第61話 ジェイミー!お前を倒す
俺はアメリカ行きを決め、早速その日からトレーニングを始めた。
ジムにも通った。皆にはこのことを隠しながらバーベキューを楽しんだ。その方が効率がいいと思って。
毎日トレーニングに励んだ。テニスの勉強も一からやり直した。都内のプロのいる練習場で朝から晩までメニューをこなした。そのお陰か学生時代の自分を取り戻した感じがした。
俺はフロリダに到着してから何とかジェスチャーでジョン・ミラーのいる練習場に辿り着いた。
そこで俺は皆を驚かせようと佐藤高嗣に電話した。
太陽「というわけで、俺はここで練習して必ずジェームズ・バーナードに勝ってみせる!」
高嗣「無理です…。」
太陽「無理はねぇだろ。ジェームズ・バーナードなんてあっという間にこてんぱんにしてるだろ。絶対。」
高嗣「無理です…。」
太陽「何でだよ?!」
高嗣「い、今のキミでは勝負になる相手ではないことは間違いありませんよ。」
太陽「だから、絶対いつか勝つんだって。」
高嗣「…勝たないで。」
太陽「は?」
高嗣「な、何でもないです。とにかく今のキミでは無理ですよ。では、また。」
プープープー
太陽「ジェームズ・バーナード。ゼッテー何が何でも俺が勝つ!」
菜央弥「無理や。諦めろ。」
太陽「は?てかお前は…矢野菜央弥?」
菜央弥「…そうやけど。てか初対面相手に“お前”はないやろ。」
太陽「矢野菜央弥!俺と勝負しろ!」
菜央弥「何で俺がキミと勝負しなあかんねん。」
太陽「そんなのジェームズ・バーナードが今ここにいないからに決まってるだろ。」
佳宏「俺はここにいるよ。」
俺と矢野菜央弥が後ろを振り向くとそこには王者“ジェームズ・バーナード”が立っていた。
佳宏「どうしたんだい?新人くん。」
太陽「お久しぶりです!ジェームズさん!」
佳宏「ん?久しぶり?キミと会ったことあったっけ?」
太陽「あれ。覚えてないんすか。てか日本語わかるんですね。」
佳宏「まあ、父が日本人なので。」
菜央弥『てか、コイツ俺とジェームズに対して態度違うくねーか?!』
太陽「俺、前にサイン頂いたんですよ。ジェームズさんから。」
佳宏「そうなんだ。」
太陽「覚えてないんすか?」
佳宏「ソーリー。覚えてない。」
太陽「マジすか。あの、ちょっとジェームズさんにお願いがあるんすけど。」
佳宏「何かな〜?勝負?」
太陽「違います。あ、あの、俺に英語教えてもらえませんか?」
菜央弥『そっちかーい!』
佳宏「いいよ。」
太陽「あと、俺を弟子にしてくれませんか?」
菜央弥「は?何言ってんねん、キミは。」
太陽「俺、学生時代学校の体育の授業ではテニスやった経験はあるんすけど、プロは初めてで。正直自信がないっていうか。」
菜央弥「キミさっきと話が全然違うやん!どういうことやねん。」
太陽「さっきのは全く嘘で、本当は自信ないんすわ。サーセン。」




