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第百十一話 自信のないボク、そして。

あれから一ヶ月。

ボクはたまに病院に、ジェイミーの様子を見に行きながら、普段通りの生活を送っていた。

 今日はバイトの日。


たかし「お先に失礼します。」

店長「お疲れ様。また明後日な。」

たかし「はい。よ、よろしくお願いします。」

店長「…佐藤。お前は相変わらず不器用だな。ここで働いてもう1年以上経っているのにまだ俺や従業員たちに慣れないのか?」

たかし「も、申し訳ありません!」


ボクは店長から嫌われていると思い、即座に土下座して謝った。


店長「おいおい。俺はお前に対して謝れとは心から一ミリも思ってないぞ。いいから、頭を上げて立ち上がれ。」

たかし「…え?ええええ?本当ですか?店長!」


ボクは店長から言われた言葉に対して驚き、即座に体勢を戻し、店長の顔を見る。


店長「…お前の顔、意外とチャーミングなんだな!」

たかし「!!!」


店長はそのまま会話を続ける。


店長「おーい!みんな!集まれ。」


店長の掛け声に事務作業していた周りの従業員たちが反応する。


A「店長。どうかしましたか?」

B「急に何事ですか?今仕事に集中していたのに。」

C「店長。また何かおもしろい話でも見つけたンスか?あはは。」


三人は続々とボクと店長の周りに集まった。


店長「なあ、みんな。佐藤の顔ってよく見たらかわいくないか?男のような女のような。」

A「え?そうなんですか?」

B「それって女みたいな顔って事?私、女みたいな顔の男好みじゃなーい。」

C「山田さん。そんな事言うなんて失礼スよ。あ!佐藤くん。よく顔見せて。」

山田「何よ?工藤。私はただ自分の好みを言っただけよ。」

たかし「…あ、あの!」

一同「え?」

たかし「あ、ああああ。ええと。ボク時間なので失礼します!」


ガチャ バタン!


 ボクは周りの人達の会話に入ってしまった事や自分の顔に自信がなくて、すぐその場から逃げたかった為、恥ずかしい顔をしながらバイト先を後にした。


たかし「ハアハアハア。」


 ボクは自分の気持ちに焦りながら自転車を爆走していたら、気がついた時には既に目の前には自宅マンションが建っていた。

自転車置き場に自転車を止めて、マンションの玄関に入るとボクは自宅の暗証番号を入力する。暗証番号を入力してマンションのエントランスを通り、エレベーターの上ボタンを押す。


たかし『なんてボクは自分に対して自信がない人間なんだろう。あそこで逃げなくてもよかったはずなのに。普通の人なら冗談を言えるはず。でも、ボクは冗談が言えなかった。というか、ボクは性格上冗談が言えないし、他人の冗談を理解できない人間だ。…そういえば!ジェイミーが清水先輩に言ったあの話は本当なのだろうか。あの時も衝撃的だったが、今また思い出しても信じられない。だって、だって。あのジェイミーだよ。あの紳士なタイプのジェイミーの口からあんな下ネタが出てきたのがいまだにボクは信じられない!』


ボクの頭の中では紳士的なジェイミーと下ネタを放ったジェイミーが交互にぐるぐると回っていた。

そうしているうちにエレベーターが到着して、エレベーターの扉が閉まるまでボクの頭の中はジェイミーの発言でいっぱいだった。

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