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80・獲ったどー!!

 


 やって来ましたエルナたんとの逢瀬!!


「お兄ちゃん、出来た?」

「ん~?もうちょっとだよ。それにしてもあのドライヤーって言うのを使いはじめてから、ラピスの髪は一段と綺麗になったな。ツヤツヤだ!天使だ!」


 兄は私の髪を結わえながら何やら悶絶している。

 耳の上辺りでキュッとリボンを結んだ兄は満足そうに口角を上げた。

 少し前、エルナたんに髪を伸ばしてみたらどうかと薦められたので、私は髪を伸ばし始めた。前は耳の下で左右に結わえてたけれど、今は耳の上でツインテールだ。たまにお団子にもするけど。


 今日はリボンはコバルトブルー。私の明るいレモンイエローの髪によく映えている。いつも付けないけど今日はおめかしだ。


「よし。じゃあ行こうか」

「うん!」


 スツールから降りると兄と手を繋いで家を出た。

 そしていつもの噴水広場で公爵様一行を待つ。


 程なくして現れた公爵様の馬車に街が沸き立つ。みんな大歓迎してる。私も絶叫しそうなほど嬉しい。おっと…シャウト禁止だぜ。危ない幼女だと思われちゃう。



「ラピス!」

「エルナたん!」


 ひしっ!と手を握り合い再会を喜ぶ。

 おぉ…エルナたん、また背が伸びてる…!ますます女の子らしく可愛らしく天使になっちゃってどうしよう!?女神になる日も近いのでは?!


 デレデレと尻尾を振る私を護衛のお兄さん達が微笑ましそうに眺めているなか、ひとりだけ肩を震わせ腹を抱えて笑うテオが「犬…っ!」と溢す。聞こえてンぞ。


「エルナちゃん、久しぶり」

「お義兄様!」


 兄に振り向いたエルナたん。ふたりは数秒視線を合わせるとそれだけで会話が済んだかのように真顔でコクリと頷き合った。そしてキュッと握手して、兄がおもむろに何かを差し出す。それを受け取ったエルナたんは再び兄と視線を交わし頷き合った。

 私には解らない何かで繋がるふたりにモヤモヤするけれど、差し出されたものが何か解っているのでなんとも言えない気持ちになる。


 …あれ、私の観察記録だよね?観察記録という名の兄の日記だよね?エルナたんが聞いてくれたら何でも答えるのに、何故に兄の日記…?てか兄よ、日頃の私の何を記録してるの?違う意味で気になるんですけど。


 兄をスン…とした気持ちで見つめる。これからもこんな風に私の観察記録をエルナたんに渡すのか…。私は野性動物かよ。











 一時間ほど近況をお喋りした後、公爵様一行は出立した。私は後から追いかけるので暫しの別れだ。

 別れ際、エルナたんが「待ってるわ」とおでこにチュッてしてくれた!チュッて!!!ふおぉぉぉ!!

 人前で地面に転がって悶絶しなかった私をどうか誉めて欲しい。



 それから家に帰って支度を済ませ街を出る。いつもの流れだ。

 しかし今日はそうではなかった。

 街を出て屈伸運動をして全速力でエルナたん達を追いかけるぞー!と別に陸上もやったこと無いのにクラウチングスタートの姿勢をカッコつけてやってみる。心の中で「よーい…」と唱えたところでピリリと小さな静電気みたいな物をこめかみに感じた。

 取り敢えず立ち上がって辺りを確かめる。


「……」


 ()()はアレだ。


「えっと…この辺かな?」


 トコトコと歩き、それを感じた場所へ移動する。そこには大人の背丈ほどの大きな岩があった。


 ピリ、ピリリ、と感じるのは魔法による魔力の波動だ。いつ如何なる時もエルナたんを守るため日々周囲の魔法を感知できるように修行してきたお陰で、半径10mくらいなら魔法の波動がわかるようになった。気合いを入れれば短時間だけど1㎞くらいなら感知可能だ。

