92・パンプティング
私が知ってる小説のエルナたんは火柱立ち上げるくらいの火力で魔法をブッ放せるゴリゴリの火属性の持ち主だったんだけど…。
ま、いっか!
「きゃー!エルナたんの氷!!」
抱き付きたいのを我慢して手のひらでナデナデする。だって推しの産み出したものだぜ?もはやベビじゃん!エルナたんのベビ!
おっと、イカンイカン…。落ち着け。
「ありがとーエルナたん!」
「どういたしまして」
エルナたんの出してくれた氷塊をアイスピックで砕きバットに入れて水も入れる。これならすぐに冷えるだろう。
眺めていても暇だし、どうしようかな、と思っているとマリスさんから声がかかった。
「こんなもんで良いのか?」
マリスさんはトレーに乗せた焼きたてのパンプティングを差し出す。こんがり焼き目がついて美味しそうだ。
「おぉ~いい感じ!」
未だパイ皿の底からグツグツと噴き上げる蒸気が、甘くて良い香りを厨房に広げる。厨房に居た数人の料理人さんが興味深そうにパイ皿を遠目で眺めていた。
「で、これもあっちのプリン?みたいに冷やすのか?」
「冷やさなくてもそのままスプーンで取り分けて上から粉糖を振るっても良いし、ジャムや蜂蜜をかけても美味しいよ!あ、冷やしても勿論美味しいけど、熱々の方が私は好き~」
ほうほう、と頷いたマリスさんがプレートにささっと盛り付け出した。さすが料理長!あっという間にオシャレなデザートに早変わりだ。
…ま、中身は余り物のパンなんだけど。
「こんな感じでどうだ?」
ふふん、とドヤ顔で私を見下ろしている様にちょっとイラッとする。こういうトコ、マリスさんは子供だよね。ハイハイ、すごいですよーだ。
「すごーいすごーい」
「棒読みじゃねーか!」
興味無さそうにパチパチ拍手をすると速攻で看破されてしまった。
「えーそんなことないよー」
「うそつけ!」
もー。しょうがないじゃん。これがエルナたんが作りましたってなれば咽び泣くほど感動して誉めちぎるところだけど、マリスさんじゃ、ねぇ…?
「ラピス。それもプリンなの?」
「ちょっと違うけど親戚みたいなものだよ」
そんなマリスさんとのやり取りに後ろで見守っていたエルナたんが私のエプロンをクイクイと引いた。ふぉぉ…エルナたんからクイクイされちゃった…!!
「でもこれはテオとギヴソンさんにあげるね!」
何せ残り物のパンで出来てるからね、エルナたんに残り物なんて食べさせられん!とは言わず私はテオに押し付けた。
エルナたんには改めて出来立てのパンで作ってあげたいからね。
そんなパンプティングを受け取ったギヴソンさんは嬉しそうに「ありがとう」と言ったけど、テオは物言いたげにこっちを見ていた。なんじゃい。
「プリンもそろそろ冷えるかなー」
そんなテオから視線をそらし、バットに並べられたプリンの様子を見に木箱に登ろうとすると背後から腕が延びてきて脇の下に差し入れられて持ち上げられた。テオに。
「本当にお嬢様以外の扱いは適当だね…」
嘆息と苦笑が混じったように小さく笑ったテオの声は私にしか聞こえない音量で、そんなことはないぞ、とグリンと海老反りで顔を上げると苦笑するテオが逆さまに見えた。
「うわっ、危ないから反るのやめてよ」
「やだラピスったら赤ちゃんみたい」
焦るテオとは逆にエルナたんは私を見て何故かクスクスと楽しそうに笑った。…赤ちゃん?そこまで小さくないと思うんだけど。
「あぁ、ほら。足ちゃんとして」
「はーい」
木箱に足を着かせて海老反りをやめてちゃんと立つ。海老反りしたままだと確実に頭から落ちる。まぁ落ちたところで痛くはないけど。
きちんと立ってからスプーンを手に取ってプリンの表面に置いたままちょっと待つ。そしてプリンから離したスプーンの腹を唇に当てた。うん、冷たくなってる。
「じゅうぶん冷たくなってるから完成だよー!」
よし、完全完成だ。後はお皿にひっくり返して蜂蜜を垂らす。
「マリスさん、これお皿にひっくり返して中身出して~?」
「へいへい」
私の小さい手じゃ無理なので、可愛くお願いすると適当な返事でマリスさんはプリンの入ったカップとお皿を受け取りパッとひっくり返し、そしてひっくり返ったままのカップの乗ったお皿を私に手渡してくれた。
ワクワクドキドキしながらゆっくりとカップを持ち上げると、2センチくらいカップが浮いた時にカップの中でプルン!とプリンが弾んだ感覚がした。そして形が崩れないかドキドキしながらプリンからカップを離す。プリンはフルフルと小さく震えてお皿に鎮座していた。
「おぉ…!」
思わず感嘆の声を上げてしげしげと眺めてしまった。鬆もほぼ入っていない…完璧だ。
蜂蜜をスプーンでひと掬いして上からたらりと垂らす。これで蜂蜜プリンの完成!
