第106話 ジェイミーごめんなさい。でも...。
トコトコトコ
プレミアムスイートルームと聞いただけで、素晴らしい最高の部屋というイメージはついていた。そして、ジェイミーにはこの部屋がお似合いだという事も想像も出来ていた。実際、ジェイミーには華やかな場所が似合うイメージがある。衣食住完璧で常に最高品が揃い、そこから一生離脱する事なく過ごしているイメージが想像つく。ボクとは全くの真逆な人間である。ボクは昔から彼を自分と同じ人間の母親から産まれてきた一人の人間だと思い接してきた。だから、大抵の人間はジェイミーを雲の上の存在だと考えているため、ジェイミーを自分達と同じ人間だとは考えず一生会う事のない、また話す事すらない無縁の画面越しだけで対面する人間なのだと考え日々生活を送っているため、大抵の人間はボクの考えとは真逆なのだ。
そんなボクを心からジェイミーは歓迎してくれる。ボクにとって唯一の親友だ。しかし、先日ボクはジェイミーの繊細なガラスの心を粉々に砕いてしまったため、ジェイミーは精神状態がおかしくなってしまった。反省している。ジェイミーにとって一番の心の支えがボクだ。ジェイミーは産まれた時から家庭に事情を抱え、辛い思いをしてきた人間だ。ジェイミーは普段とても明るく振る舞っているが、実際の彼は寂しい思いを抱えている人間で、ジェイミーの心の支えはボクともう一人の親友の上田さんと趣味の美容くらいだ。これらを無くしてしまうとジェイミーは生きられない。ますます精神状態は悪化してしまうだろう。
ボクはジェイミーのマネージャーのソウジさんに案内されながらジェイミーがいる部屋へと向かった。
ソウジ「坊ちゃん。たかしさんを連れてきました。」
ジェイミー「...たかし!」
たかし「...じ、じぇ、ジェイミー?」
部屋にあるはずの扉は一つもなく、扉がないため全ての部屋が開放的な空間となっていた。
ジェイミーは体を自ら起こせない状態でベッドに寝ていた。
たかし「だ、大丈夫ですか?こんな状態で。」
ジェイミー「今ソウジが起こしてくれるから大丈夫。」
ジェイミーが話すとマネージャーのソウジさんは電動ベッドのボタンを押してジェイミーの身体を起こした。ボクとジェイミーはお互いの顔を見て話せる状態になった。
ジェイミー「...たかし。元気?」
たかし「...はい。一応。」
ジェイミー「一応とは何だ?無理して返事しているのか?」
たかし「...い、いえ。あ、あの!ごめんなさい!」
ジェイミー「え?」
たかし「...ぼ、ボク。ジェイミーに酷い事言いました。だから、ジェイミーはこんな状態に。」
ジェイミー「たかしは悪くない。全てはボクが悪いんだ。ボクが幼い頃からこんな病を抱えているために。」
たかし「いえ。ジェイミーは悪くありません!じ、じぇ、ジェイミーはボクに憧れていた。ジェイミーはボクのように普通の事がしたかった。だから、普通の事をした事がないジェイミーはボクのようになりたいのも理解できます。そんなボクはジェイミーの気持ちを理解できずにジェイミーを傷つけてしまった。本当に本当にごめんなさい。」
ジェイミー「たかし。ボクの気持ちを理解してくれてどうもありがとう。では、ボクは今まで通りたかしの行き場所にシレーっと何事もなく行ってもいいかな?」




