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38話 冒険者ギルドへの協力要請

「一体なぜ新しい事件が起きている!」

「支配をかけた冒険者達からの情報によりますと、黒の砂というパーティが新たな事件が起きたようにみせかけたと」

「その話は先ほども聞いた! そうではなくなぜあのような――」


 男は、自分の計画が上手く進んでいない事に対する鬱憤を、部下に怒鳴り散らすことで晴らそうとしていた。


「そもそも一晩で壊したものが元通りになるのがおかしい。建物の方はまだいい。だが、聖なる木はそのまま他の町から持ってくるなんてことも出来ないはずだ」

「は、はい、デルベルド様のおっしゃる通りです」


 その男、デルベルドは部下を睨みつけて言う。


「なら、こんなところでぼさっとしてないでさっさとやった奴でも方法でも見つけ出せ! 俺の計画の邪魔をした奴には、必ず罰を与えなければならないのだからな!」

「そ、その通りです。今から情報を集めにいってまいります」


 と言ってデルベルドの部下は出ていった。

 デルベルドは部下が出ていった扉を見て、くそっと言ってからどうにか落ち着きたいと周りを見渡す。

 そして机の上に置いてある、薬品の入った瓶が目に止まる。

 それをみて思い出す、あれは最近で一番面白かったと。

 この町で英雄と言われている勇者パーティを、抵抗も許さずこの手で蹂躙していた光景を。


 デルベルドは昔から力がなかった。

 実力がないという意味ではない、純粋に腕力や、脚力が鍛えてもたいしてつかなかったという意味だ。

 だから圧倒的な力に対する、憧れのようなものを最初は持っていた。

 デルベルドは腕力などはなかったが、魔法の才能には恵まれていて、周りからはきっと冒険者として大成するだろうと思われていた。


 だが、デルベルドは冒険者になりたいとは思わなかった。

 どうして、自分が身につけることができない力を持っている奴と協力して、魔物を狩らなければいけないんだとデルベルドは考えた。

 目の前で力を見せつけられたら、きっと平常心ではいられないだろう。

 だが他の冒険者と協力しないで、ソロ活躍も出来るし、稼ぎも良いらしいし、嫌だったら勝手に帰っちまえばいいんだから一回いってみたらどうだという当時付き合っていたガラの悪い仲間たちの言葉に押されて、デルベルドは一度冒険者ギルドに登録する。


 そこでデルベルドの運命は変わった。

 新規冒険者用の講習で昔あった事件として、支配を使った事件について習ったのだ。

 これが使えれば、自分が持っていない力も、自分の力としてふるえるようになるかもしれない。


 そう思ったデルベルドは冒険者として活動しつつ、裏社会への道を歩き始めた。

 冒険者として活動しているだけでは、支配の魔法の詠唱を知るのは難しそうだし、裏社会の活動だけではたいしたコネも力もない自分では金が足りなくなるだろうと、思ったのだ。

 そしてその考えはあたる。


 冒険者業で稼いだ金が、支配の魔法に変わっていく。

 そして幸か不幸か、デルベルドには支配の魔法を扱う才能があった。


 そこからデルベルドの快進撃が始まる。

 確かに支配の魔法は格上の存在には、効果がなく、同格くらいの存在には効きにくいという制限がある。

 だが、デルベルドには本当に魔法の才能があった。

 デルベルドは自身のいた町の冒険者の最大のランクである、Aランクまでその町の最短記録を見事に塗り替えわずか6年でAランク冒険者となった。

 そしてデルベルドは冒険者という表舞台から姿を消す。


 裏社会でもデルベルドの快進撃は止まらなかった。

 支配が効く相手には支配をかけ、効かない奴は得意の魔法で黙らせる。

 それだけで十分に上手くやっていけた。

 実力としてAランクにまでなったデルベルドは、町にいるランクの低い前衛職の冒険者の男性くらいの力はついたが、自身に力がないという気持ちは消えなかった。

 だからデルベルドの使えない力を見せびらかしてくるような奴に、支配をかけて自分の意のままに操るのも楽しかったし、能力的に使えそうなやつに支配をかけて自分の部下にしたりもした。


 そんな生活を送っているうちに、デルベルドは野望を持った。

 自分はこんな小さな町で収まる人間ではない。

 大きな町を支配して自分の意のままにしてしまいたいと。


 そう思ったデルベルドは拠点をグルークの町に移す。

 そしてここでデルベルドは衝撃を受ける。

 前いた町ではデルベルドほどの実力者であれば、ほとんど冒険者や衛兵に、問題なく支配をかけられるくらいに実力が低い者の方が多かった。

 だが、グルークの町は違う。

 確実にかけられるとはいえない実力が高い冒険者や衛兵の方が、数が多かったのだ。

 この町はどうなっているんだとデルベルドは思う。


 そこで諦めて、違う町にいって活動すればもっと簡単にその町を支配していたかもしれない。だが、失敗という失敗をしたこともなく、傲慢に育ったデルベルドの自意識は自らの能力を強く信じていた。

