第38話 俺の家の事情-2-
-その頃のジェイミー-
俺は飛行機でニューヨークへ向かっている最中、考え事をしていた。いつかは家族の個人情報や家の事情がバレると思っていた。俺は元々家族の個人情報は内密にして小さな頃から今まで活動をしてきた。もちろん所属事務所やテニス連盟にも情報が漏れないように約束してもらい、活動を続けてきた。でも、今回の事がキッカケで俺の家の情報が何者かによって世界中にバラ撒かれてしまった。多分、犯人は【浦嶋商会】の関係者だろうと考えていた。何故なら俺が浦嶋商会の一族だという情報が出てきているからだ。普通は出て来ないはずだ。ソイツは俺が跡継ぎになる気がないことが気に食わないのか、それとも、俺が王者でいることが気に食わないのか…考えてもきりが無い。これ以上考えても無駄だ。違うことでも考えるか。よし!音楽でも聴くか!
俺はバッグからスマートフォンを取り出し耳にイヤホンを付け、洋楽を聴く。
えい「ヒロは跡継ぎになる為に浦嶋家に生まれたたった一人の男の子だ。アメリカ人にはさせたくない!ヒロを私の養子としたい!今すぐ日本へ連れて来なさい!」
バタッ
母さんは日本のばあちゃんからの言葉にショックを受け床に倒れ込んだ。
皆が心配で駆けつける中、俺は泣いていた。その電話から俺はばあちゃんがトラウマになった。
俺は音楽を聴いているにも関わらず、幼い頃に起こった出来事が頭から離れない。思わず頭を抱えた。この事はたまに思い出す。夢に出てくる事もある。それ程、嫌な思い出。
ソウジ「ジェイミーさん。大丈夫ですか?お水です。どうぞ。」
ジェイミー「大丈夫だ…。少し考え事をしていただけだ。」
ソウジ「もしかして、またおばあさまの事思い出してます?」
ソウジは勘が鋭い。ソウジはかばんの中から精神薬を取り出す。
ジェイミー「…今は飲まなくても大丈夫だ。」
今から話すのは俺が生まれる前の話だ。父から聞いた話だが、両親は大学院生時代にカリフォルニアにあるカフェで出会い、付き合い始めた。父さんは日本人で東京にある私大で一番難易度高い大学院の生徒で、日本から来た留学生だった。母さんは日系アメリカ人の父親とフランス系アメリカ人とアイルランド系アメリカ人のハーフの母親のアメリカ人の間に生まれたアメリカ人で全米で一番難易度高い大学院の生徒だった。両親はお互い勉強が好きでよく一緒に図書館やカフェで落ち合い、一緒に勉強していた。ナンパしたのは父さんだった。
留学が終わる頃、父さんは母さんを日本の実家へ連れて行った。じいちゃんは大歓迎だったが、ばあちゃんは大反対だった。留学が終わっても両親は連絡を取り合っていた。父さんが結納で渡米し母さんのベルビューの実家に挨拶に行ったら大歓迎されたが、日本の実家に行くとじいちゃんは大歓迎だったが、ばあちゃんには大反対された。母さんは外国人だから反対だの、浦嶋家の血が汚れるだのいい差別を受けた。父さんは母さんの守りに入り、ばあちゃんの許可なく二人は結婚をした。
父さんは念願の大学教授の試験に合格し、就職した。母さんは外資企業に採用され働き始めた。二人が就職した2年後、一番上の姉のソフィア【美佳】が生まれた。




