番外編-ヒロの家の話⑤産まれた頃
シアトル郊外ベルビューにある病院で佳巳は母えいとの電話を終えると妻たち家族が待つ病室へ向かって歩いていた。
スタスタスタスタ
カメラマン「あの!すみません。少しいいですか?」
佳巳「ええ。何でしょう?」
カメラマン「私、実はカメラマンでして。今ちょっと新生児の写真を撮りたいな!と思いまして。可愛い赤ちゃんを探しているんです。貴方は赤ちゃんのお父さんですか?」
佳巳「ええ、そうですが。うちの息子は今日産まれたばかりなんです。よかったら見ていきませんか?」
カメラマン「息子さんですか!おめでとうございます!是非とも見ていきたいです!よろしくお願いします。」
佳巳とカメラマンは早速赤ちゃんたちがいる病室へ向かった。
佳巳「あ!いました!この子がうちの息子のジェームズです。」
カメラマン「WOW!何て可愛らしい!!凄く美形な息子さんですね!」
パシャパシャパシャ
カメラマンはジェイミーの可愛さや美しさに夢中になりながらカメラを手にし、写真を何枚も撮った。
カメラマン「本当に何て素晴らしいんだ!まるで芸術品のようだ。これは写真集に載せても良さそうだ。」
佳巳「うちの息子が芸術品ですか?もっと可愛い赤ちゃんはいるはずじゃ」
カメラマン「私、こういう者です。」
カメラマンは佳巳に名刺を差し出す。
佳巳「チャールズさん。」
チャールズ「はい。私カメラマンをしていますが、実はニューヨークにある芸能事務所で働いている者です。今回は個展を開こうとカメラを手に世界中を回っていたところです。もし、仮にジェームズちゃんが個展や写真集に載る事になりましたら是非連絡したいのですが。連絡先を教えていただけませんか?」
佳巳「ええ。わかりました、よろしくお願いします。」
佳巳はチャールズに自分のパソコンのアドレスを教えた。
チャールズ「ありがとうございます!浦嶋ヨシミさん。ちなみに奥様も日本の方ですか?」
佳巳「いえ。妻はアメリカ人で日本とフランスとアイルランドにルーツがあります。」
チャールズ「なるほど!奥様との出会いはなんですか?」
佳巳「妻とは大学在学中の時に留学でニューヨークに滞在した時に出会いました。国立図書館でです。お互い大学在学中の身でした。」
チャールズ「なるほど。国立図書館!夫婦揃って一生懸命勉学に励む素晴らしいお方なのですね!ヨシミさんそのワイルドな容姿からは意外ですね。」
佳巳「よく言われます。よくあんな知的で品がある美しい女性がパートナーでいるなと。私は妻に一目惚れしました。世の中あんな美しい人がいるのだと。必ず自分の物にしてみせる!と心に決めていました。告白は私からしました。妻も私に対して一目惚れだったのです。嬉しい以外の言葉はありません。その日は思い切って遊園地へ行って遊園地の敷地内にある一流のホテルに1泊しました。全部私の自腹です。その日から私たちの交際がスタートしました。」
チャールズ「WOW!素晴らしい!奥様からしたらとても素晴らしい人生の1つに残る思い出ですね!ありがとうございました!では、私はこちらで失礼します。赤ちゃんのお写真、素晴らしい出会いのお話!ありがとうございました!!では。」
スタスタスタスタ
チャールズは佳巳に挨拶すると病院を去って行った。




