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83・初!転移!

 

 確かこの人「魔法にしか興味なかった」って言ってたけど、過去形じゃないわ。現在進行形だったわ。


 踞り地面に広げた紙にハスハスと興奮気味に未完成…しかも割りとカオスな魔法陣を嬉々として描き写すお兄さんの後ろ姿の何とシュールなことか…。


「凄いね…!これ発動させたら最悪死ぬか助かっても廃人確定だね!」


 振り向いたお兄さんは輝かんばかりの笑顔でえげつない事を頬を染めて発した。え、それ笑顔で言うこと?

 興奮冷めやらぬ、と言った感じであの殺人魔法陣を描き写し終えたお兄さんは立ち上がりローブに着いた土埃をなおざりに払う。結構な美形のくせして身なりは気にしない様子だ。


「さて、行こうか」

「わーい!」


 やっと転移だ!待ってました!

 ガバチョとお兄さんの足にしがみつき「はよ、はよ!」と視線で訴える。


「では、転移するね。手を離さないように」

「はーい!」


 返事をした瞬間、ふんわりと身体と言うか内臓が持ち上げられたかのような浮遊感がした。アレだ、エレベーターに乗ったときの様なあの感覚だ。

 おぉ?と思ったら既に目の前の景色は変わっていた。

 これでは転移魔法のヒントもクソもないではないか。余韻がない!


「─あれ?」


 先に声を溢したのはお兄さんだった。多分思い浮かべた場所ではない、と疑問に思ったのかも。だって私達が転移した場所はジル達が暮らす村のど真ん中だったからだ。


「ん?んん?あれ~?此処って確か森の中だったはず…?」


 頭の上で疑問符を浮かべてお兄さんはキョロキョロと辺りを見遣る。幸い周囲には誰も居らず転移してきた瞬間は誰にも見られていないようだ。いや別に見られたらどうしたって話だけど、マルチスに飛んできたときは人目を憚るような場所に現れたから私が勝手にそう思ったにすぎない。


「ねぇ、お兄さんが前に此処に転移してきたのはいつ?」

「え?えぇと…………5年くらい前…?だったかな…」


 おぅ…5年前なら仕方無いか。


「此処、つい最近村が出来たんだよ」

「え!そうなの?」

「うん。だから五年も前ならまだ森の中でも仕方ないよ」

「そうなんだ…それにしても最近出来た村にしては随分と整ってるんだね」


 ほー…と感心したようにお兄さんは小さく息を吐いた。

 …まあ、木を引っこ抜いたりして開拓すると時間はかかるだろうけど、更地だったからね…そりゃ整うのも早いよ。あれ?私のお陰?


「取り敢えず伯爵様のお屋敷に行こうよ」

「そうだね」


「──ラピス?」


 さぁ行くぞと足を進めようとした時、背後から誰かに呼ばれる。

 振り返ると小脇に荷物を抱えたジルが私達を見ていた。

 そして慌てて荷物を放り出し、駆け寄ってきたかと思えば腕を引かれてジルの背中に隠される。一瞬の事でポカンと成り行きを眺めてしまった。


「あんた誰だ。ラピスに変なことしてないだろうな」


 ジルの表情は見えないけれど、その声に鋭さを感じた。見たことのない大人に警戒しているんだろう。

 それにしてもジルよりも私の方が強いのに庇われてしまった…。心配しなくても大丈夫なのに。いや、この場合私がお兄さんに何かしそうなのを危惧したのか…?んん?どっちなんだろう。

 そして敵意を向けられたお兄さんはと言うと、ぱちくりと目を瞬かせてジルを見ているだけだ。


「ジル、ジル。そのお兄さんは壊されたジルのペンダントトップを直してくれた魔法使いのお兄さんだよ」

「え…?」


 クイクイと服を引っ張って教えてあげると今度はジルが驚きに目を瞬かせた。

 ジルのアクセサリーを直してくれた人物については前にさらっと教えていたけど、どんな感じの人だったかは伝えていなかったから多分警戒したんだろうなぁ。


「あの…すみませんでした…」

「ううん。僕こそごめんね、勝手に村に入っちゃって」


 警戒を解いたジルが決まり悪そうだけど素直に謝罪を口にすると、お兄さんはにこりと笑みを浮かべて頭を振った。そこで初めてじっくりとジルの顔を見てお兄さんは不思議そうに子首をかしげる。


「あれ…君もしかして…」


 お兄さんはジルの髪と肌、それに両目にゆっくりと視線を巡らせた。最後に頬に視線を定めたのを見て、お兄さんはドルティア族を知っているんだと確信する。けれどお兄さんの目に嫌悪の色は見られなかった。


「あの悪辣な呪紋をどうやって…」


 まるで無意識に出た言葉は吐息の様に小さかったけれど、ジルにも私にもはっきりと聞こえていた。

 お兄さんはドルティア族の呪紋の事を知っているみたいだった。見た目には一族の証しに見えるあの入れ墨のような印を呪紋だと言ったのがその証拠だ。

 その言葉でジルの背中に緊張が走った。


「…どうしてそれを…」

「ぇ、あぁ、そんなに警戒しないでよ。 う~ん、何て言うかドルティア族の事は研究して知ってるって言うか…呪紋の元祖は魔術師が作った物だから研究してて辿り着いたと言うか…まぁ取り敢えず知ってるだけで僕はドルティア族に対して悪意はないから」


 もたもたと理由を口にしたお兄さんを見て、あぁそうだ、この人魔法オタクだっけ…と思い出す。


「ジル。このお兄さんはちょっと魔法が好きな変た…ゲフン、研究家で、危険な人じゃないよ。安心して?」

「………ラピスがそう言うなら…わかった」


 アブね。変態とか本人目の前で言っちゃう所だったよ。

 私の説得に漸く納得がいったのか、ジルは肩から力を抜いた。


 今までの生活が生活だったから、知らない人を警戒しちゃうのは仕方ない。そうさせてしまったのは周りの心無い大人達のせいでジル達のせいじゃないもんね。

 ジル達も最近は顔見知りの大人の人と緊張せずに話せるようになったけど、一度傷付いた心の傷はそう簡単には治らない。だからどうしても初めて見る人間に対して警戒してしまうようだった。こればっかりは時間が癒してくれるのを待つしかないので、私にはどうすることも出来ない。


「─そう言えば、マリスさんがラピスの事を探していたぞ。いつもの時間ならとっくに居るのに…って」

「ん?なんだろ」


 思い出したかのようにマリスさんの名前を口にしたジルは、俺もこの後仕事があるから、と魔法使いのお兄さんを気にしながらもアトリエに向かって行った。


「マリスさんが用があるみたいだし、お屋敷に行くけど、お兄さんも来る?」

「もちろん」


 頷いたお兄さんは私の後ろを歩きだした。何故か解らないけれどニコニコしている。ニコニコして私を見ている。何故だ。


 こう言うときは藪蛇になるのが解っているので敢えて何も言わずにいるに越したことはない。無視だ無視。


 ─まさかこの時既にジル達の呪紋を取り除いたのが私だと目星をつけられていたなんて思いもしなかったけど…。



魔法使いのお兄さんは変t…ゲフゲフww


誤字、脱字がありましたらお知らせください(*´ω`*)助かります!


ブクマ&評価ありがとうございます(///ω///)♪


ご感想や評価を頂けると「がんばろ!」と悶え(?)ておりますのでとってもありがたく嬉しいです(*´pωq`)

皆様いつもありがとうございます!


そろそろ本気でジャンル変えようかな。と言うかこの話でまともに恋してるのレニ(ギヴソン娘)だけじゃん!笑

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