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50話 バーベキューの準備


 後から入ってきたファーストが扉を閉める。

 ファーストが扉を閉めたと同時に大勢の揃った声がする。


「おかえりなさいませ、リリ様」


 入ってすぐのホールには、カーヘルを含むご飯やゴーレムの整備などを担当している工場エリアの者達が揃っていた。

 空飛ぶ輸送船で運んできた食材の入った箱も置かれている。


 リリは全員にただいまーと返してから、ファーストに聞く。


「それで何の話? 聖族関係ではないの?」


 ファーストは、本題は違いますと言ってから話す。


「聖族についてはリリ様の見事なプニプニステッキ使いにより、今回の氾濫に直接関わっている部隊の隊長を補足することに成功しました。現在、まだ見つかっていない者がいないか捜索中です。ですが、氾濫が起きるまでに手掛かりが得られなかった場合、捕まえて直接話を聞いてしまうことをお勧めいたします」


「また捕まえて支配かける感じでいいのかな?」


「はい、また死ぬほど痛い思いをさせてから捕まえると、なおよろしいかと思います」


 リリは怒りがこもってるなーと思った。


「まあ、考えとくよ。それで氾濫はいつ起こすの?」

「決行は明日の朝にするのはいかがでしょうか。空を走る光が残りの突然変異種を倒し終えたタイミングになります」


 リリは検問所で詳しい話をしている時に、1頭忘れていたことに気がついたことを思い出した。


「外の偵察でも本当に見つかってたみたいだし、1頭残っちゃったのはまずかったかな?」

「今回に限りましては倒し切れなくて、逆に都合がよかったかもしれません」


 リリはそうなの? とファーストを見る。

 ファーストは頷く。


「明日、空を走る光には氾濫の直前に、偵察部隊に向けて全員撤退の合図を出してもらう必要があります。まだ突然変異種が森にいるからという理由で、森に向かえるのではないですか」