 俺はまだまだ強くなれる余地があるのだから、この町でも問題ないと。

 そして思う、この支配するのは難しいと思った町を支配することができれば、自分はきっと満足できる。

 デルベルドは自分が持っていない力に対する妄執も、この町で活動している冒険者達を操ることが出来る様になれば、きっと解消されると信じた。


 そしてデルベルドはグルークの町で活動を開始し、また新たな幸運に出会った。

 なんと自分と同格の実力の相手に、確実に支配の魔法をかける方法を知ったのだ。

 それは食べ物に支配の魔法を付与する呪文である。

 その呪文を教えてくれた見た目の細い男は、名前をライといい、支配の魔法をどうにか使いやすく改良したいと話した。

 ライと仲良くなれたのはライがグルークの町に住んでおらず、デルベルドよりも少しだけ実力が下で、支配の魔法が使えたからだと、デルベルドは思っている。

 そして食べ物に付与する以外にも、色々と実験をしているのでデルベルドに協力して欲しいということも言った。


 デルベルドはそれを了承し、グルークの町での活動に戻った。


 グルークの町に戻ったデルベルドが真っ先にやったのは、神殿で支配の状態異常にかかっていないかを調べることが出来る神官達に、支配をかけることだった。

 デルベルドは食べ物に支配の魔法を付与する方法で、町中に支配をかけていこうと考えている。

 その時問題になるのは、支配の魔法が使われていると神殿で見つかることだった。

 神殿で1件でも支配がかかっていることが見つかると、この町の場合凄まじい勢いで犯人探しが始まることが予想されたため、最初にここを押さえる事にした。

 前線に立つことの少ない神官達は、冒険者と比べればたいした実力を持っていなかったので、簡単に支配にかかる。

 そして命令した、支配にかかっている者を見つけても支配のことだけは絶対に教えるなと。

 ここをきちんと抑えておけば、ここの冒険者達は質が高いので、基本的には勝手にお互いの情報を魔法で暴いたりはしないということをデルベルドは知っていた。


 デルベルドが次にやったことはコフシーの店主にも支配の魔法をかけて、自分が支配の魔法を付与した赤い香辛料を『より美味しいと感じるでしょう』と紹介する事だ。

 そしてコフシーの店主に違和感なく、商品として取り扱わせる事に成功している。

 食べ物に支配の魔法をかける方法は、今までのように1回かけるだけで操れるわけではなく、何度も摂取させる事でようやく効果を発揮する面倒くさい方法だ。

 だが、デルベルドほどの実力者が行えば、この町で支配できない者はほぼいないと言ってもいいほど、確実性を持った方法に変わる。

 デルベルドはゆっくりとだが確実に、グルークの町の支配者へ、自分がなる日が近づいている事に幸せを感じていた。


 そんなデルベルドの幸せな日々に、水を差すパーティが現れた。


 4年前から活動を開始し始めた、ランクAのパーティ、その名を空を走る光。

 そのパーティは黒の森で魔物を狩り続け、破竹の勢いで順調にランクを上げ続けた。

 そして何より目立ったのは、町の中で起きる人為的な事件、それを何度も解決に導いてきたという実績だ。

 空を走る光はグルークの町や、遠征で行った町中で起きる事件に、これでもかという勢いで巻き込まれ、そしてそれを解決していった。

 そんな話を町の人達が噂しないわけがない。

 デルベルドは聞こうとしなくても、空を走る光の情報が入ってくる現状にむかついていたが、さらに聞こえてしまった情報に苛立ちを募らせた。


 空を走る光のリーダーのウィルは魔法を使えるが、剣士としてAランクの力も持っていると知ってしまったのだ。


 それを知ったデルベルドの心情を想像するのは難しくないだろう。

 自分が欲しくて欲しくてたまらなかった力と、自分が持っている力の両方を使えるものがいるのだ。

 しかも、自分の町で立てたAランクパーティの最速記録である6年から、2年も早い4年でAランクパーティになるという偉業を達成している。


 冒険者の規定をよく知らなければ、ソロとパーティを比較しても意味がない、パーティの方がパーティ単位でランク分けされているのだから簡単にAランクになれると誰もが思うだろう。

 実際は違う、Bランクまではチーム内で差があっても総合的な評価でなれるが、Aランクパーティだけはちゃんと個人個人の実力が、Aランクに到達していないとなることができないのだ。


