ジェイミー、ジェイミー以外の他人から。ゆ、夢じゃないよね?
たかし「先輩。信じてもいいですか?ありがとうございます。ボク、正直嬉しいです。本当にありがとうございます!」
ポロポロ
たかし「うぅ…。」
ボクはつい嬉しくて泣いてしまった。ボクを信頼して仲良くしてくれる日本人の人間がいたなんて。しんじられない。ビックリだ。
ボクは幼い頃から毎日いじめられてばかりいて友達が一人も出来ないいじめられっ子だった。いじめられてばかりのボクは人間不信に陥り、不登校になった。何年も学校に通えず見かねた両親はボクを父さんのアメリカにいる友達、ジェイミーの家にボクを預けた。ボクとジェイミーはお互いが心の病に陥っていてすぐ打ち解けれるほど仲良くなれなかった。でも、時間が経って仲良くなれたときは嬉しかった。初めての友達だった。清水さんはジェイミー以来の信頼できる友達だ。こんなに嬉しいことはジェイミー以来だ。
ポンポン
たかし「ん?」
ジェイミーがボクの背中を優しくポンポン叩く。
ジェイミー「良かったね。タカ。本当に良かったね。」
たかし「うん!」