「撤退の合図で森から全員出してもらうってことだね。それなら確かに丁度良かったのかな」


 ファーストが、そう思いますと同意している。

 リリは頷いて言う。


「詳しい作戦は空を走る光とも話し合った方がいいだろうし、後でにした方がよさそうだね。じゃあそろそろ本題をどうぞ」


 ファーストは今まで以上に真剣な雰囲気で話す。


「リリ様、これは我々だけでは判断しきれない問題です。あらゆる議論を尽くしましたが、正解にたどり着けた気がいたしません」


 リリも真剣に聞く。


「問題って?」


 ファーストが言う。


「我々の中にはバーベキューを行ったことがある者が1人としていないため、バーベキューで使用する食材を絞り込み切れませんでした」

「うん、まあ、そうだろうねー」


 リリは聖族の問題より真剣に話し合ってそうと思った。


「まあいいや。とりあえず肉を多めにするから、牛肉と豚肉と鶏肉は出そう」


 カーヘルが言う。


「牛風の肉と豚風の肉と鶏風の肉ですね」


 キャラリックメル内で手に入る肉には全て風がついていた。

 リリは木から取れる時点で、それっぽい肉としか言い様がないよねと思っている。


「そうだね。火が通りやすいように一口大に切って、塩コショウしてから出すんだよ」

「かしこまりました。1班作業に移ってくれ」


 カーヘルの指示で6人ほど肉を切る作業のため離れて行った。

 リリは次はと考える。


「野菜もいるよね。ジャガイモにカボチャ、トウモロコシ、玉ねぎ、ナス、ニンジン……」


 リリが野菜の名前を上げるたびに、カーヘルが調理する人に指示を出している。


「……野菜はこれくらいかな。他には焼きそばと焼きおにぎりも作りたいよね。先におにぎりを沢山作っておかないと」


 カーヘルが自信ありげに言う。


「おにぎり作りはお任せください。もう昨日のようにはなりません」


 リリはカーヘルが朝練していたことを思い出して笑顔で言う。


「じゃあ、おにぎりはカーヘルに任せたよ。あとはたれを作って、飲み物とデザートも必要かな。スムージーは用意できてる?」

「こちらになります」


 ファーストがどこからともなく大きな瓶を取り出す。


「自家製の物と言っておられたので、SRみかんスムージの中でも品質の良いものを選ばせていただきました」


 リリはURぶどうジュースのことがあったので一応聞く。


「品質がいいってことは、魔力量が多いってことだったよね。大丈夫? またすぐお腹いっぱいにならない?」


 カーヘルが答える。


「コップ1杯程度でしたら、問題ない量になると思います」

「なら大丈夫だね。いつものお茶と、いつものジュースも用意しておこう。お酒はどうしようか。商品になりそうか試してみた方がいいかな?」


 リリの疑問を聞いた者達が冒険者達がお酒を飲んだらどうなるかを想像している。

 ファーストが言う。


「金石の盃が帰らずに寝てしまいそうですが――」

「お酒は無しにしよう」


 笑う声が部屋全体から聞こえる。

 ファーストも微笑んで、かしこまりましたと言った。


 リリは寝かせないように頼んだよと全員に言って、デザートを考えている。


「最後のデザートはアイスにしよう。うん、用意したい食べ物はこれくらいかな」


 カーヘルが胸に手を当てて頭を下げる。


「リリ様、ご教授くださりありがとうございました。準備は私達が行います。ですが、私では合っているのか判断ができないので、途中でチェックをお願いしてもよろしいですか?」

「もちろん、気軽に言ってね。でも、何もしないのも暇だから、たれ作って待ってるね」

「ありがとうございます。では、私は準備に取り掛かるので失礼いたします」


 カーヘルはそう言うと、既に調理を始めている面々に混じって動きが見えないほどの速さで、おにぎりを量産し始めた。


 リリは瞬く間にトレーを埋め尽くしていくおにぎりを見て言う。


「すごい量になりそうだね。たれも大量に必要かな」


 ファーストとプニプニが聞く。


「リリ様、私も助手として参加してもよろしいですか?」

「リリ様、私も参加してよろしいですかな?」


 リリは助手が必要なほどでもない気がしたが、2人がやりたいならと頷く。


「いいよ。じゃあまずは……」


 リリは醤油を取り出そうと手を目の前に上げて気がついた。

 森の中を駆け回ったり石を拾ったりしたので、食べ物に触る前に綺麗にした方がいい程度には汚れている。


「〈範囲〉〈浄化〉」


 ホールの中にあるもの全てが綺麗になった。


(ご飯食べる前に、どうにかして全員にやりたいよね。これも用意するとして)


 リリは先にたれを用意しようと思う。


「たれは、とりあえず焼きおにぎりと焼きトウモロコシ用で同じやつを、えーと……135人、いや、まだいるよね」


 リリは近くの机に近づいて、醤油の瓶を4本、みりん、砂糖、酒の瓶を2本ずつ取り出す。


「ファースト、400人分くらいのたれを作りたいんだけど、鍋の大きさはどれだと思う?」


 ファーストが、遠くに置いてあった鍋を一瞬で持ってくる。


「こちらでどうでしょう」


(店に置いてある大きさだね)


