第72話 ヤバイ
ケイト「…という事で私ここにしばらくいるから、よろしくね?」
高嗣「え?ま、待って!」
ケイト「何よ⁈」
高嗣「あ、あの、その、カスミちゃん。」
ボクはカスミちゃん相手に結構緊張して身体がブルブル震えた。
カスミちゃんはボクを冷たい目線でボクの方を見ている。
ケイト「…あのね。貴方私の彼氏でもないのに、その呼び方辞めてくれない?正直気に食わないんだけど。」
高嗣「…ご、ごめんなさい。」
ケイト「…ケイトって呼んで。」
高嗣「…。」
ケイト「…呼んでくれないの?」
高嗣「…け、ケイトちゃん。」
ケイト「…その方が貴方にしっくりくるわね。いいわよ。」
高嗣「…そ、そうかな?」
ケイト「…じゃあ私、佳宏の部屋使うからあとはよろしくねー。ふふふ。用が済んだから早く出て行って!」
ボクは彼女に言われたようにすぐさま彼女に背を向ける。
ケイト「…あ!ちょっと待って!」
高嗣「え?」
ボクは再び彼女の方へ身体を向ける。
ケイト「私がここにいることは絶対内緒よ!もちろん佳宏にもよ!」
高嗣「え!ヒロにもですか?」
ケイト「当たり前じゃない!彼に知られたら私たちの関係が疑われるし、それにすぐパパの指示でロンドンに連行されるじゃない!私は自由を求めてここに来たのに。」
その時だった。
ブーブー
カスミちゃんのスマホのバイブ音が鳴る。
しかし、彼女は無視している。
ケイト「出ないわ!」
無視し続けているのでボクは恐る恐るスマホの画面を見る。
高嗣「…ヒロ。」
ケイト「え!で、でも出ないわ!ここで出たら全てが水の泡だもの。」
それから1分以上して着信が止まる。
ケイト「…私寝るから早く出て行って!」
高嗣「え!」
ケイト「早くしてよ!眠れないじゃない!邪魔よ!」
ボクは言われるままに部屋を後にした。
そのままキッチンへ行き夜食を作る。
高嗣『…ハア。カスミ、あ、ケイトちゃん怖かった。』
ボクは玉ねぎを剥きながらため息を吐く。
トントントン
高嗣『…ずっとこのままの状態なのかな?でも、いずれバレるよね。特にヒロには。…そういえば、ヒロ1週間後大会じゃなかったかな?』
ボクは包丁をまな板の上に置くとカレンダーの側まで行き、カレンダーを見る。
高嗣『…やっぱり!ということは、その試合が終わるとここに帰って来るよね。…ヤバイじゃん。ボクと彼女の関係を一番に疑われるじゃないか。どうしよう…。』
ボクは頭を悩ませた。
夜食の玉ねぎサラダと玉ねぎスープを作るとボクの足はヒロの部屋へと向かっていた。
トントン
高嗣「…か、じゃない!け、ケイトちゃん。ここ来てから何も食べてないんじゃないんですか?よかったらボク、ボクの手作りですが食べてください。」
しーん
彼女からの返事はなかった。
しかし、ボクはトレーに乗せた料理を部屋の前へ置くとその場を後にした。
ボクは自室で夜食を食べながらスマホをイジる。
画面を見るとヒロから3回も着信があった。
高嗣『なんだろう。…もしかして彼女のことかな?…違うよね。』
ボクは頭の中をぐるぐるさせながら玉ねぎスープを口に運ぶ。
高嗣『気にしない。気にしない。…ハア。』
気にしないふりが苦手なボクは途方に暮れる。
高嗣『…あ!そうだ!』
ボクはスマホを手にし操作する。
SNSで連絡先を見て、ある人物へ電話する。
プルプルプルプル
ガチャ
?「もしもし。」




