表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/127

第25話 マニアック倫子

 ボクは呆然と見るしかなかった。そしてまたボクの心が傷付く。


グサッ


気にしちゃダメだ。倫子さんはヒロをスターとして好きなんだ。絶対そうに決まってる。


倫子「凄いでしょ!私ジェイミーの大ファンなの!アメリカに来たのもジェイミーに会いたいからよ!でね、聞いて。日本ではジェイミーのグッズネットが主な販売店だったんだけど、アメリカに来たらジェイミーのグッズ専門店も存在してて感激したわ!アメリカ来て良かったなーって。でもね、この雪がね…。」


森野さんは外の雪を見ながらため息をつく。


倫子「ジェイミーがこの雪何とかしてくれないかな?」

高嗣「人間に天気は動かせないので自然に任せるしかないですよ。」


まあ、あの人金めちゃくちゃあるし、言えば何かやりそうな気がするけどね。


倫子「そんなー。じゃあ私どうしたらいいの?」

高嗣「…我慢しましょう。春は必ず来ます!」

倫子「私待てないよー…。」

高嗣「じゃあ学部変更してロサンゼルス校に行ったらどうですか?」

倫子「それは嫌!ジェイミーに会えなくなるもの!全米オープン見に行くのにお金がかかるじゃない!」

高嗣「…だったらここにいましょう。」

倫子「…。」


森野さんは黙り込む。ボクは本に集中する。


倫子「佐藤さんはジェイミーのこと好き?」


え…。ボクの集中していた手が止まる。ボクは今までヒロのことスターとしてよりも友達目線で見ていたから、友達として好きだし、友達として応援してきた。そして、これからも変わらないと思う。ボクは返答に迷った。


高嗣「えーと…その。好きかも。嫌いじゃない。」

倫子「でしょう!あのカッコカワイイ顔に、美容男子に、オシャレなところとか、チャラく見えて実は優しいところとか、テニス界の王者なところとか、あと、」


森野さんのマシンガントークが止まらなくなる。彼女は本当にヒロのことが大好きなんだろう。


倫子「佐藤さんはジェイミーのどんなところが好き?」

高嗣「えーと…うーんと…王者なところかな。」

倫子「でしょう!あの誰にも負けない強いところがイイよね!でね、ジェイミー彼女いるじゃん?ケイト・アンダーソンっていう人。」

高嗣「そうなんですか?」

倫子「知らないの!結構有名だよ!私、ケイト・アンダーソンと入れ替わりたい!」

高嗣「そうなんですか。ジェームズ・バーナードが当然ながら彼女の一人や二人いるでしょう。あの人がいないはずありませんよ。」

倫子「そうよね…。ケイト・アンダーソンが羨ましすぎる。いいなー。」


ボクは他人のふりをしながら森野さんの話をしばらく聞いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