 リリは、それにしようと頷く。


「じゃあ私は醤油を入れるから、プニプニはみりんとお酒を入れて、ファーストは砂糖を溶かしながら入れてね」

「お任せあれ」「かしこまりました」


 リリは醤油の蓋を取って全部入れてしまおうと、勢いよく注ぎ始める。

 プニプニはいつもの大きさになると、鍋の中がよく見える高さまで浮きあがって、触手を器用に使いみりんの瓶の蓋を取り、注ぎ始めた。

 ファーストは両手で砂糖の瓶を持ち上げると言う。


「加熱を開始します」


「はい! ストップ!」


 リリは醤油を置いてファーストを見る。

 ファーストはリリがストップと言った時の体勢のまま停止していた。目だけでリリを見る。


「違いましたか?」

「残念ながら」


 リリはおたまを取り出す。


「これは言い方が悪かったね。鍋の中の調味料に砂糖を少しずつ入れて、塊が残らないように混ぜて溶かしてね。スタート」


 スタートの合図で動き出したファーストは、おたまをありがとうございますと言って受け取った。


 ファーストはおたまで少しずつ砂糖を入れている。

 リリもまた醤油を注ぎ始めた。


「リリ様、じゃがいものチェック、よろしくお願いします」

「リリ様、ニンジンもお願いします」


 後ろから声をかけられて、リリは醤油を注ぎながら振り返る。

 思い思いの1口大に切られた野菜を皿にのせて、リリの後ろに列ができ始めていた。


 リリは仕事が早いと思いながら対応していく。

 もっと薄く、もっと小さく、先に火を通しておこう、リリが言えるのはこれだけだった。


 なんとか全ての軌道修正を終える頃には、たれはファーストとプニプニの手によって全ての調味料が混ざった状態にまでなっていた。


「助手が必要な作業だったね。ありがとう」

「お役に立てて光栄です」「何かを作るのも楽しいものですな」


 リリはたれを味見する。


「味はこれでいいね。あとは焼き肉のたれと、浄化のスキル玉を作れば終わりかな」


 カーヘルがやってきて聞く。


「リリ様、出来上がっているたれをプレートに盛り付けてよろしいですか?」


「え、もうそこまでいったの?」


 リリが全体を見ると、テーブルごとに配膳するプレートを盛り付ける段階まで進んでいた。


「早いねー。たれは持って行っていいよ」


 カーヘルがたれの入った鍋を持って行く。


 リリはまた新たに醤油などを取り出した。

 プニプニが浮いたまま鍋を取りに向かう。


 リリはプニプニが鍋を掴む様子をクレーンゲームみたいだと眺めながら、ファーストに言う。


「ファースト、浄化のスキル玉を食事前のキャラリックメルの風習ってことにして、全員に使わせられないかな」

「その設定であれば上手く丸め込めるかもしれません。ただ、信憑性を持たせるためには、多めに用意する必要があるでしょう」


 リリは籠を数個用意して聞く。


「千個くらいでいい?」


 ファーストが一瞬止まった。

 何事もなかったかのように動き出して言う。


「在庫として取っておく分も含めるとなれば、それくらい必要になりそうです」


 リリはファーストの想定より多かったということは分かった。


「ちなみに1回、何個くらいのつもりで言ってたの?」


 ファーストは目をそらした。


「……200個くらいでしょうか」


 リリは5倍だったかー、と千個浄化のスキル玉を作って籠に入れた。





 リリが焼き肉のたれを作り終わるころには、配膳の準備はほぼ終わっていた。


「まだ鍋が熱いから気をつけてねー」


 そんな声に見送られてプニプニが鍋を浮いたまま持って行く。


 リリは遠くから、配膳予定の食材が山と積まれているトレーをぼーっと眺める。


「なんかやっと帰ってきた感じがするよね。まだ終わってないけど」

「お疲れですか?」


 ファーストの声に、リリは自分が疲れているか考えてみる。

 森の中ではずっと走っていて、検問所で話している時はずっと立っていたが、体には全く疲労感がない気がした。

 精神的にも、予想していたような気持ち悪さなどはなかったので、まだマシな方なのではないかと思っている。


(落ち着いて思い返してみると、だいぶ余裕がなかったね。でも、疲れたって感じじゃないから、スッキリしない感じかな)


