第37話 俺の家の事情-1-
-その頃のジェイミー-
俺はフロリダにあるテニス界の元王者【ジョン・Jr・ミラー】の練習場のコートで練習を重ねていた。
ジョン「よし!皆休憩時間だ!皆休め!」
皆が練習を中断する中、俺は指示通りに従わず練習を続けた。俺が練習を続けて5分経った頃にジョンから声をかけられた。
ジョン「ジェイミー!ナオヤー!お前たちも休みなさい!」
俺は端のコートにいる日本人の矢野菜央弥と目線が合う。視線が合うと同時に俺らの動きが一緒に止まる。そして、菜央弥は俺に近づいた。
菜央弥「お前、ヤバいことになってんな。SNSだけじゃない。アメリカ国営放送のトップニュースになってるぞ。お前はこれからどうするつもりだ?正直に話すつもりか?それとも…。」
ジェイミー「…正直今までは家族の個人情報は話さないできた。だけれども、今の状況ではそうともいかないだろう。」
菜央弥「…そうか。」
ジェイミー「今日これから練習を中断してニューヨークへ行く予定だ。記者会見を開く。」
菜央弥「…お前ニューヨークシティヒルトン大学には行くんじゃねーぞ。何されるかわからねーんだから。」
ジェイミー「俺は行くよ。大学に。アイツは俺と会わないと気が済まないヤツなのかもしれない。だから、一度会って話をつけてきる!」
菜央弥「…気をつけろよ。」
俺はジョンに謝ると練習を中断してニューヨークへ向かった。
-その頃の高嗣-
ボクが自宅へ帰り、テレビをつけるとどこのチャンネルもヒロのニュースばかりだった。SNSを開くとランキング上位ニュースがヒロに関係するニュースばかりだった。ニュースを見ていると、事の発端はSNSの登録者名【さっとん】という人物が情報をSNS上に拡散したことがキッカケだった。ヒロの家族の個人情報、家族の仕事、母親が病人であること、ヒロの日本国籍の名前などが拡散されていた。
ボクがテレビを見続けているとSNSの音が鳴った。スマートフォンを開くと相手はヒロだった。文面は【今からニューヨークに帰る】だけだった。ボクは学校に来てはならないと連絡する。
高嗣「学校でヒロを憎んでいる人がいます。危ないので来ないで下さい。」
ボクは気持ちがソワソワし、落ち着かなかった。ヒロに何かあったら嫌だ!ボクは落ち着かない気持ちのまま自分とヒロの食事を作る。トマトを切っている最中に誤って人指し指を切ってしまった。
高嗣「痛い…。」
ボクは急いで人差し指の応急処置をする。血は溢れるばかりでなかなか止まらなかった。しばらく時間が経ち、ようやく血が止まって来た為、改めて応急処置をする。応急処置が終わると同時にスマートフォンのSNSの通知を知らせる音が鳴る。指の痛みを抱えながらSNSを開き、相手を確認する。ヒロから返事が返ってきていた。文面には【大丈夫!ボクは行くよ!彼はボクに会いたいみたいだからね。】と書かれていた。
高嗣「…ダメだよ。ヒロ。ダメだよ…。」
ボクは涙を流しながら何度もスマートフォンに訴えた。




