第92話 ボクと彼は住む世界が違う設定なんです。
シホ「…うーん。そうねぇ。」
ボクが頭を上にあげると松山さんも偶然、ボクの方に視線を向けてきてお互い目が合った。
シホ「…ん!?」
高嗣「…え?」
シホ「…し、仕方ないわねぇ。一緒に行くわ。」
高嗣「…え?あ、ありがとうございます!ありがとうございます!バンザーイ!」
太陽「バンザーイ!よかったな、たかし。」
高嗣「はい!嬉しいです!」
佳宏「では、みなさん。ボクに着いてきてください。」
一同「はーい!」
ボクたちは一斉にヒロの後ろに付いて地下駐車場を後にした。
トコトコトコ
清水「…す、凄い!」
シホ「…想像通りね。」
清水「…姉さん。想像通りって何でわかるんだよ?俺には全然想像つかねー!」
シホ「…姉さん?姉さんって私の事?!誰がいつアンタの姉さんになったのよ!気持ち悪い。」
清水「え?!姉さんじゃんか!俺らよりも年上だし。」
シホ「…ちょっと、それ。どういう意味!?何で私が1番年上だってわかるのよ。だいたい私アンタに年齢の事1つも言ってない気がするけど?!」
清水「なんとなくだよ、なんとなくー。」
シホ「ムッ…あら、そう。」
太陽「ケンカするなよ。」
シホ・清水「してないわよ。」してねえよ。」
佳宏「…では、みなさん。こちらのエレベーター前に並んでください。」
一同「はい!」
エレベーターを待っている間に皆は辺りを見渡した。
広々としたロビーには、バイキングを食べるレストラン、美容院、ネイルサロン、ブティックなどが建ち並んでいた。
清水「たかしはここ利用するのか?」
たかし「え?ぼ、ボクですか?り、利用しませんよ。落ち着かないし。ボクは暗い狭い場所が好きです。」
清水「もったいない。ここの住人なのに。」
たかし「ボクはただの居候です。住人はジェイミーさん一家です。」
佳宏「そんな事ないよ。たかしは大事なファミリーの一員だよ。だから利用してもいいんだよ?」
たかし「利用しませんよ!こんな異空間!落ち着きません。」
佳宏「たかし。今度ボクが利用する3階にあるサロンに一緒に行かない?たかしもお肌ツルツルになるよ。」
たかし「い、嫌です!そんな人前で裸をさらけ出すなんて。ぼ、ボクにはできません!行くなら一人で行ってください。そもそもボクは何回も言いますが、ボクとキミは自宅以外では全くの赤の他人という設定です。ですから、自宅以外の場所ではボクに一切関わらないでください。」
太陽「別にいいじゃねぇか。たかし。そんなに深く気にする事か?俺はジェイミーさんいる方が楽しいから一緒の方がいいんだけど。」
たかし「だ、ダメです、絶対!!ボクとジェイミーさんは住む世界が違うという設定なんです!」