 リリはため息をついた。


「精神的にめちゃくちゃ疲れたって言いたい所なんだけど、どっちかというと見られてたせいで色々言えなくてモヤモヤしてるような気がするね」

「モヤモヤですか? 私でよろしければお聞きしますよ」

「愚痴だから面倒くさいよ?」


 ファーストが構いませんと言うので、リリはあの時思っていたことを思い出す。


「聖族が重力操作した後、空を走る光もキオットの陽ざしも今までありがとうとか言って、諦めたみたいな雰囲気になってたでしょ。重力操作って動けなくなるだけで、HPもそんなに減らないのになんですぐ諦めるんだろうって……」


 リリは完全にゲームの考え方で、自分で言っていて言い方が酷いと思ったので少し慌てて付け足す。


「いや、分かってはいるんだよ。動けなくなったら、次の攻撃は避けられないし、あの実力差だったら死ぬかもしれないって思うのも当然だよ。でも、もっとこう最後まで諦めないでほしいというか、抵抗してほしいというか」


 ファーストは状況を理解したように頷く。


「リリ様、私には彼らは諦めていないように見えました」

「え、あれで?」


 リリは驚いてファーストを見る。

 ファーストは落ち着いた様子で話す。


「はい、確かに言っている内容は別れを告げるような内容でしたが、あれは敵に自らを脅威に見せない作戦だったのではないでしょうか」

「……もう少し詳しく教えてくれる?」


 ファーストは作戦の事は忘れて素直に考えてくださいと言ってから、例え話をする。


「リリ様の目の前に剣を持った人が2人いたとします。1人は剣を抜き暴れています。もう1人は剣を床に捨て降参のポーズです。どちらから対処した方がいいと思われますか?」


 リリは素直に考えるならで言う。


「剣を持ってない人は後からでも大丈夫そうだし、暴れてる人からになるよね」

「同じ理由で、召喚された聖族は冒険者達を放置し、召喚者の問いに答えるのにかかりきりになりました。もし、効果時間があのまま切れていれば、隙をついて襲い掛かるつもりだったのではないでしょうか」


 リリは納得よりもそれはできないだろうという気持ちの方が勝ってしまった。


「さすがに効果が切れるまでなんて、待ってはくれないんじゃない?」

「そうですね。彼らがそう考えていた可能性もあります。そうなりますと、あの演技の目的は時間稼ぎということになります。リリ様が逃げる時間を作ろうとしていたのではないですか」


 リリは頭を抱えた。

 どちらの作戦であったとしても、自分が逃げたら全滅すると聞いていたので、結局詰みだったのではないだろうか。


「私があの時点で逃げてたら全滅が確定ってことは、そもそも勝てないんだよね?」

「あの聖族は魔法に特化した個体のようでした。近接能力はあまり高くないようだったので、作戦通りにいけば勝つ可能性はありました。ですが、リリ様があの時点でいなくなると、召喚者が質問をやめていたと思われるので、全滅はします」


 リリが頭を抱えたまま動かないのを見て、ファーストは続けて言う。


「ちなみに、作戦通りにいった場合勝つ可能性はありますが、何人か死ぬと思われます」


「……今回の結果がベストだったということで」


 リリは全員生還できて良かったということで落ち着くことにした。

 ファーストが聞く。


「スッキリされましたか?」


「うーん、もう1個聞いておきたいんだけど」


 ファーストは、何でしょうと続きを聞く姿勢だ。


「空を走る光の支配って治しても平気だと思う?」


 ファーストは考えるように間を開けてから話し出す。


「治したとしても、空を走る光はキャラリックメルについて積極的にバラそうとはしないと思われます」


 ファーストは少し悩むように、ですがと続ける。


「支配されていない状態では、つい態度に出てしまいそうな出来事が何度かあったというようなことを言っていました。支配を治されるのであれば、どの程度バレたかによって、どのように対応するかを先に決めておいた方がよろしいかと」


