第十七話 出会った頃のボクとジェイミー-1-
ボクと松山さんは講義室を後にした。
松山さん「佐藤くん。あなたは次は何の授業?」
たかし「ボクは社会科学です。松山さんは?」
松山さん「同じよ。一緒に行きましょう。」
たかし「はい!ところで松山さんは何を目的に大学に入学したんですか?それも日本の大学ではなくアメリカの大学に…。」
松山さん「実はね、一年前に夫の都合でアメリカに来たの。夫が何でもアメリカで研究したい事があるってね。何とかセントラル大学に採用されて仕事してるわ。息子が一人いてね、まだ小さいんだけども、この子を育てるには私も働かないとって思ってあのスーパーでバイトしてるの。この大学に入ったのも今後の息子の養育費と将来の蓄えの為よ。ニューヨークに来てみて意外と家賃高いのよ。夫一人の給料じゃ生活厳しいからね。私もここで資格取得してここで生活しないいけないと思うと大変でね。それに私、夢があるの。図書館司書になりたくてね。アメリカでは大学卒業して資格取得しないと採用されないみたいだし。だから、私ここに来たのよ。」
たかし「そうだったんですね。実はボクも図書館司書になるのが夢なんです!ボクも調べたらアメリカでは大学卒業して資格取得しないと採用されないみたいで、それであそこのスーパーでバイト始めたんです。本当は図書館でバイトしたかったんですけど。」
松山さん「あら!本当あなたとは何だか偶然ね!面白い!お互い夢に向かって頑張りましょう!」
たかし「そうですね!頑張りましょう!」
ボクたちはお互いを励ましながら講義室へ行った。
講義を全て終え、松山さんから声をかけられた。
松山さん「あら!佐藤くん。あなた次は何の授業受けるの?」
たかし「ぼ、ボクは今日はこれで終わりです。」
松山さん「そう。じゃあこれからバイト?」
たかし「いえ、今日は休みなのでこれから自宅に帰ります。」
松山さん「そうなんだ。じゃあまたね!」
ボクは松山さんと別れて自宅へ向かった。帰り際に昔の自分を思い出していた。
-約十年前-
ボクは昔から大人しくて人見知りで幼稚園、小学校の頃いじめられっ子で友達が一人もいなくて不登校になった。
家族は毎日ボクを心配していた。ボクはイジメに耐えられず、二年生の夏前の時に不登校になった。ボクは不登校になってから毎日家の自室に引きこもり、ジャンルを問わず本ばかり読み続けていた。両親が外出させようとしてもボクは出たがらなかった。外の世界が怖かった。
季節は過ぎ、三年生の夏休みに入っていた。
不登校から一年が経ったある日、ボクは突然父から居間に来るよう言われた。ボクは言われるまま居間へ入った。
ボクがソファーに腰かけると突然父からこんな言葉が出た。
父「たかし。アメリカに行きなさい!」




