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第70話 泥棒?

 ボクはバイトを終え帰宅し、マンションの部屋の鍵を開けようとした。

あれ?…開いてる!今日はヒロが帰ってこない日のはず。おかしいな?鍵かけるの忘れちゃったのかな?

ボクはそのままエントランスを抜けエレベーターへ乗り込み、最上階のボタンを押す。

ヒロ予定変わったのかな?でも、帰ってくるならもう連絡は来ていてもおかしくない。…悪い方向に考えるのはやめよう。家に入れなくなるし。

エレベーターの扉が開き、ボクはドキドキしながら家のある方へ向かって歩いた。

家の扉の前へ着き、恐る恐るドアを開ける。


高嗣「…た、ただいまー。」


しーん


誰の返事も返ってこない。

ヒロ寝てるのかな?仮にヒロは寝ていたとしてもソウジさんは起きてるはず。

 ボクはソワソワしながらリビングのドアを開ける。

あれ?誰もいない。トイレは?


スタスタ


コンコン


反応なし。次。風呂。


スタスタ


脱衣所を見渡したが、誰かが荒らしたような様子はない。着替えも置いてないし、洗濯機にも何も入ってない。


ガチャ


浴室を開けた。誰も入っていない。

次、ボクの部屋。


スタスタスタスタ


ガチャ


…誰もいない。荒らした形跡もない。もう一つの奥の部屋を開けてみよう。使ってないけど。


ガチャ


しーん。特に変化なし…。あと、残る部屋は。ヒロの部屋。あまり入ったことないけど…入ってみますか。


スタスタスタスタ


ボクは恐る恐る身体をブルブルさせながら手をヒロの部屋のドアノブの前に置く。

ハア、ハア。緊張して息切れしてる。あ、ここは一回水でも飲んでひと休みしますか。


ボクはヒロの部屋の前から一旦離れ、キッチンへ向かった。キッチンへ入ると冷蔵庫を開けて中からペットボトルのミネラルウォーターを取り出しコップへ水を注ぐ。


ゴクッゴクッゴクッゴクッ


ハアー。スッキリした。

さて、続き再開しますか。その前に…。

ボクはスマホをズボンのポケットから取り出し、ヒロに連絡する。


プルプルプルプル


佳宏「Hi!タカシー。」

高嗣「あ、もしもし。急にごめん。今、電話大丈夫?」

佳宏「うん。ちょうど家帰って素振りの練習しようとしてたところー。」

高嗣「あの…。」

佳宏「ん?どうしたの?」

高嗣「ヒロの部屋に入ってみてもいいですか?」

佳宏「…どうしたの?急に改まって。別に構わないけど。」

高嗣「実は、さっき家帰ってきたら玄関のドア開いてて。」

佳宏「アハハ。タカが開けたまま出かけたんじゃないの?」

高嗣「そうなのかな?」

佳宏「その可能性はあると思うけど。」

高嗣「そういうことにしておきます。」

佳宏「でも、タカが心配なら確かめたら?気になるんでしょう?それに部屋に入ってよー。普段ボクの部屋入りに来ないんだからー。」

高嗣「じゃあ入るね。開けるよ?」

佳宏「うん。」


ガチャ


高嗣「…何かいい香りがする。」

佳宏「ムスクだよ。いい香りでしょ?」

高嗣「うん、悪くない。うわっ!」

佳宏「どうしたの?」

高嗣「この黒い革のソファー、座り心地がいい。落ち着く。」

佳宏「でしょう?そのソファーに座りながら飲む紅茶は最高よ?」

高嗣「壁にある風景画素敵だね!どこの風景だろ?」

佳宏「あぁ。この風景画は全てまっちゃんが描いた作品だよ。」

高嗣「まっちゃん?あー、上田さん。」

佳宏「そう。まっちゃんの描いた作品達はボクの大事なコレクション。ニューヨークの家とフロリダの家に飾ってある絵は違うんだ。タカが今見てるのは全て日本の風景。フロリダの家にある絵は全てアメリカの風景。」

高嗣「そうなんだ。凄いね!上田さん。プロみたい!」

佳宏「そうだね!流石俺のまっちゃん!まっちゃんには絵描きの才能あると思う。けど、彼は絵描きより医学の世界で食べていきたいんだってさ。残念だけど。」

高嗣「そうなんだね。そういえば、最近ヒロは上田さんと会えているんですか?」

佳宏「いやー、彼も医学生だからね。高校生の頃までとは違って忙しいと思うよ?ボクの試合見た後に会うのも難しいからね。でも、連絡は取っているし風景画も送ってくれるよ。感謝してるよ、彼には。」

高嗣「…ヒロの部屋やっぱり高級感あって素敵だね!ボクの部屋とは違います。」

佳宏「ありがとう。」

高嗣「ボクもこんな家具がほしいなー。やっぱりお金ある人は違うなー。」

佳宏「タカも才能活かして稼いだら?」

高嗣「ボク、ボクには無理です!ボクは図書館司書で充分です!だいたい、元々ボク本が大好きだから、本に関わる仕事で食べていきたいんです。」

佳宏「…タカが積極的に自分の気持ちぶつけてくるとこ好き!これからも自分の気持ちを大事にしていくんだよ。」

高嗣「照れるよ!こんな気持ち話せるのはヒロだからだよ?ヒロ以外には話せない。」

佳宏「それってボクを大事に思ってくれてるんだって受け止めていいの?」

高嗣「もちろん!これからも大好きだよ。よろしくね。」

佳宏「嬉しい!こちらこそよろしくね!ところで寝室のドア開けないの?」

高嗣「あ!開けるよ。」


ガチャ


高嗣「異常なし…え?」

佳宏「どうしたの?」


ボクがヒロの寝室のドアを開けるとそこには車椅子に座ったまま眠っている金髪の白人女子の姿があった。

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