 ウィルのことを知ったデルベルドは、その日から予定を変更した。

 町中の冒険者や衛兵に支配がかかるのを待ってから行動しようと思っていたのをやめて、積極的に支配にかかった人達を操って町で事件を起こしたり、ありもしない噂話を流したりと精力的に動く事にしたのだ。


 憂さ晴らしである、少しでも気が紛れればいいとデルベルドは思った。


 捜査する衛兵達は捕まえた犯人が支配にかけられていないか、他の精神系の魔法にかけられていないかを神殿から人を呼んで調査している。

 なのでデルベルドの目論見通り、支配の魔法についてバレることはなかった。

 デルベルドは一応、支配を調べられる人がいないかの調査を部下にずっと続けさせていて、見つけるたびに支配で言えなくしていたのでその辺りはうまく立ちまわっていたと言える。


 そんな事をしながら、呪文を教えてくれたライとたまに連絡をとり、支配の呪文の効率化の話やデメシードの入手方法や使い方などの話をしたりしながら過ごしていると、またデルベルドのかんに触る出来事が起きる。


 空を走る光が森の王を倒し、Sランクパーティへと昇格したのだ。

 町では彼らを勇者パーティと呼ぶ風潮が高まり、そのリーダーのウィルは勇者と呼ばれている。


 デルベルドはもう我慢できなかった。

 ずっと目障りな存在が目の前を、チラチラと飛んでいる気分だ。

 そんなのは耐えられない、一刻も早く勇者パーティなどと呼ばれ始めたあいつらの評判を地の底に沈め、俺の手で苦しめて、苦しめて、苦しめて殺してやる。


 そう考えたデルベルドは、そのための計画を考え始めた。

 まずはあいつらにコフシーの調味料を使わせるところからだ――。


 デルベルドの立てた計画は順調に進んだ。

 勇者パーティの評判を下げると同時に、自分の勢力の拡大も一緒におこなえるこの計画は、成功すればデルベルドが町を支配する足掛かりとなるだろう。

 そして空を走る光は順調に、コフシーの支配の魔法のかかった真っ赤な香辛料を買い続けている。


 デルベルドはもう少しの辛抱だと自分に言い聞かせながら、支配がきっちりかかるのを待っていた。

 そんな時またライから連絡がくる。

 新しい薬を手に入れた、使用して使用量で変化があるか試してくれないかと。


 ライから送られた薬は、説明によると使用者の腕力や脚力といった力を一時的に増大させる効果のある薬らしい。

 冒険者の使う薬にも似たような物があるが、それよりももっと効果が強いかつ副作用もない薬なんだと、ライが自分で使ってみた感想を言っていた。

 最初、それをそのまま信じるほどデルベルドはライを信じていなかった。

 たが、説明された薬の効果は、デルベルドが昔から喉から手が出るほど欲しかった効果だ。


 だからデルベルドは適当な住民に支配をかけ操り、その薬を試しに飲ませてみた。

 効果は劇的だった。

 見た目が変わるわけではない、だがただの一般人がグルークの町のCランク冒険者並みの怪力を出したといったら凄さは伝わるだろうか。

 それを目にしたデルベルドの驚き様も、なかなかのものだった。

 そしてデルベルドは、本当に副作用が出ないのかの確認を何日もかけて行い、自分で飲んでみることにした。

 飲んでみてデルベルドは、今まで自分が感じたことのない力が全身を巡っているように感じた。

 そしてその状態で色々と試してみたデルベルドは確信する。

 これこそが自分が求めていた力だ、今の自分はSランクパーティ、空を走る光のウィルにだって劣らない力を手に入れたんだ。


 そう思ったデルベルドはもう待ちきれなかった。

 本当はあと数日後にやる予定だった、勇者パーティへの作戦の実行を前倒しして行う事にする。

 どうせ数日だ、何も変わらないとデルベルドは思った。


 それはデルベルドにとって、とても愉快な光景だった。


 デルベルドに殴られただけで、ウィルは苦しそうな声を出して床に沈んだ。

 床に沈んだウィルを思いっきり力をかけて踏み潰す。

 堪えきれない呻き声が聞こえる。

 その光景を見ている、周りにいるウィルの仲間達は声を出すこともできずに、苦しそうに倒れている。


 踏みつけられたウィルはデルベルドを、苦しそうにしながらも反抗的な目で睨みつけている。

 それを見て、デルベルドはこれから毎日お前らで遊ぶつもりなんだ、いつまでそんな目をしていられるのかみものだなと言いながら、思いっきりウィルを蹴飛ばした。

 壁に勢いよくぶつかる。


 デルベルドはそろそろ薬が切れる時間だと思って、最後に近くにいた女を持ち上げる。

 それをみたウィルは、ルティナにまだ何かするつもりか! と叫びながら立ち上がろうとしている。

