第十七話 出会った頃のボクとジェイミー-2-
たかし「えーーーー?!」
突然の父の言葉にボクは驚きしかなかった。
ボクが呆然としていると父は話を続ける。
父「たかし。驚くのはわかる。でも、落ち着きなさい。今、お前の為に話しているんだよ。」
たかし「は、話についていけないんだけど。言っておくけど、ボクは行かないよ!アメリカなんか。」
父「そこは安心しなさい。お父さんも一緒に行くから。」
母「そうよ、たかし。お父さんの言う通りよ。あなたこのままじゃどうなるか将来不安だもの。お母さん達はあなたを心配して言っているのよ。」
父との会話に急に母も割り込む。
父「たかし。アメリカ行ったら変わるかもしれないじゃないか。お友達もできるかもしれないし。それに日本にいる子達に比べて英語も上手くなるだろうし。」
たかし「ボクは行かないよ!友達いらないし!」
父「たかし。お友達は必要なんだよ。人間は一人じゃ生きていけないんだ。人間生きていく為には仲間は必ず必要なんだよ。」
母「たかし。お父さんの言う通りよ。もし将来あなたお父さん、お母さんが死んじゃったらどうするつもりなの?一人で生きていこうと思っているんじゃないの?ダメよ、一人は。」
たかし「…でも、ボク向こうに行っても友達できるかな?」
グスッ
ボクは話している間に涙が出てきてしまった。
母「たかし。安心しなさい。あなたを好きになってくれるお友達は見つかるはずよ。」
父「そうだよ。お母さんの言う通りだ。アメリカ行こう。」
たかし「お父さん。お母さん…。」
こうしてボクのアメリカ行きは決まった。行き先はワシントン州にあるベルビューという都市だ。シアトルからすぐ隣に隣接するシアトルのベッドタウンだ。ボクと両親は日本を旅立ちシアトルに到着し、そこからベルビューまではバスで向かう。バスでターミナルに到着するとそこからは父の友達に迎えに来てもらう予定になっていた。
ターミナルの入口付近で待っていると一台の黒い大きい高級車がボクたちの前に停車する。
運転席から一人の男性が降りてこちらへ向かってきた。
ジェイミー父「ゾーイかい?久しぶりだね!相変わらずキミは元気そうだね!」
父「ミッチー。それはこっちのセリフだよ。あ、こちら家の妻の高子と息子のたかし。」
ジェイミー父「初めまして。ゾーイの大学時代の友達の浦嶋ヨシミです!」
母「初めまして!妻の高子です。夫からは写真で拝見していましたが、カッコイイですね!」
ジェイミー父「ゾーイ!恥ずかしいじゃないか。そんなことないですよー。」
父「実際ミッチーは大学時代結構モテたじゃないか。イケメンに決まってるじゃん!」
ジェイミー父「そんなことないってー。あ、さあさあ車に乗って下さい。」
ボクは母の後ろに隠れた。
この人がお父さんが今まで家で何度も話題に挙げたお父さんの、お父さんのお友達。たしかこの人には子供が沢山いたはず。たしかボクと同じくらいの子供もいるって言っていたような気がする。その子とは仲良くなりたくないなー。
母「たかし。後ろに隠れてないで出てきなさい。」
ボクは母から言われた通りに前へ出た。
ジェイミー父「キミがたかしくんかい?ゾーイにそっくりだね!ゾーイと瓜二つ!」
父「そうかな?ミッチー。」
ジェイミー父「ホントホント!そっくり!あ、ゾーイからも聞いてると思うけど、ボクにもたかしくんと同い年の息子がいるんだ。是非仲良くしてくれたら嬉しいんだけども。」
やっぱり同い年の息子がいるんだ!嫌だな。
こうしてボクらは浦嶋ヨシミさんの家へ向かった。




