第30話 ヒロとケンカ
中に入るとソウジさんは部屋の電気をつけた。
ジェイミー「タカ。どういうつもり?逃げるなんて最低だよ!」
ヒロの顔を見ると彼はめちゃくちゃ怒ってる表情をしていた。
ジェイミー「ボクは、俺は時間を割いて少しでも会いたいと思ってタカに会いに行った。それにも関わらずタカはコソコソとどこかへ逃げていってしまった。最低だよ、本当最低だよ。」
しばらく沈黙が続いた。正直今のヒロは今までのケンカの中で一番怖い。一番怒ってるかもしれない。けど、ボクは目立ちたくないんだ。ごめんね、ヒロ。ボク、そこは譲れないんだ。
高嗣「ご、ご、ご、ごめんね。で、で、でも…。」
ジェイミー「でも、何?」
高嗣「な、何でも無いです…。ご、ご、ごめんなさい!」
ジェイミー「ごめんなさい、じゃないよ!ハッキリしてよ!」
高嗣「ごめんなさい!ボク、ボク…正直目立ちたくないんです…。だから来ないでほしかったのに…。」
ジェイミー「意味分かんない。目立つ?俺は正直タカが学校で楽しく過ごしてるか見たくて来たのに。正直会える時間少ないし、少しでも会いたいと思わないわけ?」
高嗣「お、お、思いますけど…。」
ジェイミー「そう思うならコソコソしてないで堂々としてればいいじゃん!」
高嗣「それは無理です!だって、だって…。」
ジェイミー「だって?」
高嗣「だってヒロは有名人じゃないか!ヒロといると注目浴びるに決まってるじゃないか!だから来ないでって言ってるのに!」
ジェイミー「友達は有名人一般人関係ないだろ!」
高嗣「ボクもういいです!ヒロと口聞きたくありません!」
ボクは2人の前を通り過ぎると外へ出ていった。
ジェイミー「外出てどうするんだよ。タカが行く場所なんてあるの?」
俺は途方に暮れた。
ソウジ「あります!高嗣さんが行く場所。それは、この前高嗣さんと一緒にいた、ジェイミーさんからサイン頂いたあの方です!」
ジェイミー「俺からサイン?俺は何十人何百人何千人何万人にもサインあげてるからハッキリ覚えてないよ。」
ソウジ「私はわかりますよ。一人一人の顔が。その高嗣さんのお友達さんもハッキリ覚えています。」
ジェイミー「流石ソウジ!やっぱりお前は記憶力がいいな。さて、今すぐその友達の家行きますか!」
ソウジ「お待ち下さい!高嗣さんは必ず家へ戻って来るでしょう。それまで私たちは待つべきです。そっとしておきましょう。必ず帰ってきます。」
ジェイミー「うーん…。」
ソウジ「必ず帰って来ますよ。大丈夫です。」




