第39話 俺の家の事情-3-
ソフィアが生まれると皆が大歓迎の中、ただ一人日本のばあちゃんは機嫌が悪かった。男が産まれなかったからだ。ばあちゃんは母さんを批判する。毎日攻撃的に批判を受ける母は父さんやじいちゃんの応援で何とか批判から耐えていた。
それから5年後、浦嶋家に双子の女の子のアイリーン【奏恵天】とエミリー【秋葉】が誕生した。皆が歓喜する中、また、ばあちゃんの機嫌が悪くなった。また男が産まれなかったからだ。ばあちゃんは更に母さんに追い撃ちをかけた。母さんはばあちゃんの一方的な攻撃に耐えられなくなり、父さんと相談し姉たちを連れて渡米した。
ばあちゃんから離れた為か母さんの体調は徐々に回復し、元気を取り戻した。父さんはアメリカで再就職に励んだが、なかなかアジア人だという事を理由になかなか再就職先が見つからなかった。
それから半年後。2人が生活を取り戻す中、俺ジェームズ【佳宏】が産まれた。2人にとっても浦嶋家にとっても初めての男の子だった。元々子供が大好きな父さんは、【浦嶋家の跡継ぎの為ではない】と母さんを説得させ、俺を作り、産んだ。父さんも母さんはじいちゃんには報告したが、ばあちゃんには黙っていた。じいちゃんもばあちゃんに黙っておくことを約束した。
しかし、じいちゃんの行動がばあちゃんにバレてしまい、俺の存在がばあちゃんに知られることとなった。ばあちゃんは涙を流しながら【その子を今すぐ私の養子にする!くれ!】と言ったそうだ。しかし、ばあちゃんの思い通りにはさせないと父さんはばあちゃんを説得しようとするが無駄だった。母さんはまた傷付く羽目に陥った。ばあちゃんからの電話が毎日朝昼晩と続いた。ばあちゃんからのしつこい嫌がらせに耐えられなくなった母さんはうつ病になった。
母さんは入退院を繰り返していた。俺は母さんに元気になってほしくて仕方なかった。それから色々あって年月が経ち、たまたま父さんが休日に屋内アイスリンクに連れて行ってくれたことがキッカケでスケートの楽しさを知り、俺は将来フィギュアスケート選手になって母さんを元気にしたい!と目標を立て、俺は5歳でフィギュアスケートを始めた。
元々運動神経バツグンの才能に恵まれた俺はすぐに才能が開花し同じクラブの生徒たちを追い抜き、クラブで一番トップの生徒になった。
その頃の俺はフィギュアスケートの活動が一番手で家族で休日に親しんでいたテニスは二番手だった。
俺は8歳の夏、日本から渡米してきた佐藤たかしと出会った。最初出会った瞬間から俺はたかしと友達になりたいと思った。でも、俺はばあちゃんの影響から当時、日本人の印象をよく思っていなくてたかしにすぐ近づけなかった。逆にたかしを傷付ける羽目になった。俺はたかしに謝った。しかし、たかしは優しい少年で俺を許してくれた。俺はたかしとの出会いは運命だったのだと感じた。仲直りしてからたかしは俺の家に住むことになった。