 それを見て、デルベルドは思いっきりルティナをウィルに向かって投げた。

 ルティナとウィルがぶつかって鈍い音がした。


 床に倒れ込む2人を見て、デルベルドはウィル、なんで受け止めてやらないんだ? と楽しそうに笑っている。

 そして、薬が切れたことを確認したので、今日は帰ることにした。

 ウィルとその仲間達に明日も冒険者として怪しまれないように活動しろ、怪我はもう治しても良いと命令してから帰っていく。


 デルベルドがそう言ってすぐに、ウィルはルティナに必死そうに傷よ治れ、〈回復〉しろ、ヒールと回復の魔法をかけた。

 その光景はやはりデルベルドの神経を逆撫でする行為ではあったが、自分は力を手に入れ、そしてこいつらは計画が終われば消えていなくなると思えばそこまで苛立たずに済んだ。


 毎日薬を飲む量を変えて、もっと力を手に入れられないかを勇者パーティで試す日々が続く。

 未だにウィルの反抗的な目はなくならなかったが、デルベルドは別にそれでもいいと思っている。


 ウィルは自分がダグとグローを嬲っている時にはとても苦しそうな表情をしてそれを見ているし、ナリダとルティナの首を締め、放り投げるとそれはそれは辛そうにするのだ。

 これが楽しくないわけがない。

 だからわざわざ1番ムカつくウィルの、殴る順番を最後にしているのだ。


 そして計画も終盤を迎え、聖なる木を勇者パーティに壊させた。

 これでこいつらも用済みだ。

 聖なる木を壊したらここに住めなくなることも知らないのかとバカにするように言われたが、デルベルドにとってその光景は、ウィルにできる唯一の抵抗であることを知っていたため別に怒りを抱くほどのことではなかった。

 だが、ここで怒ったように見せかけて一人一人殺していけば、自分の失言のせいで仲間が死んだと思わせられて丁度いい。

 デルベルドはそう思ったので、ルティナにナイフを向ける。

 お前を殺してやると言って。


 そうすると次の瞬間信じられないことが起きた。

 なんとウィルがやめろと叫びながら、デルベルドに蹴りを入れてきたのだ。

 デルベルドの力は薬で増したが防御力は変わっていなかった。

 そして抵抗など出来るはずもないと思っていたデルベルドは、ウィルの渾身の一撃をモロに喰らってしまう。

 デルベルドは焦る、何故反抗できると。

 はっきりいって室内という狭い空間で魔法使いの自分と、前衛職のウィルが戦えばウィルの方が有利に立ち回れるということはデルベルドだって知っていた。

 だからデルベルドは計画を変更する。


 きっと今の一撃は奇跡に近い攻撃だ、だかまた何回か同じことをされては困る。

 今まで抵抗出来なかったことから、そう考えた。

 あとで思い返してみて、攻撃するなと言わなかったからも理由としてはあるのかもしれないとデルベルドは思っていた。


 そして計画を変更したデルベルドは、ウィルの仲間達にウィルの体を押さえつけさせる。

 そしてデメシードを埋め込む。

 デメシードは本当に埋め込むことを目的として使うのであれば、痛みを軽減する処置をしてから行わなければ痛みでショック死する確率が高い。

 だがデルベルドはそういったことは一切行わなかった。

 ウィルの顔が苦痛に歪む、今までで一番の悲鳴が響き渡る。

 外が雨でなければ外まで響いていただろう。

 ルティナに回復魔法をかけ続けさせることで、ウィルの苦しみはデメシードがウィルの心臓に同化し終わるまで続いた。


 そしてデルベルドは、最後にここ数日で分かったウィルの最もしたくないだろう事を、一番悪い笑みを浮かべて命令した。


 デルベルドはその時のウィルと、その仲間達の表情を思い出して1人笑う。

 そして、きっと森の中でウィルが仲間達を殺している所を見れていたら、もっと楽しいものが見れただろう。

 最後にウィルが自殺でもしてくれれば最高だ、と思った。


 デルベルドの中ではウィルが帰ってこない理由を、仲間を殺したショックで自殺でもしたか、呆然としている間にグレイトホーンに轢き殺されたかのどっちかだと思っている。


 機嫌が少し良くなったデルベルドは、目標の一つである勇者パーティを消すという点は達成されたのだから、また地道に町を支配する計画を立て直そうと気持ちを切り替えた。

 もちろん、今回の計画の邪魔をした犯人には必ず罰を与えることを心に決めている。





 次の日リリが一番早く起きた。

 寝顔を見られなくてホッとしている。


(よく分からないけど、あんまり寝てるところって見られたくないんだよね。もし寝てるところを見られたら、記憶から消してやりたくなる気がする)