 リリは頷いて少し笑う。


「バレた時にどうするかっていうのはその通りなんだけど、空を走る光がつい態度に出しそうってなんか意外なんだよね」


 ファーストも微笑んで言う。


「空を走る光にとって我々は刺激が強すぎるのかもしれませんね」


 リリが刺激かーと笑っていると、プニプニが転がって来る。


「リリ様、今のお話に関係することなのですが、私からも1つお聞きしてよろしいですかな」


 リリは、どうぞーと返事をした。

 プニプニは、ではお聞きしますと改まって聞く。


「リリ様は、空を走る光のどこが気に入りませんでしたかな?」


 リリは今の話からどうしてそんな話になったのか全く分からなかった。


「急に何の話?」

「リリ様は空を走る光にかけた支配の祝福を治そうと考えておられる。そうですな?」

「まあ、できるか考えてはいるよ」


 プニプニは思い出すように、ゆっくりと話す。


「リリ様が空を走る光に支配をかけたのは、二度と彼らが誰かに操られるようなことがないように、というリリ様の優しさによるものだったように思います」


 リリは、それが目的だったと、かなり昔のことを思い出したような気分になった。

 結局命令してしまっているのだから、あまり意味がないような気持ちになりつつも頷く。


「……それはそうだね」

「それを治すということは、リリ様は、空を走る光に何かご不満があって、罰として取り上げる、という判断をなさったのかと思ったのですが、違いましたかな」


 リリはいやいやいや、と手を振る。


「罰とかじゃないよ。ただ、支配で命令されるのってやっぱり嫌かな、ってちょっと考えてたんだよ。支配なんてなくても、言わない方がいいって結論になる話を聞いちゃったし」


「ふむ、空を走る光が嫌がっているように見えておられると。そういうことであれば、リリ様、空を走る光に一度確認することをお勧めいたしますぞ」


「支配なんてなくても言わないかって?」


 プニプニは邪悪そうな笑い声を上げた。


「それを聞いてみるのも一興かと存じますな」


 ファーストがプニプニをじっと見る。

 プニプニは、口もないのに咳払いして仕切り治す。


「ですが、私が言いたかったのは、空を走る光が支配を治してほしいと本当に思っているかどうかです。私が空を走る光の立場であれば、リリ様から解放されたいとは決して思わないでしょうからな」


 リリには支配されたままでいたい理由がいまいち想像できなかったが、そう言うならと頷く。


「一応聞いてみるよ」


 話がまとまったと思ったのか、カーヘルが近づいてくる。


「リリ様、こちらは準備ができました」


 リリはカーヘルにありがとうと返事をして、プニプニに聞く。


「ところでプニプニってバーベキュー食べてくの?」


 プニプニは、カッと目を見開いた。


「リリ様、私も食べてみたいですぞ」


 リリは、自分のテーブルだと冒険者達の目があるので食べられないだろうと悩む。


「カーヘル、配膳のついでにプニプニを目立たないテーブルに混ぜられないかな?」


 プニプニは何か失敗したことに気がついたように固まった。

 カーヘルはプニプニを一瞬見てから言う。


「目立たない場所ですね。それでは、厩舎前のテーブルはいかがですか?」


 リリはペガサス達の所にもテーブルがあるんだと感心した。


「家の裏だね。あそこなら自由に食べられるし、いいんじゃない」


 プニプニは目を細める。


「リリ様、私は――」

「プニプニ、良かったですね。私、みなで同じ食事ができて嬉しく思います」


 ファーストはかぶせるように言って、プニプニを見た。

 プニプニもファーストを見て、その場で飛び跳ねながらやけになったように言う。


「そうだね! 私も嬉しく思っているとも!」


 リリは急に跳ね始めたプニプニに聞く。


「なんか嫌だった?」


 プニプニはリリの方を見て止まる。


「いえいえ、嬉しすぎて跳ねていただけですぞ。リリ様、お心遣い感謝いたします」

「それならいいけど……」


 リリは首をかしげている。

 ファーストが言う。


「リリ様、プニプニはカーヘルに任せて、我々は先に戻りませんか?」

「そうだね。浄化のスキル玉を配らないといけないし、先に行こうか」



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