 そんな訳で僅かな魔力の波動を感知した訳なんだけど、目の前にあるのは岩だ。なんの変哲もない。


 首を傾げて岩を見上げていると突然目の前にビー玉位の光の粒が現れた。

 そしてその光がお盆のように平たく広がり上下に二枚に分れた、と思った瞬間。


 その分れた光の輪の中から人が現れたのだ。


「………」

「………」


 無言で見つめ合う私達。相手はとても驚いた顔で口は半開きのまま固まっている。

 先に我に返ったのは私だった。


「『魔法の紐(ぐれいぷにーる)』!!」


「…! え?!ぅわぁぁ!!?」


 どんなものでも捕獲可能の魔法で瞬く間に金色の紐がその相手をぐるぐる巻きに捕らえた。逃がさにゃいぜ!


「わーい!獲ったどー!!」


 捕獲成功に諸手を上げて喜ぶ私とは対照的に相手は「え?」とか「は?」とか言ってる。


 今のはきっと転移魔法だ。初めて見たけど多分間違いない。


 実はこの世界、転移魔法は限られたごく一部の人間にしか使うことを許されていない。何処へでも転移できる魔法はある意味戦略級魔法にもなるからだ。

 そりゃそうだよね。寝首を搔くには持って来いの魔法だ。

 そんな訳で転移魔法を修得するにはかなりの禁則事項に同意しなくてはいけない。おまけに同意するとある種の呪いがかかるようで、その禁則事項を破ると記憶が飛ぶらしい。魔法に関すること全ての記憶がポンと消えてしまう誓約付の魔法。それが転移魔法だ。


 何故にこんなに詳しいかと言うと……。はい、怒られました。伯爵様に。

「転移魔法覚えたい!」って片っ端から魔導書読みまくったけどなくって、伯爵様におねだりしたら説明付でこんこんとお説教された。私はただ単にエルナたんが居るところにすっ飛んで行きたいだけなのにさ~。そんな理由で覚える魔法じゃない、とか、動機が!とか色々と叱られた。


 しかし今ここにカモがネギ背負って現れたのだ。

 転移魔法で現れたってことは転移魔法を修得してるってことだよね!

 誓約がどうした!そんな事でヒビってたらエルナたんをハッピーエンドには導いてあげられんじゃろがい!!てな訳で教えてプリーズ!教えてくれるまで逃がさん!


「ふへへへ…」


 さぁカモネギさんよ…口を割って貰うぜ…!


「………ん?」


 涎を拭う仕草で怪しく転移してきた人を見て何かが引っ掛かった。


 黒紫のローブに鹿の角のように枝分かれした樹で出来た杖…。最近どっかで見たような…?


「えぇと…取り敢えず逃げないから、拘束を解いてもらえるかな…?」


 そう告げられた声にもどこかで聞いたような気がして私は首を傾げた。するとその人も窺うように小首を傾げた。その拍子に黒紫のローブがずれてフードの裾からさらりと白い髪が流れる。


「─あ!」


 その髪の色を目にし一瞬で記憶が頭を巡った。

 思い出した!職人の村でジルのブローチを魔法で直してくれた魔法使いのお兄さんだ!

 わはー、こんなところで再会できるだなんて思ってもみなかった。

 あのときの魔法も気になってたし、何て幸運なの私。

 思いもよらない再会に喜色に染まる表情のまま魔法使いのお兄さんに声をかけた。


「魔法使いのお兄さん、お久しぶりでーす!」


「アハハ~…取り敢えず魔法を解いてもらって良い?」


 チーッスみたいなノリで声をかけたら乾いた笑いでお兄さんは困惑したように言ったのだった。





何かを捕まえました笑


誤字、脱字がありましたらお知らせください(*´ω`*)助かります~✧

ブクマ&評価ありがとうございます(///ω///)


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