 リリはこれからも気をつけようと自分に言っておく、物音がした瞬間に起きようと。

 リリが起きたことに気がついたファーストが、目覚める。

 そして声に出さずに言ってくる、おはようございますと。

 なのでリリも声に出さずにおはようと返した。


 ファーストとリリが起きたことで、拠点の者達は起きたようだ。

 全員がリリに体だけでおはようございますと言ってきた。


 拠点の者達が起きたことを確認したのでリリは〈無詠唱〉〈範囲〉〈消音〉で音を消した。

 なので分かりやすく手を叩いて音がしなくなったことを伝える。

 無事に伝わったようだ。

 なので布団を片付けていく、洗濯は今〈範囲〉〈洗濯〉で終わらせた。

 スペースが出来たところで、テーブルとソファーを戻していく。


 そのあと〈範囲〉〈浄化〉で朝の手間を全員分省いてしまった。

 全員がそれに気がついたようだ。

 身振りで感謝を伝えてくる。


 続いて大きくベルを揺らす。

 音はしなくても伝わることを知っているので、リリは気にしていない。

 大量の朝食が運ばれてくる。

 いい匂いが広がった。


 テーブルの上に大量の食事が広げられる。

 皆でいただきますと言って食べ始めた。

 全員が食べ終えてテーブルの上の食器がなくなった後、消音の効果がきえた。

 なので、普通にリリが言う。


「今日も1日よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」


 今いる5人が言った。

 それで空を走る光も起きたようだ。

 キョロキョロとあたりを見回している。

 リリが声をかけた。


「おはようみんな、今日も1日よろしくね」


 全員がおはようと返した。

 リリは言う。


「お風呂場に行って着替えてきたらどうだろう」


 それを聞いて空を走る光はお風呂場に向かった。

 それを見送ってから、また全員が装備を変更する。

 一瞬光って装備が元に戻った。

 ベルを鳴らす。

 大量の食事が届けられる。

 帰るときに全員分の布団も持って行ってもらった。

 察していたので人数が多かった、問題なく持っていってくれる。

 全員にありがとうとリリが声をかけた。

 嬉しそうに持っていった。


 布団を持っていってもらったあたりで、空を走る光が戻って来る。

 昨日リリがあげた装備にジャージをやめて着替えたようだ。

 食事が用意されていることが嬉しかったようだ、さっそく食べ始めた。

 途中でウィルが聞いてくる。


「リリさんたちは食べないの?」

「みんなが寝てる間に食べたよ」

「え、早いね、全く気がつかなかったよ」

「そうだろうね。ぐっすり寝てたからね」


 空を走る光は自分たちが寝てる間に食べ終わるなんて、だいぶ早く起きたんだろうなと思っている。

 拠点の者達は音がしなかったから、起きれなかったんだろうなと知っていた。

 やっぱりすごい勢いで、減っていく食事を見ながらクロに声をかける。


「今日はクロはどうする? ピーちゃんをまた任せたいんだけど」

「リリ様がおっしゃるのでしたら、お昼はピーちゃん を任せていただきたいですね。グレイトホーンはたいして強くないので、狩って1頭くらい持ってくるのも面白そうじゃないですか?」