「できたぁー!エルナたん食べてー!」
私の成り行きを見守っていたエルナたんにプリンを差し出すと、エルナたんは嬉しそうにお皿を受け取ってくれた。
「私が最初にもらっても良いの?」
「うん!一番はエルナたんにあげたかったんだぁ」
「一番…! ~~!ありがとう、ラピスっ」
ふんわりと微笑みを浮かべたエルナたんにホッコリしていると背後で何やら争い事が起きていた。
「ちょっと!これは俺がラピスに貰ったんだから遠慮してくださいよ!これは俺とギヴソンさんのものです!」
とテオ。
「そうだぞマリス!大人気ないぞ!」
とギヴソンさん。
「はぁぁ!?作ったの俺ですけど!?何なら焼いたのも俺ですけどぉ!?」
三人は一つのパイ皿を囲み額を突き合わせる形で睨み合っていた。真ん中のパイ皿を各々が掴んで自分の方へ引き寄せようとしている。
取り分けられていたパンプティングはすでにお皿の上になかった。多分三人で食べたんだろう。
「あらいやだ。ラピスの作ったものを奪い合うだなんて…感謝の気持ちがないのかしら」
ひんやりとした空気を感じた瞬間、ピキン!と氷の割れるような音と同時にパイ皿を氷のドームが囲んでいた。
「うわっ、お嬢様!危ないじゃないですか!俺の手まで凍らせるつもりですか!?」
「無念だわ」
「なんて事言うんですか!」
三人とも野生の勘でも働いたのか慌ててパイ皿から手を離したようで無傷だ。マリスさんなんて「怖ぇぇ…」とか言ってエルナたんから一番距離とってる。
「なんで喧嘩なんてしてたの?」
「いやだってこれ滅茶苦茶うめぇし!あのパンがこんなになるなんて誰が想像できんだよ!?」
マリスさんが早口で捲し立てるとテオもギヴソンさんもうんうんと首を縦に振った。なるほどそれでパンプティング争奪戦が勃発してたわけか。
「喧嘩しなくてもそんなのいつでも簡単に作れるのに」
「確かにそうだけど!俺は!今!この出来立ての感動を魂に刻み込みたいんだよ!!」
クワッ!と目を見開いた興奮気味のマリスさんが力説してくる。その通りだと言わんばかりに他の二人も力強く頷いた。
「俺は常々思ってたんだよ!棄てられ家畜の餌になる運命のコイツらを救ってやりたいって!」
だが如何せん固い…!!とマリスさんは拳を握り締め辛そうに渋面した。なんか段々芝居臭くなってきたな…。てかパンを生き物みたいに言うのやめて。食べにくくなるじゃん。
「それをまさかこんな方法で救えるとは…!」
感動に打ち震えている所悪いんだけど、私はそろそろエルナたんとプリンを食したい。
「マリスさん、マリスさん」
「…ん?なんだ?」
「あとでパン救済レシピ教えてあげるから先にプリンひっくり返して?」
「なに!?まだあるのか?!アイツらを救うレシピが!」
だからパンを生き物みたいに言うなっての!
私の言葉に鼻息荒くするマリスさんがちょっと怖い。
マリスさんは嬉しそうに残りのプリンをひっくり返した後、止めるテオとギブソンさんをスルーしながら残っていたパンプティングを綺麗に三等分して自分の分を持って鼻唄を歌いながら厨房から去っていった。
残された私達は正直『ぽかーん』である。
「相変わらず料理に関する欲望にだけは忠実だな…」
ギブソンさんの呟きだけがポツンと取り残されたのだった。
わー!(>_<)長らくお休みしてすみませんでした!
マリスさんがプリンで覚醒しました!ww違
誤字、脱字がありましたらお知らせください!助かります(*^¬^*)
ブクマ&評価ありがとうございます!(///ω///)♪
コロナワクチン…2回目マジで辛かった…コロナにかかって苦しまないためにワクチンうって苦しむってどーゆ事?(;・∀・)理不尽…
皆さん、二回目の時は冷○ピタ、アイス枕、清涼飲料水(ポ○リとか)、楽に食べられるゼリーやおかゆ、後お薬!(熱用と頭痛用)を用意した方がいいです。
6時間、ないし12時間経っても症状出ねーしヨユーっしょ!とか嘗めない方がいいです。私は20時間後に来ました(>_<)←嘗めてたw
私の場合は熱は37.6℃~38.3℃を行ったり来たりで、熱が下がった後半は頭痛が酷くて薬をカロ○ールからバ○ァリンに変えてやっと治まったくらいです。ちなみにカ○ナールは三回飲んでやっと熱が下がったので、もしかして効きにくい体質なのかもしれません…。
なので皆様も体質にあったお薬を準備しておいた良いかもです(=ω=;)
ワクチン2回目の感想は…滅多に飲まないポカ○
がめちゃくちゃ旨かったです!笑