「確かにグレイトホーンで装備を作ったらどうなるかは気になるね。というか森の王で作ってみたいね。その方が強そう」

「そうですね、今度探してみましょう。森のもっと奥に行けば大量にいそうです。今日はグレイトホーンをカーヘル様に届けてみます」


 それを聞いて空を走る光は思った。

 森の奥には森の王が沢山いるんじゃないかと。


「リリさん、もし森の王を探してみたなら教えてくれないかな、森の王がどれくらいいたのかを」

「分かった、教えるね。きっとグレイトホーンと同じくらいいると思うよ。そうじゃないと増えない気がしない?」


 空を走る光は納得してしまった。

 ナリダが嫌そうに言う。


「あの大きさのがグレイトホーンと同じくらい、いるとか考えたくなかったわ」

「もしかしたらもっと大きのがいるかも」


 グローが嫌そうに言う。


「やめてくれ、考えたくもない」


 空を走る光は嫌そうだが、拠点の者達はとても楽しそうだ。

 拠点の者達からすると弱すぎて、新しい素材としか見えない。

 レベル上げにもちょうどいいかもしれない、とリリは思った。

 3回ほどベルを鳴らしたところで食事が終わる。

 リリが声をかけた。


「じゃあ今から、ギルドに向かって出発するよ。空を走る光のみんなとアルバートとサラ、クロはまとまってね」

「ここからどうやって行くの?」

「まとまってくれたら分かるよ」


 それを聞いたメンバーはまとまる。

 リリは空を走る光に透明になるローブと見えるようになる腕輪を渡す。


「じゃあギルド長への説明よろしくね。いってらっしゃーい」


 〈無詠唱〉〈範囲〉〈転移〉


 一瞬で視界が切り替わったことに空を走る光は驚いたようだ。

 ピーちゃんがアルバートの肩にとまる。


「じゃあみんな行こうか」


 空を走る光はピーちゃんからリリの声が聞こえるのが面白かったようだ。笑いながらピーちゃんを見ている。

 ピーちゃんが言う。


「じゃあみんなはそれを被っていこうね」


 空を走る光はローブを被り腕輪をつけた。

 ダグが聞く。


「3人は見えるのか?」


 ピーちゃんが答える。


「問題ないよ、最初からそういう人がいないか注意して町に来てるからね」


 ナリダが気になったようでピーちゃんに言う。


「こんな魔法があるなんて初めて知ったわ」

「みんなは初めてでも私たちは違うからね、ちゃんと対策が必要だよ。みんなには今度色々教えてあげるね。知らないと危ないよ」

「ありがとう、リリさん」


 ウィルがリリと言ったので、アルバートとサラが注意する。


「いいですか、決してこの状態の方をリリ様とお呼びしてはなりません。知られてはならないのです」

「この状態の時はピーちゃん と呼ぶようにしてください。隠す意味がなくなります」


 空を走る光はそういえばそういう名前で登録していた、と思い出した。自分達がばらすようなことがあってはならない、と気を引き締めている。


「分かったよ。ピーちゃんって呼べばいいんだね」

「そうだよ。絶対にそうしてね」


 気合いが入ったようなので、森を抜け検問所を通る。

 本当に見えないんだなと、空を走る光は面白くなってきた。

 町に入り、冒険者ギルドを目指す。

 勇者パーティがいないのに事件が起きたんだって、という話を楽しそうに町の人達がしている。

 町の人々が不安にそうにしてないことに、空を走る光は安心した様子だ。


 冒険者ギルドに入る。それなりに人がいた。

 マッチェの受付に行く。

 マッチェがおはようございますと言って、ギルド長のいる部屋に案内してくれた。


 ドアをノックしてマッチェが先に部屋に入る。

 その時、空を走る光が先に中に入れるようにドアを抑えて、少しだけ待った。

 すぐに入れたので、不思議そうにもされていない。

 そのあと3人が部屋の中に入った。


 ギルド長ロッダンが立ち上がって、個人的に思った言葉をかけてくる。


「よう、黒の砂はお手柄だな。お前らのおかげで、勇者パーティがいないのに事件が起きたってことで、町の人達が安心して過ごせてるみたいだぞ」


 3人は笑いながら代表してアルバートが伝える。


「それは良かったです、町の人達が無事に過ごせるのは私達も嬉しいことですから」


 それを聞いてロッダン個人としては報酬をやりたいぐらいだと思いながら、ギルド長ロッダンは聞く。


「それで一つ聞きたいんだが、どうして空を走る光の噂を消そうなんて思ったんだ? 黒の砂があいつらと会う機会なんてなかったはずだ。研修期間が終わった次の日の朝から、あいつらは町に帰って来てないんだからな」


 ロッダンは今回の黒の砂の行動には不可解な点が多いと思っている。

 空を走る光と接点がないのに事件を起こしたこともそうだが、事件を起こした店には噂が回り始める前日に一度行っているという話を聞いている。

 勇者パーティの行きつけの店は町の人や冒険者に聞けば簡単に教えてもらえるから、知ること自体は難しくない。

 だがこの町に来たばかりの3人が、宿屋や冒険者ギルドから遠い所にある、空を走る光いきつけの店をわざわざ調べて行ったとしたら理由が分からない。


 会ったこともない勇者パーティのいきつけの店より、紹介したかは知らないが森の盾が使っている店を調べて行く方が、まだ順当ではないだろうか。

 偶然といわれればそれまでだが、今回の事件についてもしくは空を走る光の行方など、そこまではっきりしたことではなくても何かを黒の砂は知っているんじゃないかと、ギルド長の勘はいっている。

 それらの疑問を全部解消するつもりで、今日黒の砂を呼んだ。


 それを聞いて確かにそこは気になるよねと、3人は思った。

 もう隠す必要も無くなったので、ピーちゃんが教える。


「それはね。黒の砂は、空を走る光が今回の事件の犯人を捕まえるのに協力するからだよ!」



 それを聞いた空を走る光はローブを脱ぎ捨てる。

 急に空を走る光が現れたので、ロッダンとマッチェは驚いたようだ。


「なっ、おまえら今までどうしてたんだ。急にいなくなるから心配したぞ」


 ウィルが伝える。


「黒の砂の皆さんに助けてもらったんだ。今回の事件の犯人に支配の魔法をかけられてね。僕が皆を斬り殺そうとしてるところを、皆さんのおかげで何とか回避できたんだ。だから、犯人を捕まえるのをギルドとして協力してほしい」


 それを聞いたロッダンとマッチェは支配の魔法がこの町で使われていることに、驚いている。

 そしてマッチェはピーちゃんが空を走る光を助けたと言っていた話が本当だったと、さらに驚いた。

 ロッダンがウィルに聞く。


「町の物をお前たちが壊したのか?」

「そうだよ、犯人に命令されてね。どんなに頑張ってもやめられなかったよ」

「当たり前のことだが、信じてるぞウィル。支配をかけられたら自分の意思じゃあどうしようもないって、冒険者や衛兵ならだれでも知ってる」


 そして黒の砂の方を見て言う。


「よく止められたなお前達、ウィル相手だとかなり大変だっただろ」


 それを聞いてアルバートとウィルが言った。


「いえ、そこまで難しくはありませんでしたよ。私達の方には意識が全く来てなかったので、簡単に縛ってあげました」

「僕もやりたくなかったから、そんなに力がこもってなかったんじゃないかな。簡単に腕を抑えられて、剣を取り上げられて、縛られちゃったよ」


 それを聞いてギルド長ロッダンは納得した。


「それでどこに匿ってたんだ?」


 ナリダが伝える。


「黒の砂の出身の国からきた商人達のところよ。町で支配を使った事件が起きてるって知って、私達を治したり匿ったりしてくれて今森の中にいるわ」


 ロッダンは黒の砂の交友関係には、深く突っ込まないことにして言う。


「良かったな、お前ら。彼らのおかげで最悪なことにならなかったようで何よりだ」


 ダグが言った。


「ああ、本当にな。彼らがいなかったら全員死んでたぜきっと」


 ロッダンは黒の砂の方を向いて聞く。


「どうやって治したんだ?」


 ピーちゃんが伝える。


「皆が縛られて動けないうちに、眠らせてあげてね。結構な回数必要だったけど流れる水、太陽の葉、解放の魔法で支配を解いてあげたんだよ。起きてからは犯人の居場所をこっそり特定するのに協力してもらってたかな」


 ロッダンはそれを聞いて空を走る光が帰ってこなかった理由を察した。


「なるほどな、犯人にいるってばれた時点で逃げられそうだから帰ってこなかったのか。お前たちが俺たちの前にすら現れなかった理由がよく分かったぜ。ギルドや冒険者にも、何人か支配にかけられた奴がいてもおかしくないもんな」


 続けてギルド長が言う。


「それで俺の前に現れたってことは犯人の居場所が特定できたんだな」


 と言ってロッダンは棚から町の詳細な地図をとりだす。

 ピーちゃんが嘴で犯人の居場所を示した。


「ここだよー」


 ウィルも言う。


「そこだよ。間違いなくそこに犯人が入っていったからね」


 ロッダンとマッチェ、空を走る光は初めて聞いたその場所の実際の光景を思い出す。何があるというわけでもない住宅街だったと全員が思った。

 そのあとロッダンは聞く。


「それでギルドに何を協力してほしいんだ?」


 グローが伝える。


「俺たちが犯人を捕まえたらすぐに衛兵に渡して、二度と支配の魔法が使えないようにしてほしい」

「お前たちだけで大丈夫か? 他の冒険者の協力はいらないのか?」


 サラが言う。


「いえ、私達だけで大丈夫です。皆さんに渡したのが最後の透明になれる服なので、他の方がいらっしゃると夜に奇襲をかけても、バレてしまう可能性が上がります」


 ピーちゃんはそれを聞いて思った。


(透明な間に縛ってしまえば簡単に捕まえられるんじゃない? 戦う必要もあるのかな? 後で聞いてみよう)


 ロッダンは確かに奇襲をかけるなら、その状態になれる奴だけで行った方がいい、と思ったようだ。


「分かった。お前たちの活躍を期待して待ってるぜ。どの衛兵が支配にかかってないかは分かるのか?」


 たぶん聞けば分かるけど知っているのはおかしいかなと、思ったピーちゃんが答える。


「それは調べた方がよさそうだね。ピーちゃんに任せて、支配にかかってるかどうかは、ばっちり分かるよ。やってもいいのかな?」

「ピーちゃん、思いっきりやってもらって構わないぜ。緊急事態だしな。文句をいうやつはいないと思うが、いたら俺が黙らせてやるよ。先にギルドの奴を見てもらってもいいか?」

「もちろんだよー、先にふたりにかけるね」


 マッチェとロッダンがいう。


「はい、お願いします」

「おう、やってくれ」


 ピーちゃんはこれに関しては事前に魔法の詠唱を考えていた。


「教えて、広い〈範囲〉に届け〈状態解析〉せよ、ステータス」


 ロッダンとマッチェに魔法がかかる。

 無事にウィンドウが表示された。

 それを見て伝える。


「ふたりは問題ないみたいだね」


 それを聞いてマッチェとギルド長ロッダンは安心した様子だ。


「良かったです」

「それなら安心だな」


 空を走る光はまたローブを着る。

 見えなくなったところで、ロッダンは扉をあけて職員がいるところにいく。

 そこでピーちゃんにこっそりと言う。


「全員にかけてくれ、それでかかってないやつを10人よりは多い感じで教えてくれ」

「分かったよ。教えて、広い〈範囲〉に届け〈状態解析〉せよ、ステータス」


 かなりの数のウィンドウが表示されたので読むのが難しい。

 ロッダンや空を走る光はウィンドウを邪魔そうにもしていないので、ピーちゃん以外には見えていないらしい。

 目の前にあるやつを読んで、かかってなかったらギルド長に言って、15人でやめることにする。

 15人読み上げてロッダンをみた。

 ロッダンはピーちゃんに言う。


「十分だ。そいつらに後で俺が言っておく。じゃあ次は衛兵の詰所に行くぞ」


 ロッダンについて行く。

 空を走る光は人を避けている。

 それが分かっているのでなるべく人通りの少ない道を選んで、ロッダンは進んでいく。

 城壁の近くにある、大きな石製の建物にロッダンは入っていく。8人がそれに続いた。

 ピーちゃんにこっそり言う。


「今から俺が話す奴が支配にかかってないか見てくれ、頼んだぞ。かかってたら声をかけてくれ、かかってなかったら何も言わなくていい」

「分かったよー、離れてみてるね」


 ギルド長ロッダンは近くにいた衛兵に声をかけて誰かを呼んだ。

 誰かがやってくる。

 そしてロッダンに話しかけた。


「どうしましたかギルド長。どういった用事でしょうか?」

「大将、あんたに話があってきたんだ。聞いてくれ」


 ギルド長が話しているので、ピーちゃんはこっそり魔法を詠唱した。


「教えて、〈状態解析〉せよ、ステータス」


 ピーちゃんはそれを見てギルド長に声をかける。


「ギルド長ー、聞きたいことがあるから話し終わったら、ちょっとこっちに来てね」

「おう分かった。待ってろ」


 少ししてギルド長ロッダンは戻って来る。


「かかってたか」

「かかってたね。でも命令されてなかったら普通に協力してくれるよ。指示されてないことは何でもできるからね」

「なるほどな、聞いてみる」


 ロッダンはまた大将と話に戻った。

 そしてしばらくして、ロッダンがまた戻って来る。


「無事に協力してくれるそうだ。かなり怖がってたぞあいつ。なるべく誰にも会わないように今日は過ごすみたいだな。人員は派遣してくれるってよ」


 ロッダンは珍しいものを見たと楽しそうだ。


「それでどいつがかかってないんだ? また15人教えてくれ。あいつに聞かせたいからあいつの傍でかけてくれよな」


 全員で大将の近くに行く。

 ピーちゃんが魔法の詠唱を行う。


「教えて、広い〈範囲〉に届け〈状態解析〉せよ、ステータス」


 すごい量のウィンドウになってしまった。

 目の前にあるやつから選んでいく。

 名前を15人伝える。

 無事に大将に伝わったようだ。

 夜の奇襲の時にその人員を派遣してくれるらしい。

 ロッダンはよろしくなと言って詰所を後にした。

 詰所を出た後にウィルに聞いてくる。


「お前たちはこれから夜までどうするんだ?」

「僕たちは黒の砂の皆さんと一緒に、商人の人達のところに戻って対人戦の練習をするつもりだよ。ちゃんと犯人を捕まえたいからね。だから一度森に行くよ」


 それをきいてロッダンはもう一度詰所に戻ることにしたようだ。


「じゃあなお前ら。今夜会おうぜ」


 と言ってギルド長ロッダンは詰所に戻っていった。

 3人はまだ完全には町の道を覚えきれていなかったので、空を走る光に検問所への案内を頼んだ。

 皆は先に歩いて、空いているルートを通って検問所へ連れていってくれた。

 無事に検問所へ到着できたので、抜けて森へ向かう。

 森に着いたら、ピーちゃんが全員を〈無詠唱〉〈範囲〉〈転移〉で拠点に送り出